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第二話 『悪役令息の妹』の元婚約者に追われている
05-10.
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……恐ろしい。
強い魔力を感じた。
殺気はない。しかし、剣が手元にあれば間違いなく斬りかかっていただろう。
ミレイはなにもなかったかのように、視線をウォルトに向けて優しく微笑んでいた。
「……そうだな、ミレイの言う通りだ」
ウォルトはぼんやりとした目をしながら、頷いた。
「帰りましょう。ウォルト様」
「そうだな、帰ろうか」
ウォルトはミレイの手を握り、歩き始める。
帰ることに迷いはないようだ。
「送りましょうか」
ブラッドはウォルトに問いかける。
「いいえ。必要ありませんわ」
ミレイが答えた。
その言葉にウォルトは頷いた。
……操られている……?
ブラッドはウォルトの変化に違和感を抱いた。
ウォルトはブラッドに見向きもせず、さっさと部屋から出ていく。手を繋いでいるミレイも同じだ。
まるで二人だけの世界のようだった。
それをウォルトも望んでいるのだろうか。
「セバス。メイドに部屋の掃除を頼んでくれ」
「かしこまりました」
セバスは頭を下げて部屋から出て行った。
……嫌な予感がする。
ブラッドはため息を零した。
……どうして巻き込まれなきゃいけないのか。
放っておけばいいとわかっている。
王族の中でもウォルトは浮いた存在だ。今回の件はさらにウォルトの立場を悪くするだろう。そんな相手を丁重に迎え入れたところで侯爵家の評判は悪くなってしまうだけである。
距離をとらなければならない。
それを頭ではわかっていても、受け入れるのには時間が必要だった。
掃除をするメイドの邪魔にならないようにブラッドは応接間を出て行った。
強い魔力を感じた。
殺気はない。しかし、剣が手元にあれば間違いなく斬りかかっていただろう。
ミレイはなにもなかったかのように、視線をウォルトに向けて優しく微笑んでいた。
「……そうだな、ミレイの言う通りだ」
ウォルトはぼんやりとした目をしながら、頷いた。
「帰りましょう。ウォルト様」
「そうだな、帰ろうか」
ウォルトはミレイの手を握り、歩き始める。
帰ることに迷いはないようだ。
「送りましょうか」
ブラッドはウォルトに問いかける。
「いいえ。必要ありませんわ」
ミレイが答えた。
その言葉にウォルトは頷いた。
……操られている……?
ブラッドはウォルトの変化に違和感を抱いた。
ウォルトはブラッドに見向きもせず、さっさと部屋から出ていく。手を繋いでいるミレイも同じだ。
まるで二人だけの世界のようだった。
それをウォルトも望んでいるのだろうか。
「セバス。メイドに部屋の掃除を頼んでくれ」
「かしこまりました」
セバスは頭を下げて部屋から出て行った。
……嫌な予感がする。
ブラッドはため息を零した。
……どうして巻き込まれなきゃいけないのか。
放っておけばいいとわかっている。
王族の中でもウォルトは浮いた存在だ。今回の件はさらにウォルトの立場を悪くするだろう。そんな相手を丁重に迎え入れたところで侯爵家の評判は悪くなってしまうだけである。
距離をとらなければならない。
それを頭ではわかっていても、受け入れるのには時間が必要だった。
掃除をするメイドの邪魔にならないようにブラッドは応接間を出て行った。
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