72 / 82
第四話 騎士団
01-12.
この世界はBLゲームの世界だ。それを知っている人間はギフトを与えられ、世界中に存在している。アレンもその一人だった。
だからこそ、目立つ存在だと自覚していた。
「だからって、抱き抱えられて移動するのは嫌だ! 俺は一人ではなにもできないみたいじゃないか!」
アレンは訴えた。
その言葉を聞き、シリルは笑った。
「そうなってくれたらいいのに」
「なにもよくないだろ! シリルは俺に甘すぎるんだ」
「そんなことはない」
シリルは否定する。
どうやら自覚がないようだ。
……手つきが優しい。
宝物を抱きかかえている子どものようだった。
「とにかく、早く降ろせ!」
アレンは抗議の声をあげる。
それにシリルは聞かないふりをして歩いていく。
雪道を転ぶことなく歩き、訓練場へと向かう。
「シリル!」
アレンは顔を真っ赤にして名前を呼ぶ。
「なんだ」
シリルはそれには答えた。
「恥ずかしいから降ろせ!」
「恥ずかしがっている顔も素敵だな」
「褒めている場合じゃねーから! 嬉しくもない!」
アレンの抗議の声は届かない。
騒いでいる間に訓練場に到着をした。屋敷のすぐそばに用意されているようだ。
訓練をしていた騎士たちが一斉に動きを止め、シリルに敬礼をする。その眼は信じられないものを見ているような目ばかりであった。昨日、アレンが大暴れをしてシリルに勝利をした現場を見た騎士も中には含まれているだろう。
「降ろせ」
アレンの言葉にシリルは従った。
床に足をつけるとアレンは騎士たちを睨む。
……貴族出身が少ない。
アレンの顔を見て動揺している者が少ない。
アレンのことを知らない騎士ばかりだった。
だからこそ、目立つ存在だと自覚していた。
「だからって、抱き抱えられて移動するのは嫌だ! 俺は一人ではなにもできないみたいじゃないか!」
アレンは訴えた。
その言葉を聞き、シリルは笑った。
「そうなってくれたらいいのに」
「なにもよくないだろ! シリルは俺に甘すぎるんだ」
「そんなことはない」
シリルは否定する。
どうやら自覚がないようだ。
……手つきが優しい。
宝物を抱きかかえている子どものようだった。
「とにかく、早く降ろせ!」
アレンは抗議の声をあげる。
それにシリルは聞かないふりをして歩いていく。
雪道を転ぶことなく歩き、訓練場へと向かう。
「シリル!」
アレンは顔を真っ赤にして名前を呼ぶ。
「なんだ」
シリルはそれには答えた。
「恥ずかしいから降ろせ!」
「恥ずかしがっている顔も素敵だな」
「褒めている場合じゃねーから! 嬉しくもない!」
アレンの抗議の声は届かない。
騒いでいる間に訓練場に到着をした。屋敷のすぐそばに用意されているようだ。
訓練をしていた騎士たちが一斉に動きを止め、シリルに敬礼をする。その眼は信じられないものを見ているような目ばかりであった。昨日、アレンが大暴れをしてシリルに勝利をした現場を見た騎士も中には含まれているだろう。
「降ろせ」
アレンの言葉にシリルは従った。
床に足をつけるとアレンは騎士たちを睨む。
……貴族出身が少ない。
アレンの顔を見て動揺している者が少ない。
アレンのことを知らない騎士ばかりだった。
あなたにおすすめの小説
悪役令息(Ω)に転生した俺、破滅回避のためΩ隠してαを装ってたら、冷徹α第一王子に婚約者にされて溺愛されてます!?
水凪しおん
BL
前世の記憶を持つ俺、リオネルは、BL小説の悪役令息に転生していた。
断罪される運命を回避するため、本来希少なΩである性を隠し、出来損ないのαとして目立たず生きてきた。
しかし、突然、原作のヒーローである冷徹な第一王子アシュレイの婚約者にされてしまう。
これは破滅フラグに違いないと絶望する俺だが、アシュレイの態度は原作とどこか違っていて……?
処刑される悪役令息に転生したらなぜか推しの騎士団長がグイグイ近づいてくる
猫に小判
BL
交通事故で死んだはずの会社員・田中悠人は、気がつくとBL小説『恋と陰謀~はじまりは夜に~』の世界に転生していた。
しかも転生先は、原作で処刑される悪役令息エリオット。
当然そんな未来は回避したい。
原作知識を頼りに慎重に立ち回るつもりだったのに、気づけば王宮を揺るがす事件に巻き込まれていく。
さらに困ったことに、原作で一番の推しだった騎士団長ガイウスがやたらと距離を詰めてきて……?
平穏に生きたい元悪役令息と、過保護な騎士団長がじれじれ距離を縮める話。
ガイウス(騎士団長)×エリオット(元悪役令息)
基本的には二人の関係が主軸ですが、エリオットに関わる中で変わってく、周りの人間模様も描いているため、群像劇的な要素ありです。
どこか孤独な人たちが人との関わりの中で、それぞれ自分の居場所を見つけていきます。
(5/20完結予定 毎日0時更新)
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
BLゲームの展開を無視した結果、悪役令息は主人公に溺愛される。
佐倉海斗
BL
この世界が前世の世界で存在したBLゲームに酷似していることをレイド・アクロイドだけが知っている。レイドは主人公の恋を邪魔する敵役であり、通称悪役令息と呼ばれていた。そして破滅する運命にある。……運命のとおりに生きるつもりはなく、主人公や主人公の恋人候補を避けて学園生活を生き抜き、無事に卒業を迎えた。これで、自由な日々が手に入ると思っていたのに。突然、主人公に告白をされてしまう。
『死ぬほど愛されたい』と願ったら、最強の公爵家に転生して家族の愛が重すぎます!〜赤ちゃん令嬢は『慈愛の眼』で今日もデレを解析中〜
五十嵐紫
ファンタジー
元・社畜SE、今世は国宝級の赤ん坊!? 最強の父様とお兄様が過保護すぎて、一歩歩くだけで国が揺れちゃいます!
真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~
水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。
アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。
氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。
「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」
辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。
これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!
婚約破棄を提案したら優しかった婚約者に手篭めにされました
多崎リクト
BL
ケイは物心着く前からユキと婚約していたが、優しくて綺麗で人気者のユキと平凡な自分では釣り合わないのではないかとずっと考えていた。
ついに婚約破棄を申し出たところ、ユキに手篭めにされてしまう。
ケイはまだ、ユキがどれだけ自分に執着しているのか知らなかった。
攻め
ユキ(23)
会社員。綺麗で性格も良くて完璧だと崇められていた人。ファンクラブも存在するらしい。
受け
ケイ(18)
高校生。平凡でユキと自分は釣り合わないとずっと気にしていた。ユキのことが大好き。
pixiv、ムーンライトノベルズにも掲載中
処刑されたくない悪役宰相、破滅フラグ回避のため孤独なラスボス竜を懐柔したら番として溺愛される
水凪しおん
BL
激務で過労死した俺が転生したのは、前世でやり込んだBLゲームの悪役宰相クリストフ。
しかも、断頭台で処刑される破滅ルート確定済み!
生き残る唯一の方法は、物語のラスボスである最強の”魔竜公”ダリウスを懐柔すること。
ゲーム知識を頼りに、孤独で冷徹な彼に接触を試みるが、待っていたのは絶対零度の拒絶だった。
しかし、彼の好物や弱みを突き、少しずつ心の壁を溶かしていくうちに、彼の態度に変化が訪れる。
「――俺の番に、何か用か」
これは破滅を回避するためのただの計画。
のはずが、孤独な竜が見せる不器用な優しさと独占欲に、いつしか俺の心も揺さぶられていく…。
悪役宰相と最強ラスボスが運命に抗う、異世界転生ラブファンタジー!