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第四章 鳥像の門
嫉妬の影1
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――これはなんだろう。
神様の心臓から取り分けた、生命の水が満ちるガラス玉の前で考えていた。
黒い煤のようなものが浮いている。
今わたしは鏡の地獄からすくい上げた赤い魂と、一緒に連れてきた紫の魂たちを混ぜて大きな空になじむ色の美しい鳥を完成させたところだった。
この黒いのは今まで鳥を造った時も、神様や悪魔を造った時も見たことがない。
いつまでも水槽の中に入れて置くわけにはいかない。腕を入れて触れてみる。
ふにゃふにゃしていた。掴めるのだけれど、掴みどころがない。
何だこれ? ちょっと気持ち悪い。汚いものには慣れている。滅多なことで気持ち悪いなんて思わないのに、これはちょっと……と思う感触があった。
ごめんなさい、神様。こんなものをあなたの血液に入れてしまって。気持ち悪いでしょう、直ぐに取り出します。
そう神様に話しかけながら、引っ張るがぬるぬるしてかなり手こずった。
「何? これ」
シロキみたいな間の抜けた声を出してしまった。
わたしの手からこぼれ落ちそうになる度、それは必至に指に絡みついてくる。その必死さが気持ち悪いけれど、可愛らしくも感じてしまった。
「おいおい、落ちるなよ。乾かしてやろう、少しはましになるかも知れない」
陽の当たる白い床の上に置いてやる。
驚いたことにわたしの足元に纏わりついてきた。行かないで、と言われているみたいで嬉しくなる。
「大丈夫、どこにも行かないよ」
返事はなくても、久しぶりに一人じゃないことに明るい気持ちになる。
しばらくすると乾いてきて、ふかふかしてきた。思ったより悪くない。少なくともわたしの目には可愛い。
他にどうする事もできなかったし、わたしがそうしたいので、正体不明の生き物と生活を始めた。
その黒いやつはわたしに似て大きさを自由に変えることが出来た。そんなところにも親近感を覚えていた。
――これはなんだろう。
神様の心臓から取り分けた、生命の水が満ちるガラス玉の前で考えていた。
黒い煤のようなものが浮いている。
今わたしは鏡の地獄からすくい上げた赤い魂と、一緒に連れてきた紫の魂たちを混ぜて大きな空になじむ色の美しい鳥を完成させたところだった。
この黒いのは今まで鳥を造った時も、神様や悪魔を造った時も見たことがない。
いつまでも水槽の中に入れて置くわけにはいかない。腕を入れて触れてみる。
ふにゃふにゃしていた。掴めるのだけれど、掴みどころがない。
何だこれ? ちょっと気持ち悪い。汚いものには慣れている。滅多なことで気持ち悪いなんて思わないのに、これはちょっと……と思う感触があった。
ごめんなさい、神様。こんなものをあなたの血液に入れてしまって。気持ち悪いでしょう、直ぐに取り出します。
そう神様に話しかけながら、引っ張るがぬるぬるしてかなり手こずった。
「何? これ」
シロキみたいな間の抜けた声を出してしまった。
わたしの手からこぼれ落ちそうになる度、それは必至に指に絡みついてくる。その必死さが気持ち悪いけれど、可愛らしくも感じてしまった。
「おいおい、落ちるなよ。乾かしてやろう、少しはましになるかも知れない」
陽の当たる白い床の上に置いてやる。
驚いたことにわたしの足元に纏わりついてきた。行かないで、と言われているみたいで嬉しくなる。
「大丈夫、どこにも行かないよ」
返事はなくても、久しぶりに一人じゃないことに明るい気持ちになる。
しばらくすると乾いてきて、ふかふかしてきた。思ったより悪くない。少なくともわたしの目には可愛い。
他にどうする事もできなかったし、わたしがそうしたいので、正体不明の生き物と生活を始めた。
その黒いやつはわたしに似て大きさを自由に変えることが出来た。そんなところにも親近感を覚えていた。
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