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女装編
第22話 転校してきた男
朝、目を覚ますと女になって……いるかもしれないと思っていたのは遠い過去のようである。
女体化しない学園生活を送る泰彦に新たな変化が訪れた。
「僕が私生活の指導員ですか?」
昼からの授業の最中に矢本先生に呼び出された泰彦。
「本来なら学園生活の長い女体化した生徒にやってもらうのがスジなんだけど、今回はちょっと事情があってね」
「事情、というのは?」
「転校生は霧山さんと同じで、女体化せずに男のままでチェック陽性となった生徒なんです。
だから、同じ男性である霧山さんの方が何かと都合がいいかと思って。
霧山さんの一つ下の一年生。
もちろん、女体化したら別の人に指導員を代わってもらう予定です。
どうかな? 引き受けて貰えるかしら?」
「分かりました。お引き受けします」
「助かるわ。じゃあ、紹介するね」
セーラー服を着た男の子が入ってきた。
「森本理駆さんです」
「森本です」
男の子なのにスカートを穿いているので顔が赤くなって、うつむき加減になっている。
背は少し低く、脚をガニ股に開いて立っていた。
「困ったことや、相談事があったら、この霧山さんに言ってね」
「じゃあ、さっそく。なんで、オレが女の制服を着なくちゃいけないんですか!」
「まぁ、まぁ、僕も着てることだし。そのうち慣れるよ」
理駆の制服をよく見るとスカートのファスナーが体の前に来ていた。
「あ、スカートの向きが違うよ」
「さっきションベンしてきたばかりですよ。社会の窓が前だから合ってますよね?」
確かに理駆のスカートのファスナー下方の裾の辺りには不完全なオシッコ処理の滴の跡が点々と付いていた。
「ファスナーは左側だよ」
「でも、それだとチンチンが出しにくいじゃないですか」
「いや、女の子は出すチンコはないし。ファスナーは脱ぎ着するときしか降ろさないよ」
「じゃあどうやってションベンするんですか?」
「捲りあげて座ってだよ」
「男のオレが座ってションベンするなんて!
しかもトイレも女用しかないし。なんでオレが女と一緒にションベンしないといけないんですか!」
「お風呂も一緒に入ることになるんだけどね」
「ひぃー! なんで女なんかと!」
「まぁ女の子と一緒にお風呂っていうのも刺激が強すぎるから、今日はみんなが入ったあとに僕と一緒に入ろうか」
「私生活の方は霧山さんにあとで追い追い教えてもらうとして、まずは授業の方へ行きましょうか」
矢本先生は理駆を連れて一年生の教室へと向かった。
残されたのは泰彦と、保健の木俣先生。
「と、まぁ彼は女性嫌いな感じでね。
君にうまくフォローをしてもらいたいんだよ」
「僕が力になれるなら」
「あと、彼は女体化病罹患者との濃厚接触からもうすぐ24時間経つんだ」
「ということは、明日の朝には女体化していると」
「十中八九女体化するだろね。君のケースが例外なだけで」
「でも女嫌いで女体化したら大変じゃないですか?」
「その点は大丈夫だ。君は心配しなくてもいい。私の分野だからね。
さあ、君も授業へ戻るといい」
その日の授業が終わり、みんながお風呂に入ったのを見届け、理駆と二人でお風呂へ行く。
裸の付き合いをしたあとは、泰彦の部屋へ行った。
女嫌いの理駆を考慮し、和子や幹江先輩には部屋へ来ないように念を押していた。
「先輩は、女になるのが怖くはないんですか?」
「まぁ、陽性反応が出たときに半分諦めていたところもあるし、僕の場合は何故だか未だに女体化しないし」
「オレも男のままがいいです。
女体化ウイルスに効く特効薬は無いんですか?」
「まだないという話だね。予防ワクチンもまだできないみたいだし」
「先輩……。オレ、まだ童貞なんですよ……。
童貞のまま女になっちゃうなんて残酷だと思いません?」
「う、うん、そうだね」
「オレのいた学校ではクラスの女がオレのことを童貞だってバカにするんですよ。
男は誰でも最初は童貞じゃないですか。
それなのにあいつらは『童貞お断り』って全然ヤラせてくれなくて。
きっと今でもオレのことをウワサしてるんですよ。童貞のまま女になった可哀想なヤツって」
「ちょっと、拗らせちゃった感があるね」
「あー、エッチしたい! セックスしたい!」
「どうどう、どうどう。落ち着いて」
「なんだか思っていることを吐き出したらスッキリしました」
「たぶん、女体化したら、もう誰も君のことを童貞だって言う人はいなくなるよ」
(女は童貞じゃなく処女だからね)
「部屋へ戻って一本ヌイてから寝ることにします」
「ああ、お休み」
「失礼します。おやすみなさい」
理駆は自分の部屋に戻っていった。
部屋に静寂が訪れ、泰彦は深い眠りへと入っていった。
夜中の一時をまわった頃、泰彦の部屋のドアがガチャリと開いた。
暗闇のなか、一人の男が近づいてきた。
理駆である。
「先輩……」
「どうしたのこんな夜中に」
「オレ……眠れないんです。
不安なんです。
このまま寝たらもう男じゃなくなっていると想像したら……。
怖いんです」
泰彦は何も言わずに理駆を抱きしめた。
人肌の暖かさに触れ少し落ち着きを取り戻した理駆。
「今晩は一緒に寝ようか」
こくりと頷く理駆。
二人ベッドに入り、瞳を閉じた。
夜のとばりが二人を包み、泰彦の寝息が子守唄となって理駆を安眠へと導いた。
女体化しない学園生活を送る泰彦に新たな変化が訪れた。
「僕が私生活の指導員ですか?」
昼からの授業の最中に矢本先生に呼び出された泰彦。
「本来なら学園生活の長い女体化した生徒にやってもらうのがスジなんだけど、今回はちょっと事情があってね」
「事情、というのは?」
「転校生は霧山さんと同じで、女体化せずに男のままでチェック陽性となった生徒なんです。
だから、同じ男性である霧山さんの方が何かと都合がいいかと思って。
霧山さんの一つ下の一年生。
もちろん、女体化したら別の人に指導員を代わってもらう予定です。
どうかな? 引き受けて貰えるかしら?」
「分かりました。お引き受けします」
「助かるわ。じゃあ、紹介するね」
セーラー服を着た男の子が入ってきた。
「森本理駆さんです」
「森本です」
男の子なのにスカートを穿いているので顔が赤くなって、うつむき加減になっている。
背は少し低く、脚をガニ股に開いて立っていた。
「困ったことや、相談事があったら、この霧山さんに言ってね」
「じゃあ、さっそく。なんで、オレが女の制服を着なくちゃいけないんですか!」
「まぁ、まぁ、僕も着てることだし。そのうち慣れるよ」
理駆の制服をよく見るとスカートのファスナーが体の前に来ていた。
「あ、スカートの向きが違うよ」
「さっきションベンしてきたばかりですよ。社会の窓が前だから合ってますよね?」
確かに理駆のスカートのファスナー下方の裾の辺りには不完全なオシッコ処理の滴の跡が点々と付いていた。
「ファスナーは左側だよ」
「でも、それだとチンチンが出しにくいじゃないですか」
「いや、女の子は出すチンコはないし。ファスナーは脱ぎ着するときしか降ろさないよ」
「じゃあどうやってションベンするんですか?」
「捲りあげて座ってだよ」
「男のオレが座ってションベンするなんて!
しかもトイレも女用しかないし。なんでオレが女と一緒にションベンしないといけないんですか!」
「お風呂も一緒に入ることになるんだけどね」
「ひぃー! なんで女なんかと!」
「まぁ女の子と一緒にお風呂っていうのも刺激が強すぎるから、今日はみんなが入ったあとに僕と一緒に入ろうか」
「私生活の方は霧山さんにあとで追い追い教えてもらうとして、まずは授業の方へ行きましょうか」
矢本先生は理駆を連れて一年生の教室へと向かった。
残されたのは泰彦と、保健の木俣先生。
「と、まぁ彼は女性嫌いな感じでね。
君にうまくフォローをしてもらいたいんだよ」
「僕が力になれるなら」
「あと、彼は女体化病罹患者との濃厚接触からもうすぐ24時間経つんだ」
「ということは、明日の朝には女体化していると」
「十中八九女体化するだろね。君のケースが例外なだけで」
「でも女嫌いで女体化したら大変じゃないですか?」
「その点は大丈夫だ。君は心配しなくてもいい。私の分野だからね。
さあ、君も授業へ戻るといい」
その日の授業が終わり、みんながお風呂に入ったのを見届け、理駆と二人でお風呂へ行く。
裸の付き合いをしたあとは、泰彦の部屋へ行った。
女嫌いの理駆を考慮し、和子や幹江先輩には部屋へ来ないように念を押していた。
「先輩は、女になるのが怖くはないんですか?」
「まぁ、陽性反応が出たときに半分諦めていたところもあるし、僕の場合は何故だか未だに女体化しないし」
「オレも男のままがいいです。
女体化ウイルスに効く特効薬は無いんですか?」
「まだないという話だね。予防ワクチンもまだできないみたいだし」
「先輩……。オレ、まだ童貞なんですよ……。
童貞のまま女になっちゃうなんて残酷だと思いません?」
「う、うん、そうだね」
「オレのいた学校ではクラスの女がオレのことを童貞だってバカにするんですよ。
男は誰でも最初は童貞じゃないですか。
それなのにあいつらは『童貞お断り』って全然ヤラせてくれなくて。
きっと今でもオレのことをウワサしてるんですよ。童貞のまま女になった可哀想なヤツって」
「ちょっと、拗らせちゃった感があるね」
「あー、エッチしたい! セックスしたい!」
「どうどう、どうどう。落ち着いて」
「なんだか思っていることを吐き出したらスッキリしました」
「たぶん、女体化したら、もう誰も君のことを童貞だって言う人はいなくなるよ」
(女は童貞じゃなく処女だからね)
「部屋へ戻って一本ヌイてから寝ることにします」
「ああ、お休み」
「失礼します。おやすみなさい」
理駆は自分の部屋に戻っていった。
部屋に静寂が訪れ、泰彦は深い眠りへと入っていった。
夜中の一時をまわった頃、泰彦の部屋のドアがガチャリと開いた。
暗闇のなか、一人の男が近づいてきた。
理駆である。
「先輩……」
「どうしたのこんな夜中に」
「オレ……眠れないんです。
不安なんです。
このまま寝たらもう男じゃなくなっていると想像したら……。
怖いんです」
泰彦は何も言わずに理駆を抱きしめた。
人肌の暖かさに触れ少し落ち着きを取り戻した理駆。
「今晩は一緒に寝ようか」
こくりと頷く理駆。
二人ベッドに入り、瞳を閉じた。
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