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第一章 出会い
第7話 作戦開始
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しかしその日、いくら待ってもレオの元に老人がやってくることはなかった。
翌日、レオは朝早くに目を覚ました。
(……ハッ! いつの間にか寝てたのか 俺は)
気を張っていたはずなのに寝ていたことに気付いたレオは思わず自嘲気味に笑みをこぼした。
(しかし、ちょっと寝たら少しは身体が楽になったな……)と寝起きで凝り固まった身体を、痛みに顔を歪ませながら動かすと、レオは目を瞬かせた。
そんなことを考えていると、不意に屋根裏部屋へ誰かが近づいてくる気配を感じた。
(この気配は……)
レオは、全身の神経を研ぎ澄ませ、その人物がやってくるのを待った。
ガチャ
扉を開けて入ってきたのは、初日に男たちを案内していたあの執事だった。
執事はレオが目を覚ましているのに気がつくと、
「おや?目を覚ましていましたか。
早く主人に伝えなくては……」
と呟きながらそそくさと部屋を後にした。
その呟きを聞いたレオは、
(……よし、作戦開始だ)と、不安を振り払うように身震いし、老人が来るのを待った。
少しすると、レオは、食べ物の匂いと一緒に老人の近付いて来る気配を感じた。
(そういえば、丸一日何も食べてなかったな…)
食べ物の匂いに、空腹を思い出したレオのお腹は物欲しそうにグルグルと音を立てた。
そうして、足音が近づき老人が部屋の前に辿り着くと何やらゴソゴソと音がし、少し間をおいてから老人が部屋に入ってきた。
ガチャ
老人はレオの姿を見るなり、足早に近づいて来た。
「あぁ、いい子にしていたか?腹が減ったろう。昨日はすまなかったね さぁ、お食べ」
そういうとすぐさま目の前に湯気を立てた肉のたっぷりと入ったスープを置き、レオの身体をいたわるように撫でた。
(なんだ??昨日と随分態度が違うな?)
疑心暗鬼になりながらも、お腹を空かせていたレオは、警戒しつつ食事にがっついた。
(スープになにか混ぜられてるのかと思ったが別に変な匂いもしないし味も美味い……なんか腑に落ちないが、とりあえず今は作戦通り、気を許した振りしとくか)
「クゥン クゥン」
腹が満たされたレオは、老人の手に媚びるように擦り寄り、甘えた声で鳴いた。
「おぉ!可愛いのう。すっかりいい子になって!」
老人は突然のレオの可愛らしい行動に大いに喜び、身体を撫で回した。
(……チョロいな、これなら……)
この時、レオは老人がすんなりと自分に騙されたと思い込んで、作戦が上手くいきそうだとほくそ笑んでいた。
だが、人間と関わる機会もなく、老人を甘く見ていたレオは彼のずる賢さを見抜けていなかったのだ…。
翌日、レオは朝早くに目を覚ました。
(……ハッ! いつの間にか寝てたのか 俺は)
気を張っていたはずなのに寝ていたことに気付いたレオは思わず自嘲気味に笑みをこぼした。
(しかし、ちょっと寝たら少しは身体が楽になったな……)と寝起きで凝り固まった身体を、痛みに顔を歪ませながら動かすと、レオは目を瞬かせた。
そんなことを考えていると、不意に屋根裏部屋へ誰かが近づいてくる気配を感じた。
(この気配は……)
レオは、全身の神経を研ぎ澄ませ、その人物がやってくるのを待った。
ガチャ
扉を開けて入ってきたのは、初日に男たちを案内していたあの執事だった。
執事はレオが目を覚ましているのに気がつくと、
「おや?目を覚ましていましたか。
早く主人に伝えなくては……」
と呟きながらそそくさと部屋を後にした。
その呟きを聞いたレオは、
(……よし、作戦開始だ)と、不安を振り払うように身震いし、老人が来るのを待った。
少しすると、レオは、食べ物の匂いと一緒に老人の近付いて来る気配を感じた。
(そういえば、丸一日何も食べてなかったな…)
食べ物の匂いに、空腹を思い出したレオのお腹は物欲しそうにグルグルと音を立てた。
そうして、足音が近づき老人が部屋の前に辿り着くと何やらゴソゴソと音がし、少し間をおいてから老人が部屋に入ってきた。
ガチャ
老人はレオの姿を見るなり、足早に近づいて来た。
「あぁ、いい子にしていたか?腹が減ったろう。昨日はすまなかったね さぁ、お食べ」
そういうとすぐさま目の前に湯気を立てた肉のたっぷりと入ったスープを置き、レオの身体をいたわるように撫でた。
(なんだ??昨日と随分態度が違うな?)
疑心暗鬼になりながらも、お腹を空かせていたレオは、警戒しつつ食事にがっついた。
(スープになにか混ぜられてるのかと思ったが別に変な匂いもしないし味も美味い……なんか腑に落ちないが、とりあえず今は作戦通り、気を許した振りしとくか)
「クゥン クゥン」
腹が満たされたレオは、老人の手に媚びるように擦り寄り、甘えた声で鳴いた。
「おぉ!可愛いのう。すっかりいい子になって!」
老人は突然のレオの可愛らしい行動に大いに喜び、身体を撫で回した。
(……チョロいな、これなら……)
この時、レオは老人がすんなりと自分に騙されたと思い込んで、作戦が上手くいきそうだとほくそ笑んでいた。
だが、人間と関わる機会もなく、老人を甘く見ていたレオは彼のずる賢さを見抜けていなかったのだ…。
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