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第1章 古代の魔法使い
街への出発
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「ルーク、そっちはどうだ?」
マーサ婆さんの家にクラウドの声が響く。
「うん、もう大体終わったよ。」
今クラウドとルークの2人は荷造りをしている。
村長が今回の移動は絶対に安全だから大丈夫だと言ってくれたおかげで2人揃って旅に出ることをマーサ婆さんが許してくれたのだ。
と、ルークとタニアは思っているが、実際はその夜にルークとタニアに内緒でマーサ婆さんに呼び出されたクラウドが説得したのであった。どうしてルークを連れて行きたいのか?と問うマーサ婆さんにクラウドは言った。
『この村だけじゃなく、もっと広い世界を見てほしいからだ』と。
それを聞いたマーサ婆さんはどこか寂しそうにしながら2人の旅を許してくれたのだった。
村には今ミルトアの街から馬車が来ている。クラウドが診察に行くことを知った相手の貴族が護衛の冒険者と共に寄越してくれたのだ。
「全くわざわざ手紙で護衛は要らんと教えたっていうのに。」
見送りに来ているロデリックが呟く横でタニアが不機嫌そうにしている。
「もうっ!絶対に安全な旅なんて無いんだから、勝手に断らないでくださいよね!」
タニアがそう怒るがロデリックは遠い目をして聞き流している。
「(幸せなもんだ、知らないということは・・・)」
心でぼやきながら待っていると、マーサさんに連れられてルークとクラウドがやって来た。
「あれっ、タニアちゃん見送りに来てくれたの?」
「も~、さっきまで一緒の家に居たのに。
過保護なんだからおねえちゃんは。」
2人がタニアに気づく。
「何よルーク、その言い方は!?」
過保護と言われたタニアは少し怒ったようだ。
「何だかクラウドが来てからルークが生意気になった気がするわ。」
そんなことを言いだしたタニア。
「勘弁してよ、タニアちゃん。」
クラウドは依然としてタニアに甘いようだ。いつものそんなやり取りもしばらくは見納めかとマーサ婆さんが少し寂しそうに見ていたのであった。
「そういえば、村長さん。これも渡しておくよ。持っといてくれ。
要りそうなアイテムを少し入れてある。好きに使ってくれていいから。」
さらりと言うとクラウドは服からアイテムリングを取り出した。
「ぶっ!
ば、馬鹿もん。こんなところで出す奴があるかっ!」
急いでクラウドへ駆け寄り小声で叱り付けると、素早く胸元のポケットへ仕舞いこんだ。アイテムの価値が異なるクラウドに村長はここ数日振り回されっぱなしである。
村長本人はもう諦めたようであるが・・・
そこへ4人の冒険者がやって来た。一見したところ剣士が2人。後衛職が2人のように見える。
やや小柄だが精悍な顔つきをしている剣士が一歩前に出た。軽装で急所を最低限守る程度の革鎧を身につけている。年は10代後半であろうか、手にはショートソードと円形の盾を持っている。短髪で赤い髪のさわやかな男であった。
「クラウド様とルーク様ですね?
はじめまして!今回護衛につかせてもらうエストです。
今回の旅の間、護衛のリーダーを務めますのでよろしくお願いします。」
もう一人が続いて話しかけてきた。エストよりも少し年上だろうか。両手持ちのブロードソードを背負っている。緑色の髪は肩程度まで伸びている。先の剣士と同じく急所を守る革鎧だ。
「俺はカインってんだ、よろしくな~。
あーあ、こんな野郎だけの護衛なんて気が乗らないぜ。せめてそっちのお嬢さんも来てくれたら頑張っちゃうんだけどなー。」
軽い口調でカインと名乗る男がタニアを見る。タニアは引いているがルークとクラウドを守ってくれる護衛だからと愛想笑いを返していた。
「いい加減にせい、その軽口でいったい今までどれだけの依頼人を怒らせたと思っとるんだ。
仲間が失礼した、私はイゴール。狩人なので周囲の索敵は任せて下さい。」
30歳にもなろうかという風貌。イゴールという常識人がカインと名乗る剣士を怒る。腰にダガーを下げ、背には長弓を背負っている。細マッチョとでもいう体格でがっしりとした身体に肩当てを身につけていた。
「・・・よろしくお願いします。」
最後も後衛職なのだろう、無口な男であった。髪が長く目が隠れるほどに伸びている。少し猫背で姿勢が悪い。背にはショートボウ、手には杖を持っていた。
「あ、皆さんよろしくお願いします。」
少し緊張しながらルークが返事を返した。クラウドもそれに続く。
「よろしくお願いします。」
「ではそろそろ出発しましょう。
ミルトアまでは約5日ほどですので、そんなに長旅ということでもありません。旅の間は私とカインが馬車の前方左右につきます。後方の左右にイゴールとリックがつきますので。」
リーダーのエストが簡単に護衛の仕方を説明してくれる。
「ではいきましょう!」
その一声で皆が出発を開始する。
「村から出るのは初めてだ・・・
楽しみだなあっ。」
ルークの頬が緩んでいた。
マーサ婆さんの家にクラウドの声が響く。
「うん、もう大体終わったよ。」
今クラウドとルークの2人は荷造りをしている。
村長が今回の移動は絶対に安全だから大丈夫だと言ってくれたおかげで2人揃って旅に出ることをマーサ婆さんが許してくれたのだ。
と、ルークとタニアは思っているが、実際はその夜にルークとタニアに内緒でマーサ婆さんに呼び出されたクラウドが説得したのであった。どうしてルークを連れて行きたいのか?と問うマーサ婆さんにクラウドは言った。
『この村だけじゃなく、もっと広い世界を見てほしいからだ』と。
それを聞いたマーサ婆さんはどこか寂しそうにしながら2人の旅を許してくれたのだった。
村には今ミルトアの街から馬車が来ている。クラウドが診察に行くことを知った相手の貴族が護衛の冒険者と共に寄越してくれたのだ。
「全くわざわざ手紙で護衛は要らんと教えたっていうのに。」
見送りに来ているロデリックが呟く横でタニアが不機嫌そうにしている。
「もうっ!絶対に安全な旅なんて無いんだから、勝手に断らないでくださいよね!」
タニアがそう怒るがロデリックは遠い目をして聞き流している。
「(幸せなもんだ、知らないということは・・・)」
心でぼやきながら待っていると、マーサさんに連れられてルークとクラウドがやって来た。
「あれっ、タニアちゃん見送りに来てくれたの?」
「も~、さっきまで一緒の家に居たのに。
過保護なんだからおねえちゃんは。」
2人がタニアに気づく。
「何よルーク、その言い方は!?」
過保護と言われたタニアは少し怒ったようだ。
「何だかクラウドが来てからルークが生意気になった気がするわ。」
そんなことを言いだしたタニア。
「勘弁してよ、タニアちゃん。」
クラウドは依然としてタニアに甘いようだ。いつものそんなやり取りもしばらくは見納めかとマーサ婆さんが少し寂しそうに見ていたのであった。
「そういえば、村長さん。これも渡しておくよ。持っといてくれ。
要りそうなアイテムを少し入れてある。好きに使ってくれていいから。」
さらりと言うとクラウドは服からアイテムリングを取り出した。
「ぶっ!
ば、馬鹿もん。こんなところで出す奴があるかっ!」
急いでクラウドへ駆け寄り小声で叱り付けると、素早く胸元のポケットへ仕舞いこんだ。アイテムの価値が異なるクラウドに村長はここ数日振り回されっぱなしである。
村長本人はもう諦めたようであるが・・・
そこへ4人の冒険者がやって来た。一見したところ剣士が2人。後衛職が2人のように見える。
やや小柄だが精悍な顔つきをしている剣士が一歩前に出た。軽装で急所を最低限守る程度の革鎧を身につけている。年は10代後半であろうか、手にはショートソードと円形の盾を持っている。短髪で赤い髪のさわやかな男であった。
「クラウド様とルーク様ですね?
はじめまして!今回護衛につかせてもらうエストです。
今回の旅の間、護衛のリーダーを務めますのでよろしくお願いします。」
もう一人が続いて話しかけてきた。エストよりも少し年上だろうか。両手持ちのブロードソードを背負っている。緑色の髪は肩程度まで伸びている。先の剣士と同じく急所を守る革鎧だ。
「俺はカインってんだ、よろしくな~。
あーあ、こんな野郎だけの護衛なんて気が乗らないぜ。せめてそっちのお嬢さんも来てくれたら頑張っちゃうんだけどなー。」
軽い口調でカインと名乗る男がタニアを見る。タニアは引いているがルークとクラウドを守ってくれる護衛だからと愛想笑いを返していた。
「いい加減にせい、その軽口でいったい今までどれだけの依頼人を怒らせたと思っとるんだ。
仲間が失礼した、私はイゴール。狩人なので周囲の索敵は任せて下さい。」
30歳にもなろうかという風貌。イゴールという常識人がカインと名乗る剣士を怒る。腰にダガーを下げ、背には長弓を背負っている。細マッチョとでもいう体格でがっしりとした身体に肩当てを身につけていた。
「・・・よろしくお願いします。」
最後も後衛職なのだろう、無口な男であった。髪が長く目が隠れるほどに伸びている。少し猫背で姿勢が悪い。背にはショートボウ、手には杖を持っていた。
「あ、皆さんよろしくお願いします。」
少し緊張しながらルークが返事を返した。クラウドもそれに続く。
「よろしくお願いします。」
「ではそろそろ出発しましょう。
ミルトアまでは約5日ほどですので、そんなに長旅ということでもありません。旅の間は私とカインが馬車の前方左右につきます。後方の左右にイゴールとリックがつきますので。」
リーダーのエストが簡単に護衛の仕方を説明してくれる。
「ではいきましょう!」
その一声で皆が出発を開始する。
「村から出るのは初めてだ・・・
楽しみだなあっ。」
ルークの頬が緩んでいた。
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