婚約破棄された悪役令息は大公に嫁ぐ

佐倉海斗

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第四話 騎士団

01-6.

「婚約を破棄されているんだ。利用されるのは当然だと思っていた」

「だが、あれは相手が悪い」

「そうだとも。でも、世間の目は違うだろ?」

 アレンは割り切っていた。
 社交界の噂には慣れている。

「社交界では俺が悪者だ」

 アレンは慣れていた。

 人形のような見た目に惹かれる人は大勢いた。しかし、シリル以外でアレンの中身まで愛した人はいなかった。

 誰もが愛するのはアレンの見た目だけだ。

 その環境に慣れていた。

「どこかの貴族の後妻にされなかっただけでも運が良かった」

「その可能性があったのか?」

「打診は山のように来ていたからな。父上が欲に忠実な性格でよかったと思うくらいだ」

 アレンは勘違いをしていることに気づかない。

 今後も気づくことはないだろう。

 家族から愛されていたとは思っていない。

「そうか」

 シリルはアレンの頭を優しく撫ぜた。

 同情をしたわけではない。貴族社会がそういうものだと知っているからだ。

「侯爵には感謝をしなければならないな」

「そうだろ。欲望まみれの父上が心配の手紙を寄越したぞ」

「心配?」

 シリルは首を傾げる。

 魔法石の流通量を増やすことを催促するような手紙ならば、シリルの元にも届いている。結婚をしたのならば身内も同然。配慮をするべきだという内容の手紙だ。

「子どもを早く作れって内容の手紙だ」

「すぐにできるものではないだろう」

「父上は大公家での地位を盤石にする為には、子どもは必須だと考えているんだよ。そんなことしなくても、俺に危害を与えられるやつなんていないのにな」

 アレンの言葉にシリルは絶句した。

 ……なにを驚いているんだ?

 その驚き方にアレンも驚いた。

 ……子どもなんて利用するものだろう。

 子どもは貴族社会にとって重要な駒だ。アレンは子どもを愛するつもりではいるものの、なにかあれば、政略の駒として使われるのはしかたがないと考えている。
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