婚約破棄された悪役令息は大公に嫁ぐ

佐倉海斗

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第四話 騎士団

01-12.

 この世界はBLゲームの世界だ。それを知っている人間はギフトを与えられ、世界中に存在している。アレンもその一人だった。

 だからこそ、目立つ存在だと自覚していた。

「だからって、抱き抱えられて移動するのは嫌だ! 俺は一人ではなにもできないみたいじゃないか!」

 アレンは訴えた。

 その言葉を聞き、シリルは笑った。

「そうなってくれたらいいのに」

「なにもよくないだろ! シリルは俺に甘すぎるんだ」

「そんなことはない」

 シリルは否定する。

 どうやら自覚がないようだ。

 ……手つきが優しい。

 宝物を抱きかかえている子どものようだった。

「とにかく、早く降ろせ!」

 アレンは抗議の声をあげる。

 それにシリルは聞かないふりをして歩いていく。

 雪道を転ぶことなく歩き、訓練場へと向かう。

「シリル!」

 アレンは顔を真っ赤にして名前を呼ぶ。

「なんだ」

 シリルはそれには答えた。

「恥ずかしいから降ろせ!」

「恥ずかしがっている顔も素敵だな」

「褒めている場合じゃねーから! 嬉しくもない!」

 アレンの抗議の声は届かない。

 騒いでいる間に訓練場に到着をした。屋敷のすぐそばに用意されているようだ。

 訓練をしていた騎士たちが一斉に動きを止め、シリルに敬礼をする。その眼は信じられないものを見ているような目ばかりであった。昨日、アレンが大暴れをしてシリルに勝利をした現場を見た騎士も中には含まれているだろう。

「降ろせ」

 アレンの言葉にシリルは従った。

 床に足をつけるとアレンは騎士たちを睨む。

 ……貴族出身が少ない。

 アレンの顔を見て動揺している者が少ない。

 アレンのことを知らない騎士ばかりだった。
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