ダイキライ

ジャム

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「チカラだろ?」

渋木さんの目を見上げた。

何を言おうとしてるんだろう?

もしかして、キスしたことを、渋木さんは知ってるんだろうか!?


オレの顔を見て、渋木さんがまた舌打ちした。


それから。

渋木さんが。

オレにキスした。


もちろん、チカラさんとしたふんわりとしたキスなんかじゃない。

口の中をぐっちゃぐっちゃに舐めるようなディープなキスだった。


これはカウントに入るのかな・・

バカなオレは動転しながら、そんなことを考えてた。


何度も何度も口を合わせて、舌を吸われ、絡め、一通りのディープキスをこなせるようになった頃。

やっと渋木さんが唇を離してくれた。

オレの元々薄っぺらな精神が、カンナにかけられてヒラヒラと吹き飛びそうな軽さになり、運動神経すら操れなくなっていた。

ただ、ぼーっと見てた。

渋木さんが、オレの前に跪いて、オレのズボンの前を開いて、そこに顔を・・・。

オレはその時初めて、自分が勃起してるってことに気づいた。

涎まみれで、頭がぼーっとして、自分のことなんか、何にもわかんなかった。

「うそ・・・」

思わず口から出た。

だって、渋木さんが、あの極道顔の渋木さんが、オレのアソコを咥えて、嘗め回してる。

「や・・・あ・・・うそ・・・」

オレが渋木さんの頭を手で押し返そうとしたら、1,2の3で、ネクタイで椅子に縛り付けられてしまった。

「うそ・・・うそ・・・」

渋木さんは数秒、縛ったオレを眺めてから、携帯電話を取り出した。

フラッシュと撮影音がして、オレの頭が覚めてきた。

「しぶきさん・・・今・・・それ」

渋木さんは無言でオレの写した姿を見せてきた。

屹立した下半身をむき出しにされて、腕を後ろで縛られてヘロヘロになってるオレが写ってた。

顔が熱くなる。

「やだそれ!!なんで撮ったんだよ!?なんで!?」

「そうだな」

一拍置いて、渋木さんは喋りだした。

「いい絵だ。これで君もAV俳優の仲間入りできる。これ一枚でも、AVアイドルになれるだろう。

ミュージシャン王の弟がAVデビュー。話題になるだろうな。王より売れる可能性もある。

どうだ?やってみないか?億万長者になれる」

オレは涙を浮かべて、首を振った。

「やめて・・・やめてください・・・やだ・・」

普通にエッチもしたことないのに、AVデビュー!?こんな恥ずかしい写真をエロ本に載せられて?
そしたら、皆が、オレのこんな写真を見るってこと・・・?みんなに・・・?

オレはポロポロと泣き出していた。

「泣くな」

渋木さんがオレの顔を自分の袖で拭った。

「質問を変えよう」

渋木さんがまたキスしてくる。

生々しく、エロいキス。

舌を何度も絡ませて、唇を激しく合わせてくる。

それに、泣きながら応える。

「チカラとは、セックスしてないな?」

どストレートな質問に、うんうん!と返事をした。

「わかった」

渋木さんは満足したような顔で、少し口元を緩ませた。

それから、またオレの下半身に指を絡めて撫で回す。

「もし」

渋木さんはゆっくり話しながら、オレの先端をぐにぐにと揉む。

少し痛い。苦痛に顔が歪む。

「ワカが・・・オレを信じてくれるなら、デビューの話は白紙に戻そう。そうすれば、チカラにも王にも誰にも秘密にできる」

渋木さんの目がオレにどうする?と聞いてくる。

もちろん、手は動かしながら。

「渋木さ・・ん、信じる・・・。信じるよ」

やっとで声が出た。

渋木さんがまたキスする。

「いいこだ」

そんなことはどうでも良かった。もうイキそうだったんだから。

「なら、まず、契約をしよう」


なに言ってんだろう?


オレの思考能力が低下してたとは言え、さすがにそう思った。

「君は・・・・いつかは、オレがプロデュースして、デビューする。それは、ずっと前から考えていたことだ。

ただ、君の才能は非凡で、こんな裏側の業界ですらトップに立てる程のエロティシズムに溢れている。

きっとデビューすることになれば、君のこんな才能に気づく輩もたくさんいるはずだ。

その時、君を守ってやれるかどうかは、オレの手腕にかかってくる。

王やチカラに迷惑をかけたいか?

こんな写真をバラまかれて、デビューしたいか?

違うだろう?

ワカはこんな写真やAVじゃなくても、歌手としてデビュー出来る才能がある。

オレがそうする。

ワカもそうしたいはずだ。」

もうオレはわけがわからなかった。

「デビューなんてしないっ したくないっ」

途端に渋木さんの顔色が変わった。
「なら、この写真を出版業界にまわす。ワカが普通に歌手デビューするより、AVがいいなんて言うと思わなかったな」

「言ってない!言ってない!」

渋木さんにチンポを握られながら、オレはブンブン首を振った。

「なら、普通にデビューしたいはずだ。そうだろう?」

コクコクと今度は頷いてみせた。

「そう。いいこだ」

渋木さんが再びオレのチンポを咥えた。

数度渋木さんの頭が上下して、噴水が噴出すような勢いで精子が飛び出して行く感覚に震えた。

「あ・・・あ・・・っ・・・!!」

最後の一滴までを吸い上げて、渋木さんが笑う。

「悪いこだ・・・。まだ話の途中だったのに・・・。せっかく、デビューの話はなかったことにしようと思ったのに・・・」

「お願い、します・・・デビューしたくないっお願い、しま、す」

オレはしゃくりあげながら、意地もプライドもなく頭を下げた。

「なら、明日もここへ来なさい。携帯を鳴らすから、そしたら、ここへ来るんだ」

「はい・・・」

返事をすると、オレの手首からネクタイがするりと外れた。

オレは自分のズボンを引き上げ、ファスナーを上げようとするんだけど、手が震えて出来ない。

「しょうがない子だ」

渋木さんが代わりに上げてくれる。

と、またキスしてくる。

唇がジンジンする。

「また明日だ。いいな?」

部屋から開放されたオレは放心状態で、自分の部屋に戻った。


ありえない・・・。

ありえないことが・・・やまほど起こった。


そうだ・・・写真撮られたんだ・・・。

オレ明日も行かなきゃ・・・。

写真消してもらわなきゃ・・・。


頭が朦朧として、それ以上何も考えられなかった。

多分、頭が現実逃避したがってたんだと思う。


オレは誰にも相談できず、そのまま、渋木さんからの着信で目を覚ますまで、ベッドに沈んでいた。

そして。

オレは、何も知らない子どものように、再び、のこのこと渋木さんの部屋へと入って行った。

昨日と違って、渋木さんは明るい色のポロシャツに深緑のチノパン。

いつものブラックなイメージより全然良かった。

そのせいか少し安心してた。

昨日起きたことなんか、もしかしたらなんかの間違いだったんじゃないかってくらい。
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