悪役令嬢の兄ですが、騎士団長に執着溺愛されています

佐倉海斗

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第一話 悪役令嬢の兄、大公の嫁になる

02-7.

「カイルは?」

 アーサーの問いかけの意味はカイルに伝わらなかった。

 カイルは首を傾げる。

 この手の話題に弱いことはアーサーもよく知っていた。

「私のことが好きなのか?」

「……たぶん。どちらかというと、好きかと思います」

「あいまいだな」

 アーサーは笑った。

 それから、ベッドに腰かける。

「番契約はする」

 アーサーは断言した。

「私以外にフェロモンを撒くな」

 アーサーの言葉に対し、カイルは頷いた。

 ……所有物にするってことか。

 ただし、アーサーの真剣な言葉の意味は履き違えられていた。

 ……意外と独占欲強いんだな。

 きゅんっと胸の奥が高鳴るのを感じる。

「わかりました」

 カイルは素直に頷いた。

 その姿を見てアーサーは安心したようだった。

「飲んでくれないか」

「え?」

「例の薬だ。持っているのだろう」

 アーサーに言われ、視線を鞄に向ける。

 鞄の中には小箱がしまわれている。

「でも、まだ、夕方ですし」

 性転換の妙薬を飲めば発情期が来る。

 その発情期は期間は短いものの、アルファの性欲を誘発するフェロモンが出続けるものだ。番契約を結び、セックスをすれば簡単に治まる副作用である。

 本物の発情期とは違う。

 頭ではわかっていても、目の前で飲むように言われると緊張する。

「関係ない」

 アーサーは言い切った。

 夕食は既に子爵邸で済ませてある。家族で過ごす最後の時間として、早めの夕食会になったのだ。そのことをアーサーも知っていた。
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