2 / 15
●僕の話 1.幼なじみ
しおりを挟む
桜が散りきった。満開だった花が嘘のように、碧緑とした葉が茂っている。
僕は玄関の外で詩織が出てくるまでの間、庭の桜を眺めていた。
「お待たせ」
詩織は、両手で通学バックを持って玄関から出てきた。高校の入学式は既に終わっているが、詩織は今日が初めての登校となる。
「似合う、かな?」
制服のことであろうか。学校指定の制服だし、似合わない奴の方が珍しいような気がする。強いて言えば、学校の女子はスカートの丈を上げている。ミニスカートではないけれど、膝上十センチは上げている。
詩織は膝が隠れるか隠れないかという丈で、校則通りだ。過度に真面目、という印象を受ける。
だが……丈を上げたら? と詩織に僕が言うのもおかしい気がする。
「女子高生っぽい」
「そっか」とだけ詩織は答えた。女子高生になれた。それだけで嬉しいのだろう。
僕たちは一緒に高校へと向かう。
「授業って進んでいるよね。英語、なんだか出てくる新出の単語が多くてびっくりしちゃった。このペースで出てきたら全部覚えられないよ。あっ、そうだ。ノート返しておくね」
「いや、今じゃなくていいよ。どうせ同じクラスなんだし」
慌ててバッグを地面に置き、ファスナーを開け始める詩織の行動を止める。
「そうだよね。でも、真司も同じクラスで良かった。私、出遅れちゃったし、グループに入れなかったらどうしよう」と俺の横で詩織は不安そうだ。
「大丈夫だろ。知り合いも多いぞ。岩元とか、有村も同じクラスだし」
実際、クラスの三分の一は同じ中学出身であったりする。普通の公立中学校を卒業して、普通に公立の高校に俺たちは入学した。
「希望ちゃんも、志穂ちゃんも同じクラスなんだ。良かった」
「あと、健二も一緒だ」
他にも同中の奴はいるのだが、まぁ、なんだ、僕は友達が少ない。
「ケンジ……君?」
「中三の時に同じクラスだった上村(かみむら)だよ。野球部の」
「あ、思い出した」
詩織は中三の時は俺とは別のクラスだったから、あまり印象に無いのだろう。健二とは中一の時も同じクラスであったが、その時はとりわけ仲が良いというわけではなかった。ただ、中三で同じクラスとなり、まぁ、悪友というか親友になった。
・
「授業を始める前に、紹介をする。神園、前に出て来てくれ」
入学式後のホームルームで他の生徒は自己紹介をクラスで終えている。今日、初登校となった詩織は、白板の前の一段高い所に立ち、名前、出身中学などを言っている。普段は引っ込み思案なくせに、人前では堂々と挨拶などが出来るところが詩織の不思議なところであったりする。
担任兼現国の教師である今村は、詩織と一言二言会話したあと、「神園はちょっとした病気で授業など休みがちだが、互いに助け合うように。特に保健委員は気を配ってくれ」と言い、詩織が自分の席に着席するのを見計らって「では、授業を始める」と言って授業を始めた。
予習がてら現国の教科書を読んでみた限り、僕は個人的に『随想』というジャンルは好きではない。『評論』とか『小説』の方が好きだ。
だが、僕の好き嫌いは別にして、ノートは真面目にとるようにしている。読みやすいノート、分かりやすいノートを取ることを心がける。
休み時間に詩織が僕の所にやってきて、貸していた英語と数学のノートを返しにきた。僕の席は教室の奥の窓側だ。夏は暑そうだが、この時期は太陽が眠気を誘う。
「真司、パンジャンをしないか?」
欠伸をしている僕に、前の席の健二が話しかけてきた。弁当を母親が作って来てくれるが、それだけでは足りないので購買部で成長期の腹を満たすのだ。
ジャンケンで負けた方が奢る、ただそれだけのジャンケンだ。今日は僕が買った。僕は、カレーパンを無料でゲットした。
放課後、帰宅部は家に帰り、部活をやっている生徒は部活動をする。僕は、帰宅部だ。中学でも部活動をしていないし、高校で何か始めようという気になれなかった。
詩織は、机の引き出しに入れていた教科書やノートをバッグの中へとしまっていた。英語の辞書は、一度バッグにしまってからまた取り出し、教室の後ろにある個人のロッカーに入れた。英語の授業で宿題が出ていたのだが、辞書を持って帰らない詩織。僕も辞書を使いたいから英語の宿題は早めに終わらせなければならないだろう。
「詩織、帰るか?」
詩織も帰宅部だ。体調のこともある。詩織は部活動というものをやってみたいという気持ちがある。そのことは何となく分かっているが、僕にはどうしようもない。
「図書室によってみていいかな? どんな本があるのか見てみたい」
・
僕は図書室に用意されている自習用の机で、数学の宿題に取り掛かる。詩織は、本屋とか図書館に行くと、本棚から離れなくなる。背表紙に掛かれているタイトルと著者名を一冊一冊読んでいるんじゃないかと思うくらいに、ずっと本棚に張り付いていく。本棚を眺める詩織は、ぼぉっと本棚の前に立っているようで動かない。
数学の問題を二、三問解いた後、詩織の方を見ると、詩織は本棚の真ん中に移動していた。端から書架を眺め始めてやっと真ん中まで来たのだろう。
まるで月みたいなやつだな、と僕は思った。月は、大雑把に計算すれば一時間に十五度の角度で空を移動する。だが、月を眺めていても、月が動いているかなんて分からない。しばらくしてふっと空を見上げたら、月は西へと移動している。本棚の前に立つ詩織は、月に似ている。
「真司」
数学の問題に手こずっていると、詩織が僕の肩を軽く叩いた。
「どうした?」
「本棚の上にある本、取って欲しくて」
詩織は小さい。身長順に整列させられたら一番前に並ぶのが詩織だ。それは小学校の頃から変わらない。もちろん、病気のこともあるから、小さいことを馬鹿にしたりはしない。
「これか?」
「うん。ありがとう」
「もしかして、本を借りるつもりで英語の辞書、置いてきたのか?」
「あっ。見てた?」
僕が渡した本から、はっと顔を上げた。
「ばっちりと」
「辞書、貸してくれるよね?」
不安そうに詩織は俺を見上げた。上目づかいをするのはズルいと思う。
「俺が宿題終わってからね」
「じゃあ、宿題やったノートも一緒に借りたいかな」
「それは駄目だな。って、着いていけてところある?」
詩織が休んでいた期間も、授業は進んでいる。詩織も家で独習の形で勉強はしている。ノートも分かりやすく要点をまとめているし、詩織が躓きそうなところは、僕なりの解説を加えている。
「英語は大丈夫だった。でも、数学が少し……」
「もともと苦手だろ?」
「そうだけど」
「夕飯食ったあと、教えるよ」
詩織の家は、父親しかいない。母親は詩織が生まれてすぐに亡くなってしまった。詩織の家のリビングの写真立てに、詩織の母親の写真が飾ってあるが、美人だ。詩織も母親に似ているような気がする。
僕の家は、共働きで両親の帰りは遅い。
どっちの家から言い出したことかは分からない。もしかしたら自然とそうなっていたのかも知れない。小学生の頃から、僕と詩織は一緒に夕飯を食べる。
月・水・金が僕の家。火・木・土が詩織の家だ。小学校高学年からは、僕が詩織の家でも料理を作るようになった。全部、僕の家でいいのにと思うのだが、食事代の折半をするというような親同士の協定か何かがあるので、お互いの家を行き来することになっている。
今日は詩織の家だ。夕飯のレシピは何にしようか。詩織のお父さんの分まで作り、サランラップをして冷蔵庫に入れて置く自分は、神園家の何者なのかと思うが、既に習慣化されているので、慣れたものだ。
僕は玄関の外で詩織が出てくるまでの間、庭の桜を眺めていた。
「お待たせ」
詩織は、両手で通学バックを持って玄関から出てきた。高校の入学式は既に終わっているが、詩織は今日が初めての登校となる。
「似合う、かな?」
制服のことであろうか。学校指定の制服だし、似合わない奴の方が珍しいような気がする。強いて言えば、学校の女子はスカートの丈を上げている。ミニスカートではないけれど、膝上十センチは上げている。
詩織は膝が隠れるか隠れないかという丈で、校則通りだ。過度に真面目、という印象を受ける。
だが……丈を上げたら? と詩織に僕が言うのもおかしい気がする。
「女子高生っぽい」
「そっか」とだけ詩織は答えた。女子高生になれた。それだけで嬉しいのだろう。
僕たちは一緒に高校へと向かう。
「授業って進んでいるよね。英語、なんだか出てくる新出の単語が多くてびっくりしちゃった。このペースで出てきたら全部覚えられないよ。あっ、そうだ。ノート返しておくね」
「いや、今じゃなくていいよ。どうせ同じクラスなんだし」
慌ててバッグを地面に置き、ファスナーを開け始める詩織の行動を止める。
「そうだよね。でも、真司も同じクラスで良かった。私、出遅れちゃったし、グループに入れなかったらどうしよう」と俺の横で詩織は不安そうだ。
「大丈夫だろ。知り合いも多いぞ。岩元とか、有村も同じクラスだし」
実際、クラスの三分の一は同じ中学出身であったりする。普通の公立中学校を卒業して、普通に公立の高校に俺たちは入学した。
「希望ちゃんも、志穂ちゃんも同じクラスなんだ。良かった」
「あと、健二も一緒だ」
他にも同中の奴はいるのだが、まぁ、なんだ、僕は友達が少ない。
「ケンジ……君?」
「中三の時に同じクラスだった上村(かみむら)だよ。野球部の」
「あ、思い出した」
詩織は中三の時は俺とは別のクラスだったから、あまり印象に無いのだろう。健二とは中一の時も同じクラスであったが、その時はとりわけ仲が良いというわけではなかった。ただ、中三で同じクラスとなり、まぁ、悪友というか親友になった。
・
「授業を始める前に、紹介をする。神園、前に出て来てくれ」
入学式後のホームルームで他の生徒は自己紹介をクラスで終えている。今日、初登校となった詩織は、白板の前の一段高い所に立ち、名前、出身中学などを言っている。普段は引っ込み思案なくせに、人前では堂々と挨拶などが出来るところが詩織の不思議なところであったりする。
担任兼現国の教師である今村は、詩織と一言二言会話したあと、「神園はちょっとした病気で授業など休みがちだが、互いに助け合うように。特に保健委員は気を配ってくれ」と言い、詩織が自分の席に着席するのを見計らって「では、授業を始める」と言って授業を始めた。
予習がてら現国の教科書を読んでみた限り、僕は個人的に『随想』というジャンルは好きではない。『評論』とか『小説』の方が好きだ。
だが、僕の好き嫌いは別にして、ノートは真面目にとるようにしている。読みやすいノート、分かりやすいノートを取ることを心がける。
休み時間に詩織が僕の所にやってきて、貸していた英語と数学のノートを返しにきた。僕の席は教室の奥の窓側だ。夏は暑そうだが、この時期は太陽が眠気を誘う。
「真司、パンジャンをしないか?」
欠伸をしている僕に、前の席の健二が話しかけてきた。弁当を母親が作って来てくれるが、それだけでは足りないので購買部で成長期の腹を満たすのだ。
ジャンケンで負けた方が奢る、ただそれだけのジャンケンだ。今日は僕が買った。僕は、カレーパンを無料でゲットした。
放課後、帰宅部は家に帰り、部活をやっている生徒は部活動をする。僕は、帰宅部だ。中学でも部活動をしていないし、高校で何か始めようという気になれなかった。
詩織は、机の引き出しに入れていた教科書やノートをバッグの中へとしまっていた。英語の辞書は、一度バッグにしまってからまた取り出し、教室の後ろにある個人のロッカーに入れた。英語の授業で宿題が出ていたのだが、辞書を持って帰らない詩織。僕も辞書を使いたいから英語の宿題は早めに終わらせなければならないだろう。
「詩織、帰るか?」
詩織も帰宅部だ。体調のこともある。詩織は部活動というものをやってみたいという気持ちがある。そのことは何となく分かっているが、僕にはどうしようもない。
「図書室によってみていいかな? どんな本があるのか見てみたい」
・
僕は図書室に用意されている自習用の机で、数学の宿題に取り掛かる。詩織は、本屋とか図書館に行くと、本棚から離れなくなる。背表紙に掛かれているタイトルと著者名を一冊一冊読んでいるんじゃないかと思うくらいに、ずっと本棚に張り付いていく。本棚を眺める詩織は、ぼぉっと本棚の前に立っているようで動かない。
数学の問題を二、三問解いた後、詩織の方を見ると、詩織は本棚の真ん中に移動していた。端から書架を眺め始めてやっと真ん中まで来たのだろう。
まるで月みたいなやつだな、と僕は思った。月は、大雑把に計算すれば一時間に十五度の角度で空を移動する。だが、月を眺めていても、月が動いているかなんて分からない。しばらくしてふっと空を見上げたら、月は西へと移動している。本棚の前に立つ詩織は、月に似ている。
「真司」
数学の問題に手こずっていると、詩織が僕の肩を軽く叩いた。
「どうした?」
「本棚の上にある本、取って欲しくて」
詩織は小さい。身長順に整列させられたら一番前に並ぶのが詩織だ。それは小学校の頃から変わらない。もちろん、病気のこともあるから、小さいことを馬鹿にしたりはしない。
「これか?」
「うん。ありがとう」
「もしかして、本を借りるつもりで英語の辞書、置いてきたのか?」
「あっ。見てた?」
僕が渡した本から、はっと顔を上げた。
「ばっちりと」
「辞書、貸してくれるよね?」
不安そうに詩織は俺を見上げた。上目づかいをするのはズルいと思う。
「俺が宿題終わってからね」
「じゃあ、宿題やったノートも一緒に借りたいかな」
「それは駄目だな。って、着いていけてところある?」
詩織が休んでいた期間も、授業は進んでいる。詩織も家で独習の形で勉強はしている。ノートも分かりやすく要点をまとめているし、詩織が躓きそうなところは、僕なりの解説を加えている。
「英語は大丈夫だった。でも、数学が少し……」
「もともと苦手だろ?」
「そうだけど」
「夕飯食ったあと、教えるよ」
詩織の家は、父親しかいない。母親は詩織が生まれてすぐに亡くなってしまった。詩織の家のリビングの写真立てに、詩織の母親の写真が飾ってあるが、美人だ。詩織も母親に似ているような気がする。
僕の家は、共働きで両親の帰りは遅い。
どっちの家から言い出したことかは分からない。もしかしたら自然とそうなっていたのかも知れない。小学生の頃から、僕と詩織は一緒に夕飯を食べる。
月・水・金が僕の家。火・木・土が詩織の家だ。小学校高学年からは、僕が詩織の家でも料理を作るようになった。全部、僕の家でいいのにと思うのだが、食事代の折半をするというような親同士の協定か何かがあるので、お互いの家を行き来することになっている。
今日は詩織の家だ。夕飯のレシピは何にしようか。詩織のお父さんの分まで作り、サランラップをして冷蔵庫に入れて置く自分は、神園家の何者なのかと思うが、既に習慣化されているので、慣れたものだ。
0
あなたにおすすめの小説
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる
七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。
だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。
そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。
唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。
優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。
穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。
――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる