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第三話 スコット公爵家主催のお茶会
02-6.
……監禁の噂は消えそうもないな。
むしろ、本当に屋敷に監禁されそうな勢いだ。
……社交界に出ていた時間が短すぎる。
想定外だった。
誰もがカイルに同情をする場において、アーサーの居心地は悪かったことだろう。
「アーサーはそれでいいのですか?」
カイルは問いかける。
……不名誉な噂ばかりなのに。
噂を撤回しようとしなくていいのだろうか。
「私はかまわない」
アーサーは答えた。
「元々嫌われ者の大公だ。いまさら、噂が広まったっところで仕事に支障もないだろう」
アーサーは自虐的に言う。
それをカイルは否定できなかった。
……近衛騎士団の中でアーサーを慕っている人はいない。
仕事もできないくせに大公という立場だけで騎士団長に選ばれたと思われている。そのことをカイルはよく知っていた。数日前まではカイルもそう思っていたからだ。
「書類仕事だけをしていると思われていますよ」
「そうなのか?」
「はい。近衛騎士団は見回りと王族の警護が主な仕事ですから」
カイルの言葉にアーサーはため息を零した。
……事務員のように思われていると言わない方が良さそうだ。
近衛騎士団の騎士たちは、誰一人としてアーサーを騎士団長として慕っていない。呼び名こそ騎士団長と呼んでいるものの、実際には誰もそんなことを思っていない。
「事情を知らないのです、誤解されるのもしかたがないことなのでしょう?」
カイルが事情を話しに行くこともできない。
アルファだけで構成されている騎士団にオメガのカイルが立ち入ることはできないのだ。同僚たちに別れを告げることさえも許されなかった。
「そうだな」
アーサーは否定しなかった。
「それでいいんだ」
アーサーは諦めてしまったのかもしれない。
カイルの髪を乱暴に撫ぜながら、アーサーはそう言った。
むしろ、本当に屋敷に監禁されそうな勢いだ。
……社交界に出ていた時間が短すぎる。
想定外だった。
誰もがカイルに同情をする場において、アーサーの居心地は悪かったことだろう。
「アーサーはそれでいいのですか?」
カイルは問いかける。
……不名誉な噂ばかりなのに。
噂を撤回しようとしなくていいのだろうか。
「私はかまわない」
アーサーは答えた。
「元々嫌われ者の大公だ。いまさら、噂が広まったっところで仕事に支障もないだろう」
アーサーは自虐的に言う。
それをカイルは否定できなかった。
……近衛騎士団の中でアーサーを慕っている人はいない。
仕事もできないくせに大公という立場だけで騎士団長に選ばれたと思われている。そのことをカイルはよく知っていた。数日前まではカイルもそう思っていたからだ。
「書類仕事だけをしていると思われていますよ」
「そうなのか?」
「はい。近衛騎士団は見回りと王族の警護が主な仕事ですから」
カイルの言葉にアーサーはため息を零した。
……事務員のように思われていると言わない方が良さそうだ。
近衛騎士団の騎士たちは、誰一人としてアーサーを騎士団長として慕っていない。呼び名こそ騎士団長と呼んでいるものの、実際には誰もそんなことを思っていない。
「事情を知らないのです、誤解されるのもしかたがないことなのでしょう?」
カイルが事情を話しに行くこともできない。
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「そうだな」
アーサーは否定しなかった。
「それでいいんだ」
アーサーは諦めてしまったのかもしれない。
カイルの髪を乱暴に撫ぜながら、アーサーはそう言った。
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