8 / 25
8.灰かぶり
しおりを挟む
私は、石灰を求めて王都を歩く。
王都は円形で、中心が王城、次に貴族街、平民街、スラム街と城壁の外に行けば行くほど貧しくなる。
ちなみに、円の直径が大きくなればなるほど円の面積も広がっていく。
つまり、王城に住む人たちがピラミッドの頂点で、スラム街はピラミッドの底辺で、より多くスラム街に住む人たちがいるということだ。
数パーセントの人が裕福で、底辺で暮らす人が多いというのは、元の世界のでもよくある現象だった。
そういうわけで、私は王都の中心に向かって歩いていく。
それは、補修工事などが行われている可能性が高いからだ。スラム街は、『聖女の井戸』のメンテナンスが行われているのが奇跡というか、聖女のご威光で、それ以外の、道などのメンテナンスは無いに等しい。道は凸凹。車輪のある馬車などは通れない。雨など降ったら、泥濘で車輪がはまって動かなくなるだろう。
それに比べて、王城近辺、そして貴族の居住地の道は立派だ。石畳の道。石が高度な技術で敷き詰められている。石と石の隙間がない。どうやって平らな石を作ったのだろうかと思うくらい真っ平らな道だ。
馬車などで通っても、ガッタン、ゴットンとはならないのだろう。馬車に座っていてもお尻が痛くならない親切設計な道となっている。
だけど、それは常に、破損と修理のイタチごっこであると私は予想をした。
元の世界のアスファルトの道だって、また工事か、と思うくらいに道路の補修工事をしていた。
それに、植物が伸びる時期などは、アスファルトの隙間などから植物が芽を出していた。アスファルトの小さな隙間でもタンポポは成長し、根の力がアスファルトを押し上げる。
常に人が修理やメンテナンスをしていないと、前の世界のアスファルトだってすぐに砂粒状に砕けて凸凹になる。
世界の道はローマに通じるという諺がある。だけど、当時の道がずっと残っているというわけではない。アッピア街道などは現存していたけれど、ローマ帝国の衰退に伴って整備されずに荒れ果てた道もある。
ローマ帝国はモルタルで道を作っていた。
王都の道も、モルタル製ということで、耐久性はアスファルトより低いだろうし、補修工事をどこかでやっている可能性があるはずだ。
そして、工事現場に行けば、石灰を手に入れることができるかもしれない。
……と思っていた時期もありました。
補修工事をしている場所は簡単に見つかった。道の石が割れてしまったのか、土が雨水で流されたのか、石の交換作業をしていた。
石を剥がして、その下に入れている白いドロッとした液体。きっと、コンクリートとかモルタルとか、そう呼ばれるものだと思う。
ということは、石灰を材料にしているはずだ。
石灰をコゼットさんの家の病室に撒けば、ノミ・シラミ対策になる。床とかに撒いて靴底の消毒にも使えるかも知れない。
だけど…………石灰ください、と言って、無料でくれるはずがなかった。
石灰は高価な物だった。
当然、私はお金なんて持ってない。
でも、どこで採掘できるのかを聞いたら教えてくれた。
そして、手に入れることが難しいということが分かった。
どうやら石灰は、王都から遠い東の山で産出するらしい。そこで採れる石灰石を砕いて、粉砕して、焼いて、粉にして、王都に運んで来て、道路の補修の材料にしているらしい。
直接、山に採取しにいくのは不可能だ。
あまりに熱心に私が質問するものだから、最後は、「姉ちゃん、不思議なものに興味持つんだなぁ」と、工事を指揮していた偉そうな人に呆れられてしまった。
私は、肩を落としながらコゼットさんの家へと帰る。 コゼットさんの家の人たちを助けることができるかもしれない方法を具体的に考えて行き着いた結論なのだ。
この世界の言語は、地球の言語とは違ったもので、当然、英語とも違う。
コンクリート、英語でConcreteの意味は「具体的な、現実の」だ。コンクリート製、という意味でもあるけれど、具体的な助ける手段を考えて、コンクリートの材料に行き着いた。
でも、石灰を手に入れるなんて、完全に非現実的だった。コンクリートじゃなかったということだ。
この世界で英語が分かる人間なんていないだろうから、このやるせない気持ちはこの世界で私にしか、きっと分からないだろう。
石灰は、意外と手間がかかっていた……。元の世界では一袋、数百円で買えたきがするのだけれど、この世界では高級品らしい。
ちなみに、焼いた後の石灰を消石灰と言うらしい。それと水を混ぜたら、モルタルの材料になるそうだ。
材料入手からして困難である。王都から遠い東の山から運んで来ることさえ難しい。
一般人には真似出来ないから、気前よく教えてくれたのかもしれない。
お金があれば、消石灰は王都でも買うことができるらしい。
でも、お金をもってない。手ぶらで帰るのも申し訳無い。でも、石灰を手に入れる手段を私は持ってない。買うお金がない。ぶらぶらと王都を歩く。
私は気付けば、川へと辿り着き、川を眺めていた。
大きな川だ。王都近くを流れる川。途方に暮れるときには、やっぱり川を眺めるに限る。
まぁ、川と言っても、汚い。泳いだら病気になるだろう。だって、ウンチとか流れてるもん。それも、王都に生活する人びとの汚水が最終的に流れてくるのがこの川だ。川と言うより、地上を流れる下水という表現の方が適切かもしれない。井戸よりも、飲み水としては危険だろう。
天然の下水設備。
あと、それ以外の用途としては、船着き場があるから、運送網として活用できるのだろう。船が行き来している。
船着き場では、荷が降ろされている。積荷は貝なようだ。
海で採れた貝を運んで来て、王都近くで、貝から中身だけを取り出し、貝殻は捨ているようだ。
もしかしたら、この王都は意外と海から近いのかも知れない。海産物を運んでこれるくらい近いのだろう。いや、逆に、貝殻を捨てて中身だけ運ぶと途中で腐ってしまうから、生きたまま貝として運び、船着き場で中身だけとって、王都の胃袋を満たしているのかもしれない。
それにしても、貝殻の量がすごいな。まるで貝塚だ。きっと、数千年後に、貝塚として、考古学者に発見されるのだろうか。その時には、科学も進歩しているのかな。帆船ではなく、蒸気機関や石油動力の船がこの川を行き来しているのかもしれない。
川辺に座り込んで、去りゆく船を眺める。
さて、石灰も手に入らなかったし、どうしようかな。
『灰』は、コゼットさんの家の竃に、捨てるのが面倒なほど沢山あるのに、石灰は手に入れられないなんて……。
竃の灰って、埃っぽいし、まだ中に火が残って熱かったりと、捨てるのが面倒なんだよね。同じ『灰』なのに……。
ん? 同じ灰だよね?
どうして私は、石灰を手に入れようとしてたんだけっけ? それは、ノミ・シラミの駆除、また、口蹄疫とかの予防で使われていたことを思い出したからだ。
でも、そもそも、なぜ、石灰が有効なのか? ……考えられるのは、アルカリ性だからだ。水に溶けたら、アルカリ性となる。それが殺菌効果となるのだろう。
じゃあ、竃の灰は? 思ったけど、同じじゃない? 草木灰だって、肥料や防虫や殺菌の効果がある。
竃で燃やす燃料は、木材だ。
BBQで、灰が目に入るとめちゃくちゃ痛いのは、目の水分に灰が溶けてアルカリ性を示すからだ。刺激物となるのだ。
灰汁を蒸発させて残った物質は、カリと呼ばれる。アルカリのカリ、カリウムのカリ。
竈の灰を使ってなんとかできるかもしれない。なんと、コゼットさんの家の竃に、私が探しもとめる答えがあったのか。
急いで帰り、私はさっそく作業に取り掛かった。
桶に竃の灰を入れて水で混ぜる。良くかき混ぜて、それを病室の床や壁にぶちまける。また、布でその水を染み込ませ、ロバートさん、ドットさん、レベッカさんの髪の毛などを拭く。髪の毛に生息しているシラミなどが退治できるかも知れない。
そして、最後に、コゼットさん、セト君、私も、灰を混ぜた水で髪の毛を濡らしたり、布で体を拭いたりする。
ペットや牛に使っていたくらいだから、安全なのだろう。
それにしても、かまどの灰と水を混ぜたものを被る。
まるで、灰かぶり姫みたいだ。おとぎ話では、ガラスの靴がぴったりとはまり、王子様と最後に結ばれるのだったか。
うん、ガラスの靴なんて、この世界では製造できないだろうし、所詮はおとぎ話ということだろう。
これで、殺菌作用により、病室はもっと衛生的になったはずだ。
おそらく……。 ロバートさん、ドットさん、レベッカさんが早く、元気になりますように。
どうか効果がありますように。
やっぱり、私にできるのは、祈ることだけらしい。
王都は円形で、中心が王城、次に貴族街、平民街、スラム街と城壁の外に行けば行くほど貧しくなる。
ちなみに、円の直径が大きくなればなるほど円の面積も広がっていく。
つまり、王城に住む人たちがピラミッドの頂点で、スラム街はピラミッドの底辺で、より多くスラム街に住む人たちがいるということだ。
数パーセントの人が裕福で、底辺で暮らす人が多いというのは、元の世界のでもよくある現象だった。
そういうわけで、私は王都の中心に向かって歩いていく。
それは、補修工事などが行われている可能性が高いからだ。スラム街は、『聖女の井戸』のメンテナンスが行われているのが奇跡というか、聖女のご威光で、それ以外の、道などのメンテナンスは無いに等しい。道は凸凹。車輪のある馬車などは通れない。雨など降ったら、泥濘で車輪がはまって動かなくなるだろう。
それに比べて、王城近辺、そして貴族の居住地の道は立派だ。石畳の道。石が高度な技術で敷き詰められている。石と石の隙間がない。どうやって平らな石を作ったのだろうかと思うくらい真っ平らな道だ。
馬車などで通っても、ガッタン、ゴットンとはならないのだろう。馬車に座っていてもお尻が痛くならない親切設計な道となっている。
だけど、それは常に、破損と修理のイタチごっこであると私は予想をした。
元の世界のアスファルトの道だって、また工事か、と思うくらいに道路の補修工事をしていた。
それに、植物が伸びる時期などは、アスファルトの隙間などから植物が芽を出していた。アスファルトの小さな隙間でもタンポポは成長し、根の力がアスファルトを押し上げる。
常に人が修理やメンテナンスをしていないと、前の世界のアスファルトだってすぐに砂粒状に砕けて凸凹になる。
世界の道はローマに通じるという諺がある。だけど、当時の道がずっと残っているというわけではない。アッピア街道などは現存していたけれど、ローマ帝国の衰退に伴って整備されずに荒れ果てた道もある。
ローマ帝国はモルタルで道を作っていた。
王都の道も、モルタル製ということで、耐久性はアスファルトより低いだろうし、補修工事をどこかでやっている可能性があるはずだ。
そして、工事現場に行けば、石灰を手に入れることができるかもしれない。
……と思っていた時期もありました。
補修工事をしている場所は簡単に見つかった。道の石が割れてしまったのか、土が雨水で流されたのか、石の交換作業をしていた。
石を剥がして、その下に入れている白いドロッとした液体。きっと、コンクリートとかモルタルとか、そう呼ばれるものだと思う。
ということは、石灰を材料にしているはずだ。
石灰をコゼットさんの家の病室に撒けば、ノミ・シラミ対策になる。床とかに撒いて靴底の消毒にも使えるかも知れない。
だけど…………石灰ください、と言って、無料でくれるはずがなかった。
石灰は高価な物だった。
当然、私はお金なんて持ってない。
でも、どこで採掘できるのかを聞いたら教えてくれた。
そして、手に入れることが難しいということが分かった。
どうやら石灰は、王都から遠い東の山で産出するらしい。そこで採れる石灰石を砕いて、粉砕して、焼いて、粉にして、王都に運んで来て、道路の補修の材料にしているらしい。
直接、山に採取しにいくのは不可能だ。
あまりに熱心に私が質問するものだから、最後は、「姉ちゃん、不思議なものに興味持つんだなぁ」と、工事を指揮していた偉そうな人に呆れられてしまった。
私は、肩を落としながらコゼットさんの家へと帰る。 コゼットさんの家の人たちを助けることができるかもしれない方法を具体的に考えて行き着いた結論なのだ。
この世界の言語は、地球の言語とは違ったもので、当然、英語とも違う。
コンクリート、英語でConcreteの意味は「具体的な、現実の」だ。コンクリート製、という意味でもあるけれど、具体的な助ける手段を考えて、コンクリートの材料に行き着いた。
でも、石灰を手に入れるなんて、完全に非現実的だった。コンクリートじゃなかったということだ。
この世界で英語が分かる人間なんていないだろうから、このやるせない気持ちはこの世界で私にしか、きっと分からないだろう。
石灰は、意外と手間がかかっていた……。元の世界では一袋、数百円で買えたきがするのだけれど、この世界では高級品らしい。
ちなみに、焼いた後の石灰を消石灰と言うらしい。それと水を混ぜたら、モルタルの材料になるそうだ。
材料入手からして困難である。王都から遠い東の山から運んで来ることさえ難しい。
一般人には真似出来ないから、気前よく教えてくれたのかもしれない。
お金があれば、消石灰は王都でも買うことができるらしい。
でも、お金をもってない。手ぶらで帰るのも申し訳無い。でも、石灰を手に入れる手段を私は持ってない。買うお金がない。ぶらぶらと王都を歩く。
私は気付けば、川へと辿り着き、川を眺めていた。
大きな川だ。王都近くを流れる川。途方に暮れるときには、やっぱり川を眺めるに限る。
まぁ、川と言っても、汚い。泳いだら病気になるだろう。だって、ウンチとか流れてるもん。それも、王都に生活する人びとの汚水が最終的に流れてくるのがこの川だ。川と言うより、地上を流れる下水という表現の方が適切かもしれない。井戸よりも、飲み水としては危険だろう。
天然の下水設備。
あと、それ以外の用途としては、船着き場があるから、運送網として活用できるのだろう。船が行き来している。
船着き場では、荷が降ろされている。積荷は貝なようだ。
海で採れた貝を運んで来て、王都近くで、貝から中身だけを取り出し、貝殻は捨ているようだ。
もしかしたら、この王都は意外と海から近いのかも知れない。海産物を運んでこれるくらい近いのだろう。いや、逆に、貝殻を捨てて中身だけ運ぶと途中で腐ってしまうから、生きたまま貝として運び、船着き場で中身だけとって、王都の胃袋を満たしているのかもしれない。
それにしても、貝殻の量がすごいな。まるで貝塚だ。きっと、数千年後に、貝塚として、考古学者に発見されるのだろうか。その時には、科学も進歩しているのかな。帆船ではなく、蒸気機関や石油動力の船がこの川を行き来しているのかもしれない。
川辺に座り込んで、去りゆく船を眺める。
さて、石灰も手に入らなかったし、どうしようかな。
『灰』は、コゼットさんの家の竃に、捨てるのが面倒なほど沢山あるのに、石灰は手に入れられないなんて……。
竃の灰って、埃っぽいし、まだ中に火が残って熱かったりと、捨てるのが面倒なんだよね。同じ『灰』なのに……。
ん? 同じ灰だよね?
どうして私は、石灰を手に入れようとしてたんだけっけ? それは、ノミ・シラミの駆除、また、口蹄疫とかの予防で使われていたことを思い出したからだ。
でも、そもそも、なぜ、石灰が有効なのか? ……考えられるのは、アルカリ性だからだ。水に溶けたら、アルカリ性となる。それが殺菌効果となるのだろう。
じゃあ、竃の灰は? 思ったけど、同じじゃない? 草木灰だって、肥料や防虫や殺菌の効果がある。
竃で燃やす燃料は、木材だ。
BBQで、灰が目に入るとめちゃくちゃ痛いのは、目の水分に灰が溶けてアルカリ性を示すからだ。刺激物となるのだ。
灰汁を蒸発させて残った物質は、カリと呼ばれる。アルカリのカリ、カリウムのカリ。
竈の灰を使ってなんとかできるかもしれない。なんと、コゼットさんの家の竃に、私が探しもとめる答えがあったのか。
急いで帰り、私はさっそく作業に取り掛かった。
桶に竃の灰を入れて水で混ぜる。良くかき混ぜて、それを病室の床や壁にぶちまける。また、布でその水を染み込ませ、ロバートさん、ドットさん、レベッカさんの髪の毛などを拭く。髪の毛に生息しているシラミなどが退治できるかも知れない。
そして、最後に、コゼットさん、セト君、私も、灰を混ぜた水で髪の毛を濡らしたり、布で体を拭いたりする。
ペットや牛に使っていたくらいだから、安全なのだろう。
それにしても、かまどの灰と水を混ぜたものを被る。
まるで、灰かぶり姫みたいだ。おとぎ話では、ガラスの靴がぴったりとはまり、王子様と最後に結ばれるのだったか。
うん、ガラスの靴なんて、この世界では製造できないだろうし、所詮はおとぎ話ということだろう。
これで、殺菌作用により、病室はもっと衛生的になったはずだ。
おそらく……。 ロバートさん、ドットさん、レベッカさんが早く、元気になりますように。
どうか効果がありますように。
やっぱり、私にできるのは、祈ることだけらしい。
0
あなたにおすすめの小説
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました
斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。
白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。
その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。
それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。
やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり――
白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。
身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。
王女様は温かいごはんが食べたい ~冷えた王宮料理を変えたら、オープンキッチンと政略婚約がついてきました~
しおしお
恋愛
異世界の王女リリアーヌは、前世の記憶を持つ転生者。
豪華絢爛な王宮で暮らし始めた彼女だったが、ひとつだけどうしても耐えられないことがあった。
――食事が、冷めているのだ。
どれほど立派な料理でも、ぬるいスープや冷めた肉ではホッとできない。
「温かいごはんが食べたい」
そのささやかな願いを口にしたことから、王宮ではなぜか大騒動が巻き起こる。
地下厨房からの高速搬送。
専用レーンを爆走するカートメイド。
扉の開閉に命をかけるオープナー。
ついには食堂に火を持ち込むオープンキッチンまで誕生して――!?
温かさは、ホッとさせてくれる。
それは料理だけではなく、人との距離まで少しずつ変えていくものだった。
冷えた王宮に湯気と笑顔を取り戻す、
食と温かさをめぐる宮廷日常コメディ!
-
冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎
王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。
……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。
追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。
無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」
騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
皇帝陛下の寵愛は、身に余りすぎて重すぎる
若松だんご
恋愛
――喜べ、エナ! お前にも縁談が来たぞ!
数年前の戦で父を、病で母を亡くしたエナ。
跡継ぎである幼い弟と二人、後見人(と言う名の乗っ取り)の叔父によりずっと塔に幽閉されていたエナ。
両親の不在、後見人の暴虐。弟を守らねばと、一生懸命だったあまりに、婚期を逃していたエナに、叔父が(お金目当ての)縁談を持ちかけてくるけれど。
――すまないが、その縁談は無効にさせてもらう!
エナを救ってくれたのは、幼馴染のリアハルト皇子……ではなく、今は皇帝となったリアハルト陛下。
彼は先帝の第一皇子だったけれど、父帝とその愛妾により、都から放逐され、エナの父のもとに身を寄せ、エナとともに育った人物。
――結婚の約束、しただろう?
昔と違って、堂々と王者らしい風格を備えたリアハルト。驚くエナに妻になってくれと結婚を申し込むけれど。
(わたし、いつの間に、結婚の約束なんてしてたのっ!?)
記憶がない。記憶にない。
姉弟のように育ったけど。彼との別れに彼の無事を願ってハンカチを渡したけれど! それだけしかしてない!
都会の洗練された娘でもない。ずっと幽閉されてきた身。
若くもない、リアハルトより三つも年上。婚期を逃した身。
後ろ盾となる両親もいない。幼い弟を守らなきゃいけない身。
(そんなわたしが? リアハルト陛下の妻? 皇后?)
ずっとエナを慕っていたというリアハルト。弟の後見人にもなってくれるというリアハルト。
エナの父は、彼が即位するため起こした戦争で亡くなっている。
だから。
この求婚は、その罪滅ぼし? 昔世話になった者への恩返し?
弟の後見になってくれるのはうれしいけれど。なんの取り柄もないわたしに求婚する理由はなに?
ずっと好きだった彼女を手に入れたかったリアハルトと、彼の熱愛に、ありがたいけれど戸惑いしかないエナの物語。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる