竹本義兄弟の両片思い

佐倉海斗

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第一話 母の再婚

02-9.

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 俺は歩のことをなにも知らない。
 それがどうしようもなく、嫌だった。

「知らねえよ」

 席に座る。
 それから頬杖をついた。

「悩み事か?」

「なんでわかるんだよ」

「幼稚園からの親友を舐めるなよ。そのくらい、見てればわかるっての」

 元太には敵わない。

 幼稚園からの長い付き合いの中、なにかあれば元太に相談していた。

「歩のことがよくわかんねーんだよ」

「お義兄さんのことが?」

「そう。あいつ、子ども扱いしやがってむかつくのに、なんか、家族って言われるともやもやして。家族扱いされたくねーというか。嫌なやつじゃないのはわかってるんだけど」

 言っていることがめちゃくちゃだ。

 でも、本音だった。

「頭とか顔とか触られるのも、昨日は嫌だったのに、今日は嫌じゃねーし」

 歩に助けられた安心感の違いだと思う。

 苦手な知らないやつから、良いやつに変わったからだ。

「とにかく、苦手なんだよ」

 俺は本音を口にする。

 あいつに振り回されているようで気分が悪い。それなのに、もう少し話がしたいとか思ってしまう自分が気持ち悪い。

「でも、良いやつで。嫌いにはなれなくて。あいつの傍にいたら、こう、胸が苦しくなるんだ」

 結論はわからない。

 とにかく、思ったことを全部口にした。

「それって、恋じゃね?」

 元太の口から出た言葉に俺はジュースを吹き出しそうになった。

 恋? 恋って、ありえないだろ。

 男同士なのに?

「初恋デビューおめでとう」

 元太に肩を叩かれた。

 なにが初恋デビューだ。たしかに、今まで付き合ったことはあっても、恋をしたことはなかったけど。って、恋じゃねーし。

 俺があいつに恋をしているはずがない!
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