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第四章 鳥像の門
地獄4
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カドを説得するのにしばらくかかった。
門を僕から造るとしたら、そしてそれが魂を運べるほどのものだとしたら、当然僕の身体と魂を使って造るのだろう。
以前、触れただけで僕を裂いたあの刃を使うのだろうか。
「そんな事するなら門なんていらない。シロキさん、断って」
「僕なら大丈夫だよ。直ぐに再成するから。寂しいだろうけど、少し待っていて」
いつも聞き分けの良いカドが珍しく怒って譲ってくれない。
本当は僕だって凄く寂しい。
「そんなに門が必要なら俺がなってあげる」
そんな無茶を言うのも可愛かったけれど、僕の中には神様の務めを果たしたい、という新たな思いが芽生えていた。神様の特性なのだろうか。
「門は必要だけど、お前を門にはさせないよ。僕は平気だから、お願いわかって」
泣きだすのを堪えて頷く姿が愛おし過ぎて、思わず抱きついてしまう。
この子の願いは何だろう。いつか覗いてみたい。僕は興味で人の心を映したりしない。望まれた時だけだ。
不自然な僕はみんなの願いが無くなった時に消える。
「わかった。俺はシロキさんのそばで待ってる。シロキさんが再成するまで絶対離れないよ。門が完成してもしなくても、地獄が壊れようと、誰が消えようと絶対」
「大袈裟だな、僕は直ぐに戻るから、ね……」
そう言って作成者の方を見ると無表情の目に涙を溜めていた。こっちはこっちで何んなのさ。
「何であなたが泣くの。自分が切り刻むんでしょ。そんなんじゃ手元が狂っちゃう。僕を怖がらせないで」
作成者はそんな僕を無視してカドの肩に手を置いた。
「わたしもお前ほど強かったら、世界は今どうなっていただろう」
「……」
ほら、カドが困っているじゃないか「どうなっていただろう」なんて知る訳がない。
「シロキ、青いガラス玉の前に立って」
すくっと立ち上がると素気なく僕に言う。
本当に二人の事が時々遠く感じて寂しい。
青いガラス玉が大きさを自在に変えることはカドの生成の過程を見て知っていた。
一見硬質なそれのどこに、伸縮可能な要素があるのか解らないけれど。
今、目の前にあるガラス玉は作成者の掌の中に収まっているけれど、僕が指先を触れたら、それは僕を包み込むように拡がるはずだ。
伸ばした自分の指先が震えているのがわかる。怖いんじゃない。門を持つ未来に興奮している。
ガラス玉の中の青い液体も僕の鼓動に合わせて拍動している。その液体に生命の匂いを感じた瞬間、身体が呑み込れた。
門を僕から造るとしたら、そしてそれが魂を運べるほどのものだとしたら、当然僕の身体と魂を使って造るのだろう。
以前、触れただけで僕を裂いたあの刃を使うのだろうか。
「そんな事するなら門なんていらない。シロキさん、断って」
「僕なら大丈夫だよ。直ぐに再成するから。寂しいだろうけど、少し待っていて」
いつも聞き分けの良いカドが珍しく怒って譲ってくれない。
本当は僕だって凄く寂しい。
「そんなに門が必要なら俺がなってあげる」
そんな無茶を言うのも可愛かったけれど、僕の中には神様の務めを果たしたい、という新たな思いが芽生えていた。神様の特性なのだろうか。
「門は必要だけど、お前を門にはさせないよ。僕は平気だから、お願いわかって」
泣きだすのを堪えて頷く姿が愛おし過ぎて、思わず抱きついてしまう。
この子の願いは何だろう。いつか覗いてみたい。僕は興味で人の心を映したりしない。望まれた時だけだ。
不自然な僕はみんなの願いが無くなった時に消える。
「わかった。俺はシロキさんのそばで待ってる。シロキさんが再成するまで絶対離れないよ。門が完成してもしなくても、地獄が壊れようと、誰が消えようと絶対」
「大袈裟だな、僕は直ぐに戻るから、ね……」
そう言って作成者の方を見ると無表情の目に涙を溜めていた。こっちはこっちで何んなのさ。
「何であなたが泣くの。自分が切り刻むんでしょ。そんなんじゃ手元が狂っちゃう。僕を怖がらせないで」
作成者はそんな僕を無視してカドの肩に手を置いた。
「わたしもお前ほど強かったら、世界は今どうなっていただろう」
「……」
ほら、カドが困っているじゃないか「どうなっていただろう」なんて知る訳がない。
「シロキ、青いガラス玉の前に立って」
すくっと立ち上がると素気なく僕に言う。
本当に二人の事が時々遠く感じて寂しい。
青いガラス玉が大きさを自在に変えることはカドの生成の過程を見て知っていた。
一見硬質なそれのどこに、伸縮可能な要素があるのか解らないけれど。
今、目の前にあるガラス玉は作成者の掌の中に収まっているけれど、僕が指先を触れたら、それは僕を包み込むように拡がるはずだ。
伸ばした自分の指先が震えているのがわかる。怖いんじゃない。門を持つ未来に興奮している。
ガラス玉の中の青い液体も僕の鼓動に合わせて拍動している。その液体に生命の匂いを感じた瞬間、身体が呑み込れた。
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