こんにちははじめまして

面蛸とおる

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晴れの日にこんにちは

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つまらない言葉が羅列した、興味のない授業。 

唯々聞いているだけで眠くなるのが、今までの俺だったが…。

つい最近起きた奇妙な上級生由也との出会いで、そんな眠気は来ず、

ただあの雨の日に起きた出来事が頭の中で何度も、リピート再生されて。  

何度見ても気分が良くなるあの顔が、俺に近づいて優しくキスをする。

そんな光景が忘れられない。 


ーーたかが、口に挨拶程度のキスだと言われたらそれでお終いなんだが。


そいうのを経験したことない俺にとっては、一大事で。 

今日は晴れの日なのに、心はモヤモヤとした曇りのような気持ちで溢れ。

思わずため息を一つだけ口から吐き出しながら、ゆっくりと時間をかけて窓の方へと視線を向けると…。

どうやら、校庭で体育の授業をやっているようで。

沢山の生徒がグラウンドの上を楽しそうに走っていた。

俺はそんな爽やかで健康的な光景をみて、少しだけ嫌な気持ちになり…。

思わず視線をグラウンドから外して、人気のない体育館倉庫の通路に目を合わせ。

この心の中にある嫌な気持ちを落ち着かせようとしたら…。

ーーなんと、そこには…。

由也が、あの由也が居て。

「えっ…なんでいるんだよ」

俺は思わずそう小さく呟き。

本当に彼なのか?と焦る心を落ち着かせながら、もう一度みると…。

由也の赤い瞳と俺の茶色の瞳は見事にぶつかり。

俺たちは遠く離れた距離に居るのに、運命的な見つめあいをしてしまったので。

「なっ…」と、俺はそう呟き。目があった由也の顔をまじまじと見つめると。

…もごもごと何かを言っているようで。

俺はそんな怪しい彼に、カッコイイだろうと思って少しだけ勉強してみた読唇術を、使いながら。

その言葉を読み解けば…。

どうやら彼は俺にこういっていた。

「僕が教えた、読唇術…使ってくれたんだね」

「っ…なんだよふざけんな」

俺は思わずそう呟き、遠くにいる由也をおもいっきり睨みながら席を立ち。

熱弁している教師の顔を見ずに。

「すみません…気分が悪くて、吐きそうなので保健室行っても良いでしょうか?」

と気弱な生徒のふりをして、そう言いながらふらふらと廊下へと歩き出せば…。

「おおっ…大丈夫か?保健室で休んで来なさい」

と教師はそう心配そうに言うので、ふらついたふりをした俺は。

 心の中で、

(ほんと、この先生チョロいぜっ!こんな演技で騙されるとか…ほんと楽だわ)と思いながら…。

 
俺を今おもいっきり悩ますアイツがいる。


ーー体育館倉庫の通路へと。


駆け足で向かった。
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