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夢で会えたら①
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サイト250万ヒット記念に書いたSSです。
※夢オチですが、男同士の妊娠ネタが出てきます。嫌悪感のある方はご遠慮下さい。
もうすぐ夜が明ける。
病院に到着して、既に4時間が経とうとしていた。
苦しそうな呻き声と絶叫が、自分達がいる廊下まで、壁越しに遠く聞こえ、落ち着かない。
どうしても、ジッとしていられなくて、意味も無く廊下を行ったり来たりしてしまう。
「ちょっと、落ち着けよ・・シロウ」
そう溜め息混じりに声を掛けてくるミチルも、さっきから煙草を口に咥えては、箱に戻すという動作を3分置きに繰り返していた。
さすがにどっしりとソファーへ座ってはいるが、病院内が完全禁煙だとわかっているだろうに、禁断症状のように、つい口に煙草を咥えてしまうミチル。
その憂いの表情は、いつにも増して危険な色香増量中。
忙しそうに行き来するナースが、煙草を咥えるミチルに注意する声を掛けようか躊躇する程だ。
なんせ、愁眉に秘めた、どこを見るともなしに見詰める瞳には、自分でさえ性的興奮を覚えた。
自分が苛立っているせいもあるんだろう。
そんな場合では無いのに、やたらとこの美しい顔の兄を、無茶苦茶に抱いて犯してやりたい衝動に駆られて、オレはミチルの手前で焦って回れ右をした。
そんな事を考えていると、不意に甲高い悲鳴が、途切れ途切れに耳に届いた。
オレは足を止め、眉間に皺を寄せる。
「赤ん坊ってのは、どうしてすぐに産まれないんだ・・?」
呟くと、ミチルが膝の上に肘をつき、手で口元を覆って答えた。
「この世の中が、ろくでもないって・・知ってるからじゃないか?」
「あんなに痛がってるのに・・」
「なら、お前が代わってやれよ」
そう笑って、ミチルが下からオレの顔を覗いた。
「ミチルの子どもだったら・・いくらでも産んでやる」
「ちなみに。出産の痛みってのは、チンコからスイカを出すくらいの痛みらしいぞ」
想像し難い絵図らに、顔を顰めると、ミチルが噴き出した。
「ほーら、無理だろ?」
「無理じゃねえよ」
強がって胸の前で腕を組んだら、ミチルが指で『こっちへ来い』と、手招きする。
「座れ」
命じられて、ミチルの隣へ腰を下ろす。と、オレの手を取ったミチルが、オレの手を自分の腹の上へと導いた。
重ねた掌から、ミチルの腹の中から、伝わる筈のない鼓動が、ドク・ドクと鳴る。
「罪か・・?お前の子が出来たら、オレは、人でなしか?」
自らを侮蔑するような嘲笑を浮かべ、ミチルが力を入れてオレの手を握った。
罪・・?
どんな罪がそこにあると言うのだろう?
兄を愛し、その腹の中を蹂躙し、穢れた欲望をその中へ放ったのは自分の方だ。
開けてはいけない扉を開けたのは自分。
罪があるとすれば、それを犯したオレの方だろう。
罪は犯した者にある。
だが、それが何だと言うのだろう。
ミチルを愛する事に、何を恐れる必要があるだろう。
何もない。
ミチル以外、オレには何もない。
ミチルしかない世界に、罪も罰もない。
ミチルの腹に押し当てられていた手に力を入れ、ミチルの耳元に口を寄せ、ゆっくりと囁く。
「孕ましてやる・・絶対、孕ましてやる」
その瞬間、ミチルの目が見開き、オレを凝視した。
「シロウ・・」
と、何か言掛けた時だった。
「産まれた!!兄貴!!産まれたーーー!!」
末弟である星路が、満面の笑みで、産まれたての赤ん坊をタオルにくるんでドアの中から飛び出して来たーーーー
と、いう夢を見たオレは、ベッドから飛び起きた。
部屋の中はまだ暗い。
なのに、見た夢が夢なだけに、目がパッチリと覚めてしまった。
すると、自分のすぐ隣で寝返りを打つ相手がいる。
もぞもぞと落ち着く場所を探すように背中を丸めるその体を、オレは後ろから抱き締めた。
ミチルーーー
きっと。
アンタなら、どんなに痛くても産むと言ってくれるだろうな。
ミチルのゆっくりとした寝息を聞きながら、そんな事を考え、オレは目を閉じた。
※夢オチですが、男同士の妊娠ネタが出てきます。嫌悪感のある方はご遠慮下さい。
もうすぐ夜が明ける。
病院に到着して、既に4時間が経とうとしていた。
苦しそうな呻き声と絶叫が、自分達がいる廊下まで、壁越しに遠く聞こえ、落ち着かない。
どうしても、ジッとしていられなくて、意味も無く廊下を行ったり来たりしてしまう。
「ちょっと、落ち着けよ・・シロウ」
そう溜め息混じりに声を掛けてくるミチルも、さっきから煙草を口に咥えては、箱に戻すという動作を3分置きに繰り返していた。
さすがにどっしりとソファーへ座ってはいるが、病院内が完全禁煙だとわかっているだろうに、禁断症状のように、つい口に煙草を咥えてしまうミチル。
その憂いの表情は、いつにも増して危険な色香増量中。
忙しそうに行き来するナースが、煙草を咥えるミチルに注意する声を掛けようか躊躇する程だ。
なんせ、愁眉に秘めた、どこを見るともなしに見詰める瞳には、自分でさえ性的興奮を覚えた。
自分が苛立っているせいもあるんだろう。
そんな場合では無いのに、やたらとこの美しい顔の兄を、無茶苦茶に抱いて犯してやりたい衝動に駆られて、オレはミチルの手前で焦って回れ右をした。
そんな事を考えていると、不意に甲高い悲鳴が、途切れ途切れに耳に届いた。
オレは足を止め、眉間に皺を寄せる。
「赤ん坊ってのは、どうしてすぐに産まれないんだ・・?」
呟くと、ミチルが膝の上に肘をつき、手で口元を覆って答えた。
「この世の中が、ろくでもないって・・知ってるからじゃないか?」
「あんなに痛がってるのに・・」
「なら、お前が代わってやれよ」
そう笑って、ミチルが下からオレの顔を覗いた。
「ミチルの子どもだったら・・いくらでも産んでやる」
「ちなみに。出産の痛みってのは、チンコからスイカを出すくらいの痛みらしいぞ」
想像し難い絵図らに、顔を顰めると、ミチルが噴き出した。
「ほーら、無理だろ?」
「無理じゃねえよ」
強がって胸の前で腕を組んだら、ミチルが指で『こっちへ来い』と、手招きする。
「座れ」
命じられて、ミチルの隣へ腰を下ろす。と、オレの手を取ったミチルが、オレの手を自分の腹の上へと導いた。
重ねた掌から、ミチルの腹の中から、伝わる筈のない鼓動が、ドク・ドクと鳴る。
「罪か・・?お前の子が出来たら、オレは、人でなしか?」
自らを侮蔑するような嘲笑を浮かべ、ミチルが力を入れてオレの手を握った。
罪・・?
どんな罪がそこにあると言うのだろう?
兄を愛し、その腹の中を蹂躙し、穢れた欲望をその中へ放ったのは自分の方だ。
開けてはいけない扉を開けたのは自分。
罪があるとすれば、それを犯したオレの方だろう。
罪は犯した者にある。
だが、それが何だと言うのだろう。
ミチルを愛する事に、何を恐れる必要があるだろう。
何もない。
ミチル以外、オレには何もない。
ミチルしかない世界に、罪も罰もない。
ミチルの腹に押し当てられていた手に力を入れ、ミチルの耳元に口を寄せ、ゆっくりと囁く。
「孕ましてやる・・絶対、孕ましてやる」
その瞬間、ミチルの目が見開き、オレを凝視した。
「シロウ・・」
と、何か言掛けた時だった。
「産まれた!!兄貴!!産まれたーーー!!」
末弟である星路が、満面の笑みで、産まれたての赤ん坊をタオルにくるんでドアの中から飛び出して来たーーーー
と、いう夢を見たオレは、ベッドから飛び起きた。
部屋の中はまだ暗い。
なのに、見た夢が夢なだけに、目がパッチリと覚めてしまった。
すると、自分のすぐ隣で寝返りを打つ相手がいる。
もぞもぞと落ち着く場所を探すように背中を丸めるその体を、オレは後ろから抱き締めた。
ミチルーーー
きっと。
アンタなら、どんなに痛くても産むと言ってくれるだろうな。
ミチルのゆっくりとした寝息を聞きながら、そんな事を考え、オレは目を閉じた。
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