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睡眠薬とアルコール
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くもり硝子の向こうは風の街
そうね誕生石ならルビーなの
寺尾聡(てらお あきら)「ルビーの指環」より
少しタバコの脂(やに)で黄ばみのついた部屋の壁紙の様な、京阪電車の車両に乗り込んだ。
謎のウイルスが蔓延してから、京都では電車を使う観光客も通勤客も減った。
平日の昼間とはいえ、古びた横がけのシートに腰を掛けても、他の乗客は距離をとって座ってくれる。
観光収入に頼っていた京都の町は、中国人をはじめとするインバウンドが急に途絶えて、田舎になったような空気が漂っている。
というより、京都は、もともと、都会というより、地方なのだと思う。
千年だか、二千年だとかの都は、古き良き価値観に縛られ、高すぎるプライドで身動きが取れないように見えている。
比叡山などの山々に囲まれた盆地で、じめっとした空気が、この土地の人たちに良く合っている。
豊かな伝統文化や歴史的な遺産の息づかいが聞こえる街で、魅力的に感じる瞬間はあるが、そのほかはそうでもなかったりする。
それでも、日本でもっともいかにも日本らしい景色や話題が密集している小道には、お香の香りや流ちょうな関西弁をあやつる子供の声がして心地が良い。
そういえばいつからだろうか、眠れなくなったのは。
夜には指先がしびれ、スマホを触るのも疲れたのに、眠れないことが怖い。
四畳半の寝室に、豆球だけつけて、暗闇に液晶の画面が浮かび上がる。
「はやく、あなたのもとでねむりたい。」
こう願うのは、現実からの逃避だろうか。
睡眠薬を飲みたいけれど、アルコールとの飲み合わせが怖い。
そうね誕生石ならルビーなの
寺尾聡(てらお あきら)「ルビーの指環」より
少しタバコの脂(やに)で黄ばみのついた部屋の壁紙の様な、京阪電車の車両に乗り込んだ。
謎のウイルスが蔓延してから、京都では電車を使う観光客も通勤客も減った。
平日の昼間とはいえ、古びた横がけのシートに腰を掛けても、他の乗客は距離をとって座ってくれる。
観光収入に頼っていた京都の町は、中国人をはじめとするインバウンドが急に途絶えて、田舎になったような空気が漂っている。
というより、京都は、もともと、都会というより、地方なのだと思う。
千年だか、二千年だとかの都は、古き良き価値観に縛られ、高すぎるプライドで身動きが取れないように見えている。
比叡山などの山々に囲まれた盆地で、じめっとした空気が、この土地の人たちに良く合っている。
豊かな伝統文化や歴史的な遺産の息づかいが聞こえる街で、魅力的に感じる瞬間はあるが、そのほかはそうでもなかったりする。
それでも、日本でもっともいかにも日本らしい景色や話題が密集している小道には、お香の香りや流ちょうな関西弁をあやつる子供の声がして心地が良い。
そういえばいつからだろうか、眠れなくなったのは。
夜には指先がしびれ、スマホを触るのも疲れたのに、眠れないことが怖い。
四畳半の寝室に、豆球だけつけて、暗闇に液晶の画面が浮かび上がる。
「はやく、あなたのもとでねむりたい。」
こう願うのは、現実からの逃避だろうか。
睡眠薬を飲みたいけれど、アルコールとの飲み合わせが怖い。
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