奇跡の神様

白木

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第四章 鳥像の門

ずっと一緒に5

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 完成した自分の使いを見た時には感動で言葉が何も思いつかなった。以前の僕もそうだったのか知らないが、完成してから数日、カド――隅っこが好きなその子は目を開かなかった。早くきれいな目で僕を見て欲しい。

「お前もこうだったんだよ」

 僕の心に答えるように作成者が言った。

 その両手は神様の水の中にある。まだ何か作っているのだろか。完成したと思っていたのに。

「着る物を造っているんだよ」

 そうか、薄い紫色で、僕の白一色のよりお洒落だ。

「お前のは、ちょっと何ていうか……初めて造ったから、あんまり……ごめんな。身体を造り終わって疲れていたんだ」

「ん?」

 僕の着物がどうしたんだろう。何を言い訳しているんだろう。

「気にしないでくれ」

 僕と目を合わさず作成者が言った。


 青いガラス玉越しにその子と目が合って、幻想的な瞬間を楽しんでいると、

「そろそろ出してやってもいいか」

 作成者に声をかけられた。ガラス越しの会話が名残り惜しかったが、いつまでもこうしてはいられないので横にずれた。

 ガラス玉の正面に作成者が立ち、柔らかい動きで神様の水の中のカドを引き寄せた。

 ぐにゃりとカドの身体が動いて、手前に引き寄せられると、ゆっくりとガラスの外に出て、そのまま作成者の足元の白い床にへたりこんだ。

「会いたかったよ」

 作成者がきれいな紫色の着物を肩にかけるのももどかしく、僕は横からカドに抱きついた。

「シロキさん」

 声までかわいい。

「お前と大違いだ、最初からしっかり声を出せるなんて」

 どういう意味だろう。最初の頃の記憶は曖昧だ。

「さあ、シロキちょっとよけて」

 作成者がそう言ってカドの着物を整える。

 すごく、似合う。僕はこの子といると語彙が少なくなるような気がする。というよりあまり言葉が必要ない。

 着物をきれいに着せ、作成者が言った。

「二人とも、鏡の浄化場で雪遊びの続きをするかい?」

 僕はカドの手を握って立ち上がった。

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