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第5章 上京
ルークの春
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「それにしてもキミって凄いね。」
とてもそんな風には見えないけどとでも言いたげにケイトがルークに話し掛けた。
「あはは、ありがとう。鍛えて貰ってるからね。」
「へぇ~、じゃあキミを鍛えてるって人も強いの?」
「うん、強いよとっても。…多分、世界中の誰よりもね。」
「えぇ、流石にそれは言い過ぎでしょ!?」
ケラケラと笑うケイトであるが目の前にいる少年の腕は確かなものだった。Cランクの冒険者を相手取り後れさえ取らない腕前に鍛え上げた師匠となればかなりの凄腕である事は間違いない。
2人がいるのはグラスフォードにある冒険者ギルドの応接室である。冒険者達の襲撃を防いだ2人はそのままギルドへと駆け込んでいた。事の次第を報告した2人はそのままギルドの受付嬢から応接室に案内されたのであった。
「お待たせしました!」
ドアを開け入って来たのはギルド受付嬢のイリアである。
「当ギルドのサブマスターを呼んできましたのでもう一度改めて説明をお願いします。」
「初めまして。私がこのギルドのサブマスターを務めておりますノビアと申します。」
イリアに続き部屋へと入って来たのはノビアと名乗る優男であった。線の細い身体であるが身長は高く引き締まった身体をしている。事務方のサブマスターとのことであったが物腰が柔らかく丁寧な話し方には好感が持てる。
「ええ、それじゃあ私が。」
ケイトはそう言うと再度説明を始めた。
引き受けた依頼を一緒に受けた冒険者達が依頼品が稀少な素材であることを良い事に独占しようとした事、それに反対して襲われそうになった事、その時ルークに助けれらた事について順序立てて話しをしていく。
「そうでしたか。今回の事はケイトさんには悪いですが助かりましたよ。」
冒険者は自衛も仕事の内であるとはいえさすがに酷い物の言い方だと思わないでもないが、言われたケイトがさも当然とでも言わんばかりに座っていてはルークも文句は言えないようだ。
「今回みたいに金に目が眩む冒険者達が居るという話しは実は以前からちょくちょくあったんですよ。ただなかなか尻尾を掴ませなくてこちらも対処に困っていたんです。」
そう告げるノビアの表情は嬉しそうである。不正を働く冒険者達の取り締まりはギルドにとって非常に大事である。今回の一件で捕まった冒険者達はギルドカードを没収された上で罰金が科せられるとのことであった。
最もそれは事前にルークによって止められた為であり、実際に不正を働いた後の場合は犯罪者として捕縛されていたらしい。
「しかしルーク君と言ったね?見たところまだ登録したてのような年齢だがCランクの冒険者を相手にして勝つとは大したものだね。これからも頑張ってくれよ!それと今回の一件で君の冒険者ランクはEからDに引き上げる事となった。後数日でギルドカードが手元に来るだろうから楽しみにしていてくれ。」
「え、そうなんですか?ありがとうございます!」
「では私はこれで!」
要件を済ませてさっさと退室していくノビア。それと入れ替わりにイリアが入って来た。
「お疲れ様でした。」
「いや特に疲れてもいませんよ。」
「それでも大変な目にあったんですから!驚いたんですからね?」
採取とゴブリンの討伐依頼を受付してくれたイリアは登録したてにも関わらず1人で出て行ったルークの事を心配していた。にも関わらず、蓋を開けてみればというやつである。
採取・討伐は無事こなし、少女に襲い掛かっていたCランク冒険者達さえ倒して帰って来る。今まで見た事も無い程に優秀なルーキー。それが彼女がルークに抱く印象であった。
「それとギルドに所属する冒険者が迷惑を掛けたお詫びって事で、これからは何かあれば私に相談してね。出来る限りで協力するから。」
「え、それって専属になるってことですか?」
イリアの言葉にケイトが聞き返す。
専属の受付嬢。それは美人揃いの受付嬢に憧れる冒険者からしてみれば羨望の的。どんな時も自分を優先して対応してくれ、更には自分達に合う依頼やこれからの為に受けるべき依頼等を見繕ってくれる秘書の様な存在なのだ。
更にはギルドの外で打ち合わせやプライベートの時間すら都合をつけて相談に乗ってくれるとなれば誰もが憧れるというものだ。勿論誰にでも認められるものでは無くギルドへの貢献に加え、専属の冒険者を持っていない受付嬢から承諾を取る必要がある。
遠慮するルークであるが、受付嬢の専属システムは何も冒険者側だけにメリットがある訳では無い。自分がこれと見込んだ冒険者が活躍すればその専属受付嬢にもギルドから報奨金が出るし、所属する冒険者ギルドは有能な人材がそのギルドを拠点として活躍してくれるのは大歓迎なのだ。
「ううん、そこまでのものじゃないわ。唯、少しキミは見てて危なっかしいからね!」
ふふふと笑いながら手を差し出すイリア。よく分からないままに握手をするルーク。
「はい、分からないことはたくさんあるのでこれからよろしくお願いします!」
「ええ、よろしくねルーク君!それじゃあ早速下に行きましょう。まずは採取とゴブリン討伐の報酬を渡すからね。」
「はい!お願いします!」
若干2人の間に入って行きづらそうなケイトを連れながら一行は階段を下りていく。
「それじゃあこれが依頼の薬草です。」
そう言って依頼品を出すルークに周囲が固まった。
「え!?ルーク君今何処から出したの?」
「え?これですけど・・・」
そう言って左手首に付けているアイテムリングを右手で指さして示す。
「「ええ~~!キミってアイテムポーチ持ちなの!?」」
イリアとケイトが目を見開いて驚く中、あははと乾いた笑い声しか出せないルーク。まさか兄から貰ったなどと言っても通じる筈が無いことくらいは分かる。
Cランク冒険者を余裕で倒す実力を持ちアイテムリングを所有する
凄い新人が現れたものだと階段の上で事の子細を聞いていたノビアが唸っている。
結局驚かれながらも依頼の報酬を受け取ったルークとケイトはギルドを後にするのであった。
「実力もある上にアイテムポーチまで持ってるなんて凄いじゃない!いっその事本当に専属契約を結んだら良かったんじゃないイリア!」
イリアの同僚のミアが話し掛ける。
「う、それは、まあ・・・」
言葉少なく口ごもるイリア。
「な~に?その態度は?それじゃあ私が専属を持ち掛けてみようかな~?私も今専属契約結んで無いしね~!」
「ちょ、ちょっとミア!?止めてよ!」
「ぷぷぷ!やっぱり気になってんじゃん!」
「だ、だってあんなに可愛いのに・・・強い上に貴重な魔導具まで持ってるなんて思わないじゃない・・・」
「あははは!可愛いだって!そういやこのギルドに来る冒険者達はむさ苦しいおっさんがほとんどだもんね!特にあんたに惚れてる人達の暑苦しさと言ったら!そうかぁ、あんな子がタイプだったんだ~。そりゃあ専属を頼まれても受けない筈だし、あの子が依頼を1人で受けたと言ってギルドから飛び出す筈だわ!」
ケタケタと笑うミアを見て顔を真っ赤にしてイリアが怒る。それはノビアが仲裁に入るまで続くのであった。
とてもそんな風には見えないけどとでも言いたげにケイトがルークに話し掛けた。
「あはは、ありがとう。鍛えて貰ってるからね。」
「へぇ~、じゃあキミを鍛えてるって人も強いの?」
「うん、強いよとっても。…多分、世界中の誰よりもね。」
「えぇ、流石にそれは言い過ぎでしょ!?」
ケラケラと笑うケイトであるが目の前にいる少年の腕は確かなものだった。Cランクの冒険者を相手取り後れさえ取らない腕前に鍛え上げた師匠となればかなりの凄腕である事は間違いない。
2人がいるのはグラスフォードにある冒険者ギルドの応接室である。冒険者達の襲撃を防いだ2人はそのままギルドへと駆け込んでいた。事の次第を報告した2人はそのままギルドの受付嬢から応接室に案内されたのであった。
「お待たせしました!」
ドアを開け入って来たのはギルド受付嬢のイリアである。
「当ギルドのサブマスターを呼んできましたのでもう一度改めて説明をお願いします。」
「初めまして。私がこのギルドのサブマスターを務めておりますノビアと申します。」
イリアに続き部屋へと入って来たのはノビアと名乗る優男であった。線の細い身体であるが身長は高く引き締まった身体をしている。事務方のサブマスターとのことであったが物腰が柔らかく丁寧な話し方には好感が持てる。
「ええ、それじゃあ私が。」
ケイトはそう言うと再度説明を始めた。
引き受けた依頼を一緒に受けた冒険者達が依頼品が稀少な素材であることを良い事に独占しようとした事、それに反対して襲われそうになった事、その時ルークに助けれらた事について順序立てて話しをしていく。
「そうでしたか。今回の事はケイトさんには悪いですが助かりましたよ。」
冒険者は自衛も仕事の内であるとはいえさすがに酷い物の言い方だと思わないでもないが、言われたケイトがさも当然とでも言わんばかりに座っていてはルークも文句は言えないようだ。
「今回みたいに金に目が眩む冒険者達が居るという話しは実は以前からちょくちょくあったんですよ。ただなかなか尻尾を掴ませなくてこちらも対処に困っていたんです。」
そう告げるノビアの表情は嬉しそうである。不正を働く冒険者達の取り締まりはギルドにとって非常に大事である。今回の一件で捕まった冒険者達はギルドカードを没収された上で罰金が科せられるとのことであった。
最もそれは事前にルークによって止められた為であり、実際に不正を働いた後の場合は犯罪者として捕縛されていたらしい。
「しかしルーク君と言ったね?見たところまだ登録したてのような年齢だがCランクの冒険者を相手にして勝つとは大したものだね。これからも頑張ってくれよ!それと今回の一件で君の冒険者ランクはEからDに引き上げる事となった。後数日でギルドカードが手元に来るだろうから楽しみにしていてくれ。」
「え、そうなんですか?ありがとうございます!」
「では私はこれで!」
要件を済ませてさっさと退室していくノビア。それと入れ替わりにイリアが入って来た。
「お疲れ様でした。」
「いや特に疲れてもいませんよ。」
「それでも大変な目にあったんですから!驚いたんですからね?」
採取とゴブリンの討伐依頼を受付してくれたイリアは登録したてにも関わらず1人で出て行ったルークの事を心配していた。にも関わらず、蓋を開けてみればというやつである。
採取・討伐は無事こなし、少女に襲い掛かっていたCランク冒険者達さえ倒して帰って来る。今まで見た事も無い程に優秀なルーキー。それが彼女がルークに抱く印象であった。
「それとギルドに所属する冒険者が迷惑を掛けたお詫びって事で、これからは何かあれば私に相談してね。出来る限りで協力するから。」
「え、それって専属になるってことですか?」
イリアの言葉にケイトが聞き返す。
専属の受付嬢。それは美人揃いの受付嬢に憧れる冒険者からしてみれば羨望の的。どんな時も自分を優先して対応してくれ、更には自分達に合う依頼やこれからの為に受けるべき依頼等を見繕ってくれる秘書の様な存在なのだ。
更にはギルドの外で打ち合わせやプライベートの時間すら都合をつけて相談に乗ってくれるとなれば誰もが憧れるというものだ。勿論誰にでも認められるものでは無くギルドへの貢献に加え、専属の冒険者を持っていない受付嬢から承諾を取る必要がある。
遠慮するルークであるが、受付嬢の専属システムは何も冒険者側だけにメリットがある訳では無い。自分がこれと見込んだ冒険者が活躍すればその専属受付嬢にもギルドから報奨金が出るし、所属する冒険者ギルドは有能な人材がそのギルドを拠点として活躍してくれるのは大歓迎なのだ。
「ううん、そこまでのものじゃないわ。唯、少しキミは見てて危なっかしいからね!」
ふふふと笑いながら手を差し出すイリア。よく分からないままに握手をするルーク。
「はい、分からないことはたくさんあるのでこれからよろしくお願いします!」
「ええ、よろしくねルーク君!それじゃあ早速下に行きましょう。まずは採取とゴブリン討伐の報酬を渡すからね。」
「はい!お願いします!」
若干2人の間に入って行きづらそうなケイトを連れながら一行は階段を下りていく。
「それじゃあこれが依頼の薬草です。」
そう言って依頼品を出すルークに周囲が固まった。
「え!?ルーク君今何処から出したの?」
「え?これですけど・・・」
そう言って左手首に付けているアイテムリングを右手で指さして示す。
「「ええ~~!キミってアイテムポーチ持ちなの!?」」
イリアとケイトが目を見開いて驚く中、あははと乾いた笑い声しか出せないルーク。まさか兄から貰ったなどと言っても通じる筈が無いことくらいは分かる。
Cランク冒険者を余裕で倒す実力を持ちアイテムリングを所有する
凄い新人が現れたものだと階段の上で事の子細を聞いていたノビアが唸っている。
結局驚かれながらも依頼の報酬を受け取ったルークとケイトはギルドを後にするのであった。
「実力もある上にアイテムポーチまで持ってるなんて凄いじゃない!いっその事本当に専属契約を結んだら良かったんじゃないイリア!」
イリアの同僚のミアが話し掛ける。
「う、それは、まあ・・・」
言葉少なく口ごもるイリア。
「な~に?その態度は?それじゃあ私が専属を持ち掛けてみようかな~?私も今専属契約結んで無いしね~!」
「ちょ、ちょっとミア!?止めてよ!」
「ぷぷぷ!やっぱり気になってんじゃん!」
「だ、だってあんなに可愛いのに・・・強い上に貴重な魔導具まで持ってるなんて思わないじゃない・・・」
「あははは!可愛いだって!そういやこのギルドに来る冒険者達はむさ苦しいおっさんがほとんどだもんね!特にあんたに惚れてる人達の暑苦しさと言ったら!そうかぁ、あんな子がタイプだったんだ~。そりゃあ専属を頼まれても受けない筈だし、あの子が依頼を1人で受けたと言ってギルドから飛び出す筈だわ!」
ケタケタと笑うミアを見て顔を真っ赤にしてイリアが怒る。それはノビアが仲裁に入るまで続くのであった。
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一気読みしちゃいました、ルーク君の今後が楽しみです(*^^*)続き?更新は、されないのでしょうか?
あらら。聖十字国軍の誇る精鋭は、吸血鬼のレベリングに使われちゃったのね(笑)
是非とも枢機卿達に「ねぇねぇ♪今どんな気持ち?ねぇ?どんな気持ち~♪?」と聞いてみたい(笑)
なんというドS!その発想は無かったw
クラウドの言う「大丈夫」がすごく気になります😉
自分が出る事はないんだろうけど?
感想ありがとうございます!最近更新以外の項目が見れておらず感想を頂いた事に気付くのが今になってという醜態をさらしてしまいました…orz
これに懲りずに今後ともよろしくお願いいたします!!!