ドラゴンテールドリーマーは現在メンテナンス中です

弓屋 晶都

文字の大きさ
29 / 45

第5話 いつもの学校で (2/8)

しおりを挟む
『ただいまー』とスタンプを送りつつ、ログを辿る。
金曜の夜ということもあって、アイカ達ははしゃいでいた。
よく分からない爆笑ネタは、帰りの時の話だろうか。

最新のところまでログを追えば、どうやら今夜はみんなでビデオ通話で、女子会だかパジャマパーティーをしようということになっていた。

開始は20時半かぁ……。
どうしよう……。
カタナ達に一時間以内に相談して戻れば大丈夫だけど……。

私はしばらく悩んでから、文字をタップする。
『今夜は家族で、ご飯食べに行くことになってて……』
『ごめん!(←スタンプ)』
私の言葉に、アイカが非難の声を上げる。
『ええーーーーーー!?』
『どんより(←スタンプ)』
ひまりが突っ込んてくる。
『外食ダメっしょー、感染拡大してるしー?』
『帰ってから参加でいいよー』
と言ってくれる遥に、私は時計を見上げながら答える。
『20時半くらいから行くから、帰るの結構遅くなりそうだけど、戻り次第行くね』
ちょっと、夕飯に行くには遅すぎるかな……。
『いーけどさー、じゃあご飯の写真送ってね』
え……。
私は『了解っ』と元気いっぱいのスタンプを、憂鬱な気分で返した。

もしかして、疑われてる……のかな……。
私の考えすぎだろうか。
……けれど実際に、私はいつも嘘ばっかりだ。

……今日は別の友達と約束があるからって言えばいいだけだったのかな。
別の友達って誰? って聞かれるだろうか。
そしたら私はまた、別の学校の友達とか親戚とか言って誤魔化すのかな……。

写真……どうしよう。
このスマホに入ってるやつは、前にも見せたことがあったかもしれないし……。
私は、小学校からの友達に頼んで最近外食した時の写真をもらう。
『みさき、あんまり無理しないようにね。そのアイカ達のグループ、大変なんだったら……抜けてもいいんじゃないかな……』
友達は、クラスに居づらくなったらいつでもうちのクラスにおいでと声をかけてくれた。
『うん、ありがとう』
あったかい言葉にホッとする。
実際には、毎日休み時間の度に別のクラスまで行くのはあんまり現実的ではなかったけど、でも、友達がおいでと言ってくれたのは本当に嬉しい。

私は、この子には嘘をついてなかったな……と当時を思い返す。

いつから、どうして、私はこんなにたくさん嘘をつくようになってしまったんだろう。

そんな事を考えながら、夕飯とお風呂を済ませてDtDにログインする。
アイカ達の誰かがDtDにログインすれば、私がゲームを起動してることはバレるだろうけど、食事の待ち時間に起動してたとか食事中にオートで狩ってたことにすればいいだろうし。
そこまで考えてから、また憂鬱になる。
いつの間にか、あまりに自然に言い訳を考えている自分が嫌だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。

猫菜こん
児童書・童話
 小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。  中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!  そう意気込んでいたのに……。 「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」  私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。  巻き込まれ体質の不憫な中学生  ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主  咲城和凜(さきしろかりん)  ×  圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良  和凜以外に容赦がない  天狼絆那(てんろうきずな)  些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。  彼曰く、私に一目惚れしたらしく……? 「おい、俺の和凜に何しやがる。」 「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」 「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」  王道で溺愛、甘すぎる恋物語。  最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました

藤永ゆいか
児童書・童話
中学2年生になったある日、澄野星奈に許嫁がいることが判明する。 相手は、頭が良くて運動神経抜群のイケメン御曹司で、訳あって現在絶交中の幼なじみ・一之瀬陽向。 さらに、週末限定で星奈は陽向とふたり暮らしをすることになって!? 「俺と許嫁だってこと、絶対誰にも言うなよ」 星奈には、いつも冷たくてそっけない陽向だったが……。 「星奈ちゃんって、ほんと可愛いよね」 「僕、せーちゃんの彼氏に立候補しても良い?」 ある時から星奈は、バスケ部エースの水上虹輝や 帰国子女の秋川想良に甘く迫られるようになり、徐々に陽向にも変化が……? 「星奈は可愛いんだから、もっと自覚しろよ」 「お前のこと、誰にも渡したくない」 クールな幼なじみとの、逆ハーラブストーリー。

極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

猫菜こん
児童書・童話
 私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。  だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。 「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」  優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。  ……これは一体どういう状況なんですか!?  静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん  できるだけ目立たないように過ごしたい  湖宮結衣(こみやゆい)  ×  文武両道な学園の王子様  実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?  氷堂秦斗(ひょうどうかなと)  最初は【仮】のはずだった。 「結衣さん……って呼んでもいい?  だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」 「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」 「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、  今もどうしようもないくらい好きなんだ。」  ……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。

神ちゃま

吉高雅己
絵本
☆神ちゃま☆は どんな願いも 叶えることができる 神の力を失っていた

童話短編集

木野もくば
児童書・童話
一話完結の物語をまとめています。

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

笑いの授業

ひろみ透夏
児童書・童話
大好きだった先先が別人のように変わってしまった。 文化祭前夜に突如始まった『笑いの授業』――。 それは身の毛もよだつほどに怖ろしく凄惨な課外授業だった。 伏線となる【神楽坂の章】から急展開する【高城の章】。 追い詰められた《神楽坂先生》が起こした教師としてありえない行動と、その真意とは……。

処理中です...