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国王謁見
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プリスモンを蹴り飛ばして、ヴァードは一息ついた
部屋の窓から外を見ると園庭に次々と火矢が飛び込んできて
草花を燃やしているのが見えた
火の手を確認した商会が宮殿に火矢を放ち始めたのだ
レフィリア、フィーナと再会を果たしたヴァードであるが
話し込む時間はなかった
「レフィリア、フィーナ、お前たちは逃げろ
外も内部も炎はどんどん燃え広がってる
じきに宮殿は焼けて灰になるだろう
ベラスケス、二人を守ってやってくれ」
「わかったわ」
ベラスケスは首肯した
「そんな、おにーさん、わたしも行きます、ミリアちゃんが……」
ヴァードはフィーナの頭を撫でた
「あ……」
「ミリアは俺が連れ戻す、外で待っていろ」
「うん……」
「ヴァードさん、あなたには振り回されっぱなしでしたけど……
死なないでくださいよ……」
「死ぬ気はない、そもそも令旨を出して
俺をこの国に呼びつけたのは国王なんだ、
国が傾くほどの報奨金を支払わせてやる
商会の連中が宮殿の外にいるはずだ
会頭によろしくいっておいてくれ」
「ええ」
レフィリアは微笑んだ
「ヴァード!これを渡しておくわ!」
ベラスケスは蠱毒笛を手渡した
「まだ何発は打てるわ」
「お前の毒は役に立つ、この戦いが終わったら追加注文しよう」
「ふふ、じゃあねヴァード、お店で待ってるわ!」
ベラスケスたち三人は宮殿の外へ向かって去っていった
ヴァードは床に刺さったままになっていた
戦斧を引き抜きゆっくりと歩き出した
窓枠から宮殿の内部にも火矢が侵入し始めた
炎がゆらめく広間の大階段を一段一段上がっていく
二階に上がると一角に見事な彫刻で荘厳された扉があった
その先には長い廊下が続いていて、
壁や天井には精霊世界アムリアの神話が色鮮やかに描かれていた
ヴァードは無言で歩き続けた
神話が終わりを告げると、一気に空間が開けた
世界を司る精霊王アムリアルの巨大な像があり
その足元にある
宝石で彩られた聖台の上でミリアが横たわっていた
「……ミリア!?」
聖台の前で小さな老人が祈りを捧げていた
腰の曲がった体に白い絹の衣と真紅の外套を纏い
杖を持つ手は骨と皮だけになっていて
立っているのもやっとという風体であった
「遠路はるばる、よくぞ辿り着いたな強き者よ」
老人は真っ白な髭を触りながら柔和な笑みをのぞかせた
「国王……陛下……?」
「ふふふ……どうかこの哀れな老人の話を聞いてくれぬかな」
「ミリアに何をした」
「貢ぎ物……取引材料……」
「何を言っている」
「わしは王として、国を統べるものとして
平和のために何をなすべきかを考え、
魔王軍と和平を結ぶべきであるとの結論に至った
魔王軍はあまりに強大であり、
そして魔王様はあまりに偉大なお方であられる
わしは魔王軍に懇願した、どうかお救いくださいと
するとどうだ、国民の九割を食料として差し出すならば
和平もやぶさかではない、との寛大なご処置をいただいたのだ」
「正気か!?なぜ国をあげて戦わない
戦力はまだあるだろう」
「戦ったよ、そしてその度に敗北したのだ
叶いもせぬ希望はかえって人を蝕むのだヴァードよ
誰も彼も魔物に食われた方がずっと幸福になれるのだぁ!」
「あんたを信じていた国民や兵士もいたんだぞ」
「クズどもがようやく役に立ったのだ!本望であろう
ヴァード!お前もさっさと魔物に食われて糧となるがいい!
これは国王命令であるぞ!
そうだ!手始めにわしが直々に喰らってやろう!
ぐうおおおおおお!」
国王の衣服が引き裂かれ
小さな体が筋肉を帯びてどんどんと膨れ上がっていく
顔は崩れ、牙や爪が生え
どこまでも変わっていくのだった
「魔王様は王の中の王よ!
わしに不死身の肉体を授けてくださったぁ!!
ぬっ……ぐぅあああああああああああああ!」
国王の体を大鉈が貫いていた
聖堂の床を鮮血が汚した
「ヴァードォ!このクソ馬鹿野郎!ボーッとしてるんじゃねえ!
こいつはもう王じゃない!国王を 騙る化け物だ!」
「ピート!」
王の背後にボロボロになったピートが立っていた
大鉈を握りしめて
刃を国王の体に捻り込ませた
ぐちゅぐちゅとした音が出るたびに血が噴き出る
「死にやがれ!てめえのせいで!仲間が!兄貴が!」
「ぐううううううう!この兵士風情が!
取り立ててやった恩を忘れたかぁぁぁぁ!」
「国王よ、俺も言っておかないといけないことがある」
ヴァードは懐から
国王の証書を取り出して破り捨てた
「お前の命令など聞かん!」
ヴァードは雄叫びをあげ、一気に距離を詰めて
神速の速さで戦斧を振るうと
魔物と化した国王の首を刎ね飛ばした
部屋の窓から外を見ると園庭に次々と火矢が飛び込んできて
草花を燃やしているのが見えた
火の手を確認した商会が宮殿に火矢を放ち始めたのだ
レフィリア、フィーナと再会を果たしたヴァードであるが
話し込む時間はなかった
「レフィリア、フィーナ、お前たちは逃げろ
外も内部も炎はどんどん燃え広がってる
じきに宮殿は焼けて灰になるだろう
ベラスケス、二人を守ってやってくれ」
「わかったわ」
ベラスケスは首肯した
「そんな、おにーさん、わたしも行きます、ミリアちゃんが……」
ヴァードはフィーナの頭を撫でた
「あ……」
「ミリアは俺が連れ戻す、外で待っていろ」
「うん……」
「ヴァードさん、あなたには振り回されっぱなしでしたけど……
死なないでくださいよ……」
「死ぬ気はない、そもそも令旨を出して
俺をこの国に呼びつけたのは国王なんだ、
国が傾くほどの報奨金を支払わせてやる
商会の連中が宮殿の外にいるはずだ
会頭によろしくいっておいてくれ」
「ええ」
レフィリアは微笑んだ
「ヴァード!これを渡しておくわ!」
ベラスケスは蠱毒笛を手渡した
「まだ何発は打てるわ」
「お前の毒は役に立つ、この戦いが終わったら追加注文しよう」
「ふふ、じゃあねヴァード、お店で待ってるわ!」
ベラスケスたち三人は宮殿の外へ向かって去っていった
ヴァードは床に刺さったままになっていた
戦斧を引き抜きゆっくりと歩き出した
窓枠から宮殿の内部にも火矢が侵入し始めた
炎がゆらめく広間の大階段を一段一段上がっていく
二階に上がると一角に見事な彫刻で荘厳された扉があった
その先には長い廊下が続いていて、
壁や天井には精霊世界アムリアの神話が色鮮やかに描かれていた
ヴァードは無言で歩き続けた
神話が終わりを告げると、一気に空間が開けた
世界を司る精霊王アムリアルの巨大な像があり
その足元にある
宝石で彩られた聖台の上でミリアが横たわっていた
「……ミリア!?」
聖台の前で小さな老人が祈りを捧げていた
腰の曲がった体に白い絹の衣と真紅の外套を纏い
杖を持つ手は骨と皮だけになっていて
立っているのもやっとという風体であった
「遠路はるばる、よくぞ辿り着いたな強き者よ」
老人は真っ白な髭を触りながら柔和な笑みをのぞかせた
「国王……陛下……?」
「ふふふ……どうかこの哀れな老人の話を聞いてくれぬかな」
「ミリアに何をした」
「貢ぎ物……取引材料……」
「何を言っている」
「わしは王として、国を統べるものとして
平和のために何をなすべきかを考え、
魔王軍と和平を結ぶべきであるとの結論に至った
魔王軍はあまりに強大であり、
そして魔王様はあまりに偉大なお方であられる
わしは魔王軍に懇願した、どうかお救いくださいと
するとどうだ、国民の九割を食料として差し出すならば
和平もやぶさかではない、との寛大なご処置をいただいたのだ」
「正気か!?なぜ国をあげて戦わない
戦力はまだあるだろう」
「戦ったよ、そしてその度に敗北したのだ
叶いもせぬ希望はかえって人を蝕むのだヴァードよ
誰も彼も魔物に食われた方がずっと幸福になれるのだぁ!」
「あんたを信じていた国民や兵士もいたんだぞ」
「クズどもがようやく役に立ったのだ!本望であろう
ヴァード!お前もさっさと魔物に食われて糧となるがいい!
これは国王命令であるぞ!
そうだ!手始めにわしが直々に喰らってやろう!
ぐうおおおおおお!」
国王の衣服が引き裂かれ
小さな体が筋肉を帯びてどんどんと膨れ上がっていく
顔は崩れ、牙や爪が生え
どこまでも変わっていくのだった
「魔王様は王の中の王よ!
わしに不死身の肉体を授けてくださったぁ!!
ぬっ……ぐぅあああああああああああああ!」
国王の体を大鉈が貫いていた
聖堂の床を鮮血が汚した
「ヴァードォ!このクソ馬鹿野郎!ボーッとしてるんじゃねえ!
こいつはもう王じゃない!国王を 騙る化け物だ!」
「ピート!」
王の背後にボロボロになったピートが立っていた
大鉈を握りしめて
刃を国王の体に捻り込ませた
ぐちゅぐちゅとした音が出るたびに血が噴き出る
「死にやがれ!てめえのせいで!仲間が!兄貴が!」
「ぐううううううう!この兵士風情が!
取り立ててやった恩を忘れたかぁぁぁぁ!」
「国王よ、俺も言っておかないといけないことがある」
ヴァードは懐から
国王の証書を取り出して破り捨てた
「お前の命令など聞かん!」
ヴァードは雄叫びをあげ、一気に距離を詰めて
神速の速さで戦斧を振るうと
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