後宮の元妓女は寵愛を受ける

佐倉海斗

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第二話 五年後、元妓女は動き出す

03-6.

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 しかし、父親が選んだのは楊家の引きこもりの三女を後宮入りさせるという都合のいい話だった。嘘で固められただけの話を梓豪は疑っていない。

 梓豪は妃賓の生まれを気にしなかった。

 先代皇帝の言い付けにより、四夫人は四大世家から選ばれるものの、それ以外は誰を選んでもかまわないとなっていた。妃賓の中には女官だった者も、下女だった者もいる。

 ……寵愛は受けているのは私だけよ。

 しかし、宰相の娘だというのにもかかわらず、妃賓の位は上がらなかった。宰相の娘ならば昭儀の位を与えられてもおかしくはない。

 四夫人と九賓が揃っている。

 上に登るためには皇后に選ばれるしかない。

 しかし、九賓の一番下では皇后に選ばれる可能性は低いだろう。

「人見知りが激しいものですから……」

「そうだったな。心を開いてくれるまで時間がかかったものだ」

「陛下は美しい方ですから。なおさら、緊張をいたします」

 可馨は恥ずかしそうに呟いた。

 今も緊張をしているのだというかのような言い方に初々しさを感じる。

 それに梓豪は気分を良くしていた。

 ……単純な方。

 可馨の演技を五年かかっても見破れない、

 それでは皇帝としての役目が果たせているのか、心配だ。政治のことは宰相たちに丸投げをしているのではないだろうか。

 ……皇帝にはふさわしくないわ。

 先代皇帝と比較してしまう。

 先代皇帝は李帝国に平穏をもたらし、国を治めた。今後も偉大な存在として語られていくことになるだろう。その息子だというのにもかかわらず、梓豪に威厳はなく、単純な人柄をしていた。

 ……皇帝の座に座るべきは、子涵よ。

 第一子である子涵は利口だった。

 母親である可馨の言いつけを守り、産まれたばかりの妹をかわいがる。理想的な息子だ。可馨の自慢だった。

「初々しいやつだ」

 梓豪は可馨をベッドに押し倒した。

 それを当然のように受け入れる。

 ……色欲魔が。

 心の中では暴言を吐いていたが、顔には一切出さなかった。
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