Dead or Alive

ジャム

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「絶対・・・一人でなんか死なせませんよ・・ッ」
キリサカの尻肉の狭間で、熱い粘膜にオレのモノが飲み込まれていく。
「アアッ」
半分埋ったところで、キリサカが唸った。
オレの胸に顔をうつ伏せて、ガクガク震えている。
「シロウ・・さん、・・・突いて、下さい・・。久しぶりだったんで・・・、これ以上・・這入らねえッ」
「銃を、離せ」
キリサカの両手首を取って、キリサカの顔を上げさせた。
「ああ・・・忘れてましたよ・・」
引き攣り笑いを浮かべ、吐息混じりに言うと、キリサカが銃を床の上に置き、その上をサッと滑らせた。
銃は回転しながら、ソファの下へ消える。
「側にあったら・・アンタ、オレを撃つかも知れないからね」
ニヤリ、と、キリサカが笑った。
次の瞬間。
オレは腕を振り上げ、力一杯、キリサカの横っ面を平手打ちした。
衝撃で、キリサカの身体が真横へ吹っ飛んだ。
「クソヤロー」
オレは、床の上で、目を見開いたままのキリサカの身体に圧し掛かった。
膝の裏を取り、足を全開にさせる。
股の間にある、血が滲む尻アナに、オレはキリサカの願い通り、勃起を根元まで捻じ込んだ。
キリサカが背骨を仰け反らせて、床に爪を立てた。
熱い緋肉がオレを包み、ピッチリと締め付けてくる。
「死ぬ、死ぬ、ウルセエんだよッ・・・死ぬならテメエが勝手に死ににやがれ!!」
オレはキリサカの膝を掴み、抉るように鋭角に突き上げてやる。
穴が裂けるように、腹の中を何度も何度も貫いた。
キリサカが叫ぶ。
語尾を掠れさせ、喉を掻き毟る。
縋るモノを探して、キリサカの手が、爪が、フローリングの目に引っ掛かった。


汗が噴出す。
突き上げ、抉り抜き、叩きつける。
射精感は一向に訪れ無かった。

ただ無茶苦茶に、キリサカを突き上げ続ける。

キリサカの穴を、血塗れにしたかった。



オレは、ただ、自分の怒りを、そこへぶつけ続けた。

抽挿を続け、気づくと、キリサカの意識は、とっくの昔に失くなっていた。







それから。
3日経っても、キリサカは自分で立つことも出来なかった。
仕方無く、オレは自分のマンションにキリサカを寝かせたまま、一人で連日、路流に付いた。
適当に誤魔化していたが、さすがに3日も姿を見せないキリサカに、路流は勘付く。
「シロウ・・・、キリサカはどうした?・・何かあったんだろう」
黙っていると、路流がオレの唇を指差した。
「・・・噛まれたんだろ・・コレ」
腫れはもう引いた。カサブタも無い。ただ、少しだけ赤い。
その傷を、路流が指で撫でた。
路流の視線とオレの視線が、絡まる。
路流の手を、取る。
指から・・手の甲へ唇で、なぞる。
オレは路流の指を口の中で咥えた。
路流の指先を舌で舐めて、包む。
硬い爪の感触。
丸い指の腹。
一本ずつ舐めて、中指に舌を伸ばした時に。
手が引き戻され、替わりに路流の唇がそこに重なる。
当たり前のように咥内へ舌が這入ってきた。
厚みのある舌同士をお互いの口の中で何度も絡ませ、唇で吸う。
「シ、ロウ・・」
唇を離すと、上気した路流の顔が目の前にあった。
掴まれた手を握り返し、しっとりと濡れた瞳を見つめ返す。
頭がイカレたみたいに、何も考えられなかった。
もう一度。
その唇に指を伸ばして。
路流の顔が、フイと横を向いた。

「今日は、品川の組長と出掛ける。たぶん、迎えは朝でいい」
頭を、太い鉄骨で殴られたような衝撃に襲われた。
呆然とするオレを置いて、ミチルはさっさと歩き出した。
置き去りにされたオレは、項垂れ、床を睨みつける。
そのまま。
「ミチル!!」
呼び声に、路流が振り返った。
「アンタが、行く必要は、無い。・・・殺してやる。今すぐだ」
路流の目が、細く眇められた。
それから、一歩、二歩と大股で戻ってくると、ミチルは一度視線を落としてから、半身、後ろへ振り返り、その反動、勢いをつけたミチルの拳がオレの腹を抉る。
「!!カ、ハッ・・・」
「品川の親父には、手を出すな。オレが、許さん」
膝をつき痛みに呻くオレを残し、ミチルは颯爽とここから出て行った。





頭が、悪い。
痛みがオレから思考力を奪う。
痛い。
カラダが、腹から二つに折れてしまったようだった。
コレが、あんたの答えなのか・・・?
ミチル。
ミチル。
オレには何もするなと。
甘い蜜を吸わせて、その上、オレに動くなと。
アンタは残酷だよ。
アンタはオレを縛る。
オレはアンタを自由にしてやりたい。
なのに。
アンタはオレを縛る。
オレは何も出来ない。
何も。

いったい、オレに、出来る事があるのだろうか?
オレがこの世界にいる価値は?
アンタには、いつまでも、可愛い弟でしかないのか?

オレを役に立てて、使えよ・・・!!
アンタの手足にしろよ・・・!!
アンタは一人で・・・。
いつだって、一人で戦って。
もうボロボロのクセに、身体張って、背筋伸ばして、何も怖くないって笑ってやがる。

ダレか、ミチルを止めてくれ・・!
ダレか・・・!!
この苦しみから、全てから、ミチルを・・。

そこまで考えて、オレは、ハッとした。

ミチルを・・・?
違う。
オレは自分が苦しいから。
自分の責任が重過ぎて。
罪が足元まで塗り込められて。
真っ暗。

ミチルをタスケテ。

違う。
オレが楽になりたいからだ。
オレが耐えられないからだ。
だからアンタを守りたくて、これ以上アンタがやってる事を見れなくて、オレは・・・。
オレは・・、アンタを・・・閉じ込めてしまいたくなる。

どうして、アンタは平気なんだ・・・?
アンタがこの7年間、生き抜いてこれたのは。
どうしてなんだ。






その日。
ミチルが品川の親父といる一晩。
オレは何度も空の銃口をこめかみに当てていた。

事務所のドアが開いた音がした後に、廊下をコツコツと歩く革靴の音が響く。
一晩、座ったままの格好で、音のする方に目を向けると、この部屋の前で足音が止む。
それからキッと音を軋ませて、重い鉄の入ったドアが開かれた。
「シロウ・・さん!」
昨日まで、熱に魘されていた筈の男が、そこに立っている。
オレはその顔をジッと見つめた。いや、睨みつけた。
それから、キリサカの様子が、おかしい事に気づいた。
いつもの洒落たスーツに、黒いシミが飛んでいる。
よく見れば、袖口の方は、泥でも被ったかのように、もっと派手に汚れていた。
まるで。
ケンカか何かで、返り血でも浴びたように・・。
昨日まで、高熱を出していた男が・・?
ケンカ・・?
そのキリサカが、口元をニヘラと歪ませる。
「着替えに来たんです。ここへ。・・・アンタのとこへ、また戻る気でいましたから」
そう言うと、上着を脱いで、それをゴミ箱へと放った。
「・・らしくねえじゃねえか。ブランド物のスーツをポイ捨てか?」
オレは立ち上がり、その服を拾い上げようと手を伸ばした。
「ダメです。触っちゃ」
キリサカの手が、オレの腕を掴んで押さえる。
「もう、・・・着る物なんて、どうだっていいんです」

わかっていても、ソレを言う事を許さない口調だった。

「誰の・・・仕事だ?」
「・・・・仕事・・・。そうですね、仕事です。アンタはオレがヘバッて、腕も上がらないって思ってたみたいですけどね」
その台詞にハッとする。
路流が、金融の会社へ行ってる間は、オレは事務所へ戻る。
その間。
もし、路流がオレのマンションへ来ていたら?
キリサカを動かしていたら?
「・・・・ミチルが?」

「まさか」
キリサカが笑う。
そうだ。まさかだ。
品川の親父に会いに行く前に、路流は言った。
キリサカはどうしたと。

至近距離で、キリサカの目がオレの目を覗く。
握られたキリサカの手の甲にも、黒い点が散っていた。


「馬鹿みたいに簡単でしたよ」
キリサカが、ボソッと呟いた。
「家の前で待ち伏せてて、肩を叩いて振り向いた瞬間に、ぶん殴ってやったんです。そのまま。・・・・・そのまま、もう、起きませんでした」

長い、沈黙が二人の間に流れる。

重苦しい空気が漂い、緊張に耐えきれず、キリサカが口を開いた。
「西野を・・・・・ヤリマシタ」
じっとりと、掌に汗をかく。
キリサカの顔が、オレに近づいてくる。

合わされた唇。
一呼吸後。
嬲るようにキリサカの舌が、オレを襲った。


これも、オレの罪なのか・・?
オレが望んだ事だっていうのか・・・?
オレが全部呑みこんで。
何もかもを。

ミチルも。

キリサカも。

この身体に、刻んで。


レザーのソファの上で、キリサカの身体が上下する。
オレの上に跨り、喘ぎ声を上げている。

昂ぶってるオレの肉の塊りを、キリサカの内が乱暴に擦り上げる。

濡れた髪を顔に張り付かせ、獰猛な目でオレを挑発した。
オレはそれを、黙って見ている。
烈しく撓るキリサカの身体を、瞬きも忘れて、見つめていた。

キリサカが果て、オレはボンヤリ思う。
好きでもない男を抱いて。
好きな男の唇を思い出す。

ガンジガラメ。
オレは。
いつの間にか。
出る事の出来ない迷宮へと、足を踏み込んでいた。
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