竹本義兄弟の両片思い

佐倉海斗

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第一話 母の再婚

03-13.

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「うん。素直じゃないね」

 歩にはばれているような気がしてしかたがない。
 手を振り払えばいいのに、それができない。一方的に握られたままの手に汗をかく。緊張してしまう。気持ち悪くないだろうか。

「二日目にしたら上等かな?」

「なにがだよ」

「かわいくて素直な裕太君計画だよ。僕にだけ素直になってくれると嬉しいけどね」

 腹が立つ。


 どうせ、かわいくもないし、素直でもない。

 本当は好きだって言いたい。

 恋に恋をしているわけじゃない。本気の恋なんだ。

 それをどうすれば伝わるのか、わからない。

「そんなの上手くいくわねーだろ」

 素直になれたら、いろいろと変わるんだろうな。

 歩との関係性を変えたいような、変えたくないような。もやもやするのは嫌だけど、両想いになれたら嬉しいんだろうなって想像してしまう。

「わからないよ? 手を繋いでくれるようになったしね」

「これは! 不可抗力ってやつで!」

「僕は力をこめてないよ? 手を重ねて、優しく握っているだけだよ」

 わかっている。

 歩が力を込めたら、かなり痛いはずだ。腕を掴まれた時に実感した。

「裕太君の意思で手を振りほどかないんだよ」

 知っている。わかっている。
 改めて言われると緊張した。歩の良いようにされているような気がしてしかたがない。

「好きだよ、裕太君」

 その言葉をどこまで信じていいんだろうか。

 俺が同性愛者だって気づいたのは今日だ。正直、素直に認められた。どちらかといえば、女性に興味がなかった理由がわかってすっきりした気分だった。

「……俺も、好きだ、って言ったらどうするんだよ」

 勇気を振り絞って聞いてみた。

 失恋覚悟の上だ。好きになったばかりなら傷は浅くて済むだろうから。

 明日、元太に失恋したって報告しないといけないな。応援してくれたクラスメイトにも申し訳ない。でも、母さんたちが新婚旅行に行く前に蹴りをつけたかった。

 かわいいとか、好きだとか、簡単に口にするくせに俺が言ったら黙った。

 素直がいいとか言っていたじゃねーかよ。
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