鳥に追われる

白木

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第四章 守護鳥の夢

とまり石中央広場

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アオチ


 光が見えた。

 と言っても赤紫色の弱い光が、星雲みたいな形で浮かんでいるだけだが。

 何だ、暗闇はここで終わりか。みんなの姿をぼんやり確認しながら少しがっかりしている自分に驚いた。

 暗い所は怖いはずだったじゃないか。

本当の闇は中途半場な光より明るくて、俺に優しかった。今まで何も知らずに拒絶していたことを許して欲しい。

 生まれたところに還った気がしていた。

 俺たちの始まりは光なんかじゃない、闇から始まっている。そう確信したら怖いものが無くなった。光を――何か良さそうな物を失って違う世界に行くと思うから怖いんだ。 

 始まりから始め直す、ただそれだけだ。恐れる必要なんて何もない。

 光に目を慣らしていると、星雲には最初に見た赤紫色のだけではなく、様々な種類があるのに気がついた。いや違う、種類が増えたのではなく色が変化しているんだ。白や青や緑に少しずつ色を変える小さな星雲が、そこら中に散っている。

「うる」

 真後ろで声がした。そうだこいつ、さっき酔って寝てしまったばかりじゃないか。

「ウルウ、大丈夫か。初めて酒を飲んで驚いただろう」

「うる――」

 まだ眠いのか、とろんとした目で口数が少ない。

 こいつと次の世界で会えたなら、どんな風になっているんだろうな。それが心残りだ。

 この期に及んで、俺にはこの場所にとどまる予感しかない。

 頑張っているオオミとオゼには悪いが、俺は俺の意志に関係なくここに残ることになるだろう。

「お前が諦めても、俺はお前を諦めてないぞ」

 回収人の声がして振り返った。

「監視鳥は俺をここに閉じ込めようとしている、そうだよな」

 こいつに隠し事は無駄なんだ。みんなが宙に浮く星雲に気を取られている間に聞いておこう。

「安心しろ。その交渉なら断った。自分勝手な鳥だな。お前を自分の一部にして連れていくなんて。あいつ、神様の使いの細胞だぞ、それが自分からルールを破ってどうする。恋は怖いな」

 純粋な闇の中を歩いている時、鳥の声がして言われたんだ。全員を助けてやる代わりに、自分の元に残ってくれないかと。

 俺は頷いてしまったが、回収人は断った。選別の間、俺たちの命は回収人の手の中にある。

「俺はお前を渡さなかった」

 回収人はそれだけ言って、広場の中心を見た。

「うるう!」

 ウルウが叫び、俺もその視線の先を追う。

「あれか――」

 広場の中央にさっきまで無かった――いや、見えていなかった巨大な建造物が現れた。白壁の宮殿と言えば良いのか。

 もう一度息を整え言った。

「あれが、監視鳥の心臓か」

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