婚約破棄された悪役令息は大公に嫁ぐ

佐倉海斗

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第三話 大公夫人VS大公の幼馴染

03-3.

「……一定条件を満たさないと役に立たないギフトだ」

 アレンは口を開いた。

 アレンの撮影会に参加をしていた男性貴族たちの一部はクリスの魅了にかかることだろう。熱心にアレンを追っていた人々はクリスの魅了にかからないだろう。その線引きがアレンには酷く残酷に思えた。

 クリスは愛を知らない。

 男性を虜にするのはクリスの魅了の力によるものだ。アレンと接触をするだけで魅了が解けてしまうほどに弱い力である。

 だからこそ、クリスはアレンを求めた。

 正反対な力を持つからこそ、自身の魅了の力に負けないと気づいたのだ。クリスにとって、魅了の力ではなく、自分自身を見てくれる男性はアレンだけだった。

「元婚約者は条件を満たさなかったのか?」

「満たさなかった。言っただろ? 社交界のエスコートもまともにできないような屑野郎だったって! だから、クリスなんかに魅了されるんだ」

「そうか。それはよかった」

 シリルは満足したようだ。

 ……俺の婚約破棄を喜ぶのはシリルくらいだ。

 婚約破棄をしていなければ、アレンはシリルの元に嫁げなかった。

 それをわかっているからこそ、シリルの言葉にアレンも同意をする。

「アレンを手にするのは俺だけでいい」

「知ってる。おい、客人の前でキスはするな。かわいそうだろうが!」

「そうか?」

 シリルは首を傾げた。

 アレンはそっとシリルから離れ、シリルの隣に並ぶ。

「蕩けた顔を見せつけたくはないのか?」

「そんな趣味はねーよ!」

「そうか」

 シリルはキスをするのを諦めた。

 そのやり取りを聞いていたサーラは頬を赤らめていた。

「生き生きとしてますね」

 サーラは感心したように呟いた。

「ゲームの世界とは大違いです」

 サーラは安心したようだった。

 BLゲームの世界のアレンはなにもかも諦めている悪役令息だった。婚約者をクリスに寝取られたことにより、嫉妬深くなり、疑い深くなる。そして、最後は断罪をされて貴族の後妻になるのだ。その流れは変わってしまった。
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