姫氏原雪白は星を滅ぼす

面蛸とおる

文字の大きさ
5 / 5

夜と戯れる

しおりを挟む
夜の闇が迫って来る、それは恐ろしくもあって何処か優しさも在る不思議なモノで。
星々が宝石のように輝く澄み切った空を背にしながら、夜の風がそよぐ夜の森の中で一人、家族には内緒でじっとただずめば。

「俺の支配する時間に来てくれたのか? 可愛い奴だな、丁度俺も休みたいと思っていたから、少し相手をしろ」
なんてそんな人ではない上位者的な言葉を吐きながら、夜の風が成人男性ぐらいの方になって。

唯の人間にすぎない私──姫氏原雪白の目の前に。

金のような銀色の髪にジャガーの耳と尻尾が生えた、毛先がはねたミディアヘアーの男らしくありながら美しい青年の姿をした。

星の管理者として、宇宙を渡り歩き、滅びと再生のサイクルを繰り返す。

《テスカトル》と現在は名乗る、黒い太陽に親しみを込めて笑みを浮かべてこう返す。

「今晩はテスカトルさん、私で宜しければ相手になりますよ。ですがあんまり暴れると、イツカトルさんが文句を言いに来ますよ」

「何故そこで、イツカトルの話が出る? 浮気か雪白、この俺の目の前で堂々と言う勇ましさは気にいるが。俺の世界では浮気は死罪だ、なんて悪い子なんだお前は」

「ちょっと? テスカトルさん、私は別にまだ貴方のものではありませんよ? ついでに言えばイツカトルさんのモノでもなくただのトシュカトルに選ばれる候補の奴隷、そうだからこそ、まだ決まっても居ないのですから。私はトラカシペワリストリで舞う戦士でもあるのですが」

「そんな事は知っているが、それでもお前は俺のモノだ。この俺がそう思ったのならそうで在る、さあ大人しく俺の生贄になれ一緒に星を救う戦いを、宇宙の為にその血を捧げろ」

そうテスカトルは高らかに嘲り笑って、足元を狙って拳を出して来るので。

いつものじゃれ合い的な戦いに幼少期から、女に間違えられるぐらいの容姿を持ったが故に暴漢供に絶対に負けない為に鍛えあげた身体能力を使って華麗によけながらも、このあたえられた息抜きという名の試練をあっさり終らす為に。

可愛く抱きつくような愛くるしさを見せてから、一気に彼を掴んで青々と生い茂る森の地面に押し倒せば。

「子猫の戯れ程度と思ったが、急に獰猛なジャガーになるのはこの俺でも騙される。此処にイツカトルが居なくて良かった、恥ずかしさで一度死んでいた所だ」

「それはちょっと嫌ですね。余り死んで欲しくないので私は」

「……それがこの時代の人間の価値観か、俺には余り馴染みがないものだ。だからこそ、その言葉は俺にもイツカトルにも二度は言わない方が良いぞ? 折角のこの好意を無駄にしたくなければな」

人を超越した価値観を持つ、星の管理者と今は語る古き滅んだ国の神一側面で在る彼はこのようなセリフですらも、楽し気に鼻歌を歌うように答えて来るので。

声だけ聴けば冗談のように聞こえるだけど、受け答えを間違えれば其処で自分の命が終わる状況下に。
──瞬きの合間に変わってしまったので。

私は引きつった笑みを浮かべてしまえばそこで負け確定と思いながら、テスカトルと同じぐらいの笑みを浮かべ。
「ええ、分かりました。一瞬戦士の気持ちを忘れちゃいましたが、雪白は誇り高き鷲でジャガーですもの。何時か時が来た時……この心臓を天に届けてくださいね」と死を恐れない覚悟を望むとおりに見せつければ。

「雪白……お前はやっぱり俺のモノだ。必ず手に入れる、何が有ろうとも……そして何をしてでも」
そうテスカトルは強く宣言するように言い放ってから、私をぎゅっとぬいぐるみを抱くように腕を回してくるので。

そんな加減をまだ理解出来てない人ならざる者に、苦しいですからもう少し力を抜いてくださいね?と笑いながらも圧をかけつつも。

──まだ争いも、滅びも起きない。

安全で平和なこの一夜を。

二人でゆっくりと楽しむのだった……。

しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~

青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」 その言葉を言われたのが社会人2年目の春。 あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。 だが、今はー 「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」 「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」 冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。 貴方の視界に、俺は映らないー。 2人の記念日もずっと1人で祝っている。 あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。 そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。 あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。 ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー ※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。 表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

【本編完結】処刑台の元婚約者は無実でした~聖女に騙された元王太子が幸せになるまで~

TOY
BL
【本編完結・後日譚更新中】 公開処刑のその日、王太子メルドは元婚約者で“稀代の悪女”とされたレイチェルの最期を見届けようとしていた。 しかし「最後のお別れの挨拶」で現婚約者候補の“聖女”アリアの裏の顔を、偶然にも暴いてしまい……!? 王位継承権、婚約、信頼、すべてを失った王子のもとに残ったのは、幼馴染であり護衛騎士のケイ。 これは、聖女に騙され全てを失った王子と、その護衛騎士のちょっとズレた恋の物語。 ※別で投稿している作品、 『物語によくいる「ざまぁされる王子」に転生したら』の全年齢版です。 設定と後半の展開が少し変わっています。 ※後日譚を追加しました。 後日譚① レイチェル視点→メルド視点 後日譚② 王弟→王→ケイ視点 後日譚③ メルド視点

処理中です...