12 / 76
第一章 晩春
終幕と過去 前
しおりを挟む
「……軽く彼岸を見た気がします」
「大げさな事言うな。ほら」
「ありがとうございます。ってこのコーヒー、ホットじゃないですか。もう夏ですよ神前さん」
「お前ホットが好きなんだろ」
「違いますよ! この前コールドの飲んでたじゃないですか! 何日前の話を引っ張ってるんですか、もう」
神前さんは肩をすくめて、自分の席についた。その顔はやや疲れが見えるが、明るかった。作業が終わったから、冗談を言う気にもなったのだろうか。
ぶつぶつ言いながら、私も頂いたコーヒーに口をつける。甘い。疲れた体に沁み渡る気がする。
定時後、帰宅者が相次ぐオフィスで、私達は疲労感ただよう顔を突き合わせていた。
ちょうど一時間ほど前、愛野さんから捜査メンバーあてに報告がきたところだった。
本日、川辺笑馬が送致された。
そのためにここ二日間、私達は走り回った。
任意同行した後の慌ただしさったらない。帰りの電車で連日居眠りして降車駅を乗り過ごした。
私は顔をしかめた。コーヒーが苦かったわけではない。判明した事実を思い出したのだ。
× × × × ×
神前さんが気づいたタイヤ痕、あれは川辺夫妻が息子の笑馬に与えた車のものだった。捜査の結果、夫妻の車より大きな車が、貸ガレージから発見された。
川辺笑馬は、両親が不在の二日間のうちに、自宅風呂場を使って作業を行った。
風呂場と車内を確認すると、風呂場からは血液反応が、川辺笑馬所有の車の中からは被害者の体組織が発見された。トイレからも血液反応が見つかっており、取り出した被害者の中身はそこに捨てたという供述も得ている。
遺体の血抜きをしながら、川辺笑馬は翌日早朝に北海道に飛び、例の名寄のバラ園へ向かい、その夜半に帰宅している。そのことも隠すつもりもなかったのか、飛行機のチケットは、被疑者の父が与えたクレジットカードで購入されていた。砂押さんの調べでこれは判明した。公園内で花を手折る彼の姿も、何台かのカメラが姿を捉えていた。
ほとんどとんぼ返りの状態で戻ってきた彼は、堂々と自分の車で祖母の遺体を運び、塀を越えて、川に祖母を浮かべたのだった。
後から確認した塀に設置されたカメラには、顔を隠そうともしない少年が、身軽に塀を登る姿が映っていた。最初からこのカメラを見ていればよかったと、私は悔やんだ。とはいえ、そんな都合のいいことが、超能力者でもない私にも神前さんにもできやしないことくらいわかっている。
祖母の遺体が傷つかないよう、丁寧に布団で巻いて、塀の上から吊り上げ、吊り降ろす。そして、水質管理小屋の横から川に降りて、水の中を進んだ。私が見つけた映像でも、実は、彼は顔を隠してもいなかったという。
小屋周りの足跡は、他の職員たちが早朝から行き来してしまったため、はっきりと合致するものはみつからなかった。園の出入り口が閉まっていたから、あらかじめポイントを決めていた遺体を置く場所のそばから侵入したと言っている。
「おばあちゃんを、キレイにしたかった、かあ」
神前さんは肩を竦めた。
「まさか、お前が言ってたことが当たるとは、世の中わからねえな」
「あはは、本当にそうですよね」
笑い声は上滑りして消える。
川辺笑馬の犯行動機は、祖母が生前話していた、一番美しい姿で夫の元へ旅立ちたいという願いを叶えようと思ったというものだった。
学校から帰宅して、脳内出血で死亡している祖母を見つけ、川辺笑馬は自分が最も好きな絵画に似せて、祖母を弔うことにした。
普通に弔うことをしなかったことについて彼は、おばあちゃんは自分のことを応援してくれていたからと答えたらしい。だから彼女自身を題材にして最高の弔いをしてやりたかった、とも。
帰宅した両親は、室内を見て愕然とした。
息子を問い詰め彼のしでかしたことを知ると、それを隠蔽することにした。主導したのはおそらく川辺ゆきな。ガレージを借りたのは彼女で、車をそこに運んだのも彼女だった。息子が異常者だなんて思われたくなかったと、彼女は供述しているらしい。玄関のカメラの映像を削除したことも、認めた。義母の帰宅が判明すれば、家にいた息子が疑われると思ったからだ。
だが、彼女もタイヤ痕のことまでは気が回らなかった。
川辺笑馬はもともと、犯行を隠すつもりはなかったという。そして、今でも罪だとは思っていないとも。
「自分のベストを尽くして弔いたいと思うくらいには、祖母を慕ってたんだろうな」
神前さんは苦々しい口調でそう言って、口元を手の甲で拭った。
罪を犯しても構わないという強い気持ち。その源泉がどこにあるのだろうか。川辺笑馬の場合は、祖母への愛情だった。
「おばあちゃんだけが自分の味方だったんでしょうね、彼の中では。彼女だけが自分の絵を認めてくれたって。まあそこで遺体でアートをっていう思いつきに至るのは、非凡の成すところですかね。ASSISがCランクの私には、ひらめきません」
「IQとASSISは比例しないって知らねえのか」
「いや、知ってますけど。せっかくA判定もらっても、親から圧迫されすぎて将来を棒に振るってなんだか聞いてていたたまれないです」
「死体損壊と遺棄であれば、もし起訴されても数年の服役で済むはずだ。そのあとは、弁護士や医者ではない職業につくことになるだろうよ。その点だけを見れば、たしかに頭がいいかもな。天秤に載せる分銅だけではなく、天秤自体が壊れてる気もするが。バラ園からの民事訴訟については親がどうにかするだろ」
神前さんは飲み干したコーヒーの缶をデスクの上に置いた。
皮肉を言おうとすればいくらでも言えるが、わざわざ北海道にまで赴いてまで祖母の思い出のバラを手折ってくるその情熱と執念は、ある種の尊敬を覚えなくもない。
「三小田、お前今日はもう上がれ。残務ないだろ」
「あ、はい。神前さんはまだ帰らないんですか?」
「一服したら、領家さんに報告して帰る」
「私も、一緒に報告します」
領家さんは昼過ぎから始まった会議から未だ帰ってきていない。
この様子だと、さらに時間がかかるのかもしれない。なんの会議かはわからないが、他の署からも人を集めているそうだから、結構な人数で行われているんだろう。同じ階の会議室を使っているのだが、あそこは百人ほど収容できるはずだ。
タバコを掴んで、神前さんは席を立った。
私はもらったコーヒーをゆっくり飲みならが、彼の動きを視線で追う。
にわかに騒がしくなった川辺家を辞去するときに見た、彼の顔を思い出した。あのバラ園で見たのと同じ顔だった。ちょっと寂しそうな。やっぱりあれは見間違いなんかじゃなかった。
手柄を褒められて、あとは任せろって言われ、私たちは作業のためにオフィスに戻ってきたんだが。きっと彼はあの場に残りたかったんだろうな。
なんだか、これで終わりだって言う実感があまりない。自分で手錠をかけたりしないし、送致の手続きをすべてするわけじゃないからか。裏方の仕事だってわかっているけど物足りなさはどうしようもない。きっと彼はもっと強くそれを感じているんだろう。
だとしても私達なりに尽力したのは間違いない。色々迷惑かけてしまったが、私もなんとか脱落せずにやれた。よかった。
まさか自分で提出した資料を参照してもらえるとは思わなかった。
手柄にこだわる人の気持ちはわからないと言っておきながらも、そうやって自分の作業を誰かに取り上げてもらえると、たしかに嬉しい。これが強くなると、手柄を欲しくなるのかも。いかん、味をしめたら。
かぶりを振って立ち上がり、空になった缶を捨てにオフィスを出た。
今回の事件の捜査に取り組んで、一番の収穫は神前さんとの関係改善かもしれない。
最初は本当に怖くて、勘弁してくれと思っていたのに、今じゃ一緒にいるの苦じゃないというか、むしろ楽しいときもある。ああ結局、自分からお昼に誘えてない。明日は誘いたい。
そんなことをくだくだ考えつつ、喫煙室の前を通りがかった。ここ煙いんだよなあ、なんてちらっとガラス張りの室内を見る。
「あ」
神前さんがいた。
彼が対面しているのは、いつかの夜に会った男性。
木下さん。
部屋の外にいるのに私は緊張した。
ガラスの向こうの神前さんの顔は、今にも木下さんの喉笛に噛みつきそうな怒りに満ちている。
彼らが何を話しているかは聞こえない。どうして木下さんがここにいるのだろう。何を話しているのだろう。神前さんは何を怒っているんだろう。
わけもなく、膝が震えた。
にやにやしながら話している木下さんが、大仰な仕草で肩をすくめて、神前さんの顔に自分の顔を近づける。明確な挑発だった。
体の横に垂らされていた神前さんの手に力が込められ、血管が浮くのが見えた。
「神前さん! 愛野さんからお電話ですよ!」
勢い良く開けたドアが、音を立てた。
神前さんがはっとしてこちらを見る。拳はまだ体側にあった。
私はずかずか室内に踏み込むと笑顔を作って、木下さんに「こんにちは、お久しぶりです」と挨拶をした。彼はすぐに我に返ったらしく、同じように笑顔を作って火の付いたタバコを指に挟んだまま、軽く手を上げた。動揺しないのかもしれないし、していても悟らせない。
ああ、鉄の心臓だなと私は思う。どう考えても、神前さんの方が分が悪い。
「君、この前の連れだよね。オレは芝署の木下。こいつの同期ね、よろしく」
「三小田です、よろしくお願いします。うちの神前さん、お借りしますね! ほら、神前さん、愛野さん待ってるから!」
出鼻をくじかれた形で立ちすくんでいる神前さんを追い立て、私はドアを開けた。
「またな、神前。そろそろ署長の会議も終わるだろうから、オレもお暇するよ」
「――ああ。稲城署長によろしく」
神前さんの声は、平坦だった。それでも語尾はしっかりしていた。
背後で、喫煙室のドアが閉まった。ガラス越しに、室内からの視線を感じる。
どうするか悩んで、私は人のいない方へ向かった。
踊り場に向かって階段を降りる。ここは常時無人だ。
流石におかしいと思ったのか、神前さんが階段の途中で足を止めた。
「……電話は」
「きてませんよ」
「んだよ、それ……」
凄まれたって、怖くもなんともなかった。彼はいつもの仏頂面。でも目に力がない。
傷つくことを言われたのか、怒りに駆られたことを後悔しているのか。そのどちらにも見えた。
処理できないような強い感情なんて、見ないふりをした方が楽なのに。そう思うけど、私にはどうにもできない。
「空き缶捨てに喫煙室の前を通ったら、神前さんが見えたんです。今にも、あの人を食い殺しそうな顔をしていたんで、お節介だとは思ったんですが」
彼は舌打ちして、私を睨んだ。体側で握りしめた手が、白くなっている。
「本当に、余計な世話だ」
「そんな事言うなら、腹芸してみてくださいよ」
思わず口をついて出た言葉は、声の刺々しさとあいまって、攻撃的だった。
「……なに?」
みるみるうちに、彼の目に怒りの火が宿り私を焼き殺そうとする。
もういいや、お節介でもなんでもいい。彼に嫌われるなら嫌われてしまえ。そうなったらどうせそこまでの関係だったってことだ。
「神前さん、あの人に掴みかかろうとしていたでしょう」
相手に引きずられると、ろくなことにならないと十分わかっているのに。彼に対して、お節介から来る押し付けがましい怒りが湧いてきて、口調が強くなってしまった。
「してねえ」
即座に否定しておきながら、彼の目の炎は、揺らいだ。
「あの晩あの人に遭遇したときも、そういう顔してましたよ」
私はそんな彼の顔をじっと見つめる。
彼はしばらく私を睨んでいたが、ふっと視線を逸した。
「お前、知ってんのか、俺が昔したこと」
「断片的には。誰かを殴ってしまったと――それで、怪我をさせてしまったと」
ああ、そんな顔をさせたいんじゃない。責めてるわけじゃない、傷つけたいわけじゃない。貶めたいわけじゃないのに。
そう言いたくなるくらい苦しそうな顔をして、彼は床を睨んだ。羞恥でか、耳が赤くなっている。
「そうか。俺みたいなやつに指導されて、お前も運が悪いな」
「そんな卑屈なこと言わないで」
また、口調が強くなってしまった。
「……いつから知っていた」
「すみません、初日です。朝礼のあと、新人だけ集められて、施設の説明を受けたとき、同期から聞かされました」
ああ、と彼はうめいた。自嘲気味の笑みを浮かべて。
「あなたは怒りっぽくて暴力的な人だからと聞かされて、ちょっとびびりました。色んな伝説聞かされて。いつかひっぱたかれるかなと」
「そうかよ」
私は頭をばりばり掻く。
「本当に、すみません」
「なんで謝る」
「確かめもせずに、噂を真に受けたりしたので」
「俺が木下を殴って頬骨折ったのは事実だ」
木下さんを殴ったのか。
そうかもしれないなって思ってはいたが、確証はなかった。
「私は首の骨折ったって話をされましたけど」
神前さんは鼻を鳴らした。馬鹿馬鹿しいという感じで。
「折ってやってもよかったがな」
「そういうこと言うから。もう……」
私は苦笑した。
「途中で、だいぶ噂が独り歩きしているなって気づいたんです。それで反省しました。噂を信じ込むなんてすごく幼稚なことをして、申し訳ありませんでした」
なんとか気持ちをほぐしてもらおうと、明るい口調で話そうと努力する。うまくいっているか、自信はない。
「ただ、詳細は知らないんですよ。だから、噂がすべて真実だとは思っていません。あなたが木下さんと何かあったんだってことだけは、態度でわかりましたけど」
「悪かったな、態度に出ていて」
「本当ですよ。やばい、この人今本気で怒ってるって、顔見て思いましたよ。普段の悪態は、挨拶みたいなものなんだなって納得しました」
「その納得の仕方はおかしい」
憮然とした表情でそう言われて、私は顔の前で手を振った。
「おかしくないですよ。全然迫力違います、ご自分でさっきの顔を鏡で見たことないんですか?」
「お前、激怒しているとき、鏡見に行くか?」
「ブチキレそうになったら、トイレに退避しますから、割りとよく見てます。不細工さ三割増しですね」
彼の肩から力が抜けたのがわかった。私があんまり馬鹿なことを言うから、脱力したのかもしれない。
彼は深くため息をつくと、やや諦めたような顔をして、胸の前で腕を組んだ。
「それで。この足で指導員を変更してくれと、領家さんに言いに行こうか。ちょうどいいから俺からも言ってやるよ」
「まさか。私は独り立ちするまで神前さんに教えを請うつもり満々ですよ。あなたの指導力に疑問を抱いたことはありませんし。だから……」
私は神前さんを見つめた。彼も見つめ返してくる。さっきよりはだいぶ落ち着いて、顔色も正常に戻っている。
「どうして、殴ったか教えてください。あなたにびびったり、腹を探るような気持ちで師事したくありません」
「言いたくねえ」
即答だった。ぴしゃんと、踏み込もうとしていた彼の領域の前に降ろされるシャッターが見えた気がした。
――そっか。そうだよね。仕方ない。
私は踵を返した。ため息が口から漏れそうになって、こらえる。ため息をつきたいのは、彼の方だろう。
「じゃあいいです、このままで。無理に聞く気はありません。領家さんになにか言うこともありません。……明日から、またよろしくお願いしますね」
オフィスに戻って帰る支度をしよう。
今日は疲れているし、神前さんも一人になりたいだろう。
ちょっとさびしいな、と思いつつ。
階段を数段登って神前さんとすれ違った。
「一昨年の年末だ、俺があいつを殴ったのは」
背中に声がかかって、私は足を止めた。
振り返ると、ちょうど、神前さんと顔の高さが同じくらいになった。
「もともと木下とは折り合いが悪くてな。あいつはどうやら俺のことが心底嫌いらしい。俺もそうだが。……それで、とくに、俺が一課に配属されてからは、顔を合わせるごとに絡まれるようになった。相手するとエスカレートするから無視してた」
「そうですか」
どうして彼は話す気になったんだろう。
気にはなったが、話の腰を折ることを懸念して、私は小さく相槌を打つにとどめた。
「あの日、駐車場の車の中に刺された女がいるって通報があって、近くにいた木下が向かった。俺はそのころ、刑事になったばっかりで、張り切って現場にいった。被害者は病院で死亡が確認されて、殺人事件に切り替わった。俺と、先輩が現場に到着したとき、木下もまだいた」
神前さんの静かな独白が始まった。
「大げさな事言うな。ほら」
「ありがとうございます。ってこのコーヒー、ホットじゃないですか。もう夏ですよ神前さん」
「お前ホットが好きなんだろ」
「違いますよ! この前コールドの飲んでたじゃないですか! 何日前の話を引っ張ってるんですか、もう」
神前さんは肩をすくめて、自分の席についた。その顔はやや疲れが見えるが、明るかった。作業が終わったから、冗談を言う気にもなったのだろうか。
ぶつぶつ言いながら、私も頂いたコーヒーに口をつける。甘い。疲れた体に沁み渡る気がする。
定時後、帰宅者が相次ぐオフィスで、私達は疲労感ただよう顔を突き合わせていた。
ちょうど一時間ほど前、愛野さんから捜査メンバーあてに報告がきたところだった。
本日、川辺笑馬が送致された。
そのためにここ二日間、私達は走り回った。
任意同行した後の慌ただしさったらない。帰りの電車で連日居眠りして降車駅を乗り過ごした。
私は顔をしかめた。コーヒーが苦かったわけではない。判明した事実を思い出したのだ。
× × × × ×
神前さんが気づいたタイヤ痕、あれは川辺夫妻が息子の笑馬に与えた車のものだった。捜査の結果、夫妻の車より大きな車が、貸ガレージから発見された。
川辺笑馬は、両親が不在の二日間のうちに、自宅風呂場を使って作業を行った。
風呂場と車内を確認すると、風呂場からは血液反応が、川辺笑馬所有の車の中からは被害者の体組織が発見された。トイレからも血液反応が見つかっており、取り出した被害者の中身はそこに捨てたという供述も得ている。
遺体の血抜きをしながら、川辺笑馬は翌日早朝に北海道に飛び、例の名寄のバラ園へ向かい、その夜半に帰宅している。そのことも隠すつもりもなかったのか、飛行機のチケットは、被疑者の父が与えたクレジットカードで購入されていた。砂押さんの調べでこれは判明した。公園内で花を手折る彼の姿も、何台かのカメラが姿を捉えていた。
ほとんどとんぼ返りの状態で戻ってきた彼は、堂々と自分の車で祖母の遺体を運び、塀を越えて、川に祖母を浮かべたのだった。
後から確認した塀に設置されたカメラには、顔を隠そうともしない少年が、身軽に塀を登る姿が映っていた。最初からこのカメラを見ていればよかったと、私は悔やんだ。とはいえ、そんな都合のいいことが、超能力者でもない私にも神前さんにもできやしないことくらいわかっている。
祖母の遺体が傷つかないよう、丁寧に布団で巻いて、塀の上から吊り上げ、吊り降ろす。そして、水質管理小屋の横から川に降りて、水の中を進んだ。私が見つけた映像でも、実は、彼は顔を隠してもいなかったという。
小屋周りの足跡は、他の職員たちが早朝から行き来してしまったため、はっきりと合致するものはみつからなかった。園の出入り口が閉まっていたから、あらかじめポイントを決めていた遺体を置く場所のそばから侵入したと言っている。
「おばあちゃんを、キレイにしたかった、かあ」
神前さんは肩を竦めた。
「まさか、お前が言ってたことが当たるとは、世の中わからねえな」
「あはは、本当にそうですよね」
笑い声は上滑りして消える。
川辺笑馬の犯行動機は、祖母が生前話していた、一番美しい姿で夫の元へ旅立ちたいという願いを叶えようと思ったというものだった。
学校から帰宅して、脳内出血で死亡している祖母を見つけ、川辺笑馬は自分が最も好きな絵画に似せて、祖母を弔うことにした。
普通に弔うことをしなかったことについて彼は、おばあちゃんは自分のことを応援してくれていたからと答えたらしい。だから彼女自身を題材にして最高の弔いをしてやりたかった、とも。
帰宅した両親は、室内を見て愕然とした。
息子を問い詰め彼のしでかしたことを知ると、それを隠蔽することにした。主導したのはおそらく川辺ゆきな。ガレージを借りたのは彼女で、車をそこに運んだのも彼女だった。息子が異常者だなんて思われたくなかったと、彼女は供述しているらしい。玄関のカメラの映像を削除したことも、認めた。義母の帰宅が判明すれば、家にいた息子が疑われると思ったからだ。
だが、彼女もタイヤ痕のことまでは気が回らなかった。
川辺笑馬はもともと、犯行を隠すつもりはなかったという。そして、今でも罪だとは思っていないとも。
「自分のベストを尽くして弔いたいと思うくらいには、祖母を慕ってたんだろうな」
神前さんは苦々しい口調でそう言って、口元を手の甲で拭った。
罪を犯しても構わないという強い気持ち。その源泉がどこにあるのだろうか。川辺笑馬の場合は、祖母への愛情だった。
「おばあちゃんだけが自分の味方だったんでしょうね、彼の中では。彼女だけが自分の絵を認めてくれたって。まあそこで遺体でアートをっていう思いつきに至るのは、非凡の成すところですかね。ASSISがCランクの私には、ひらめきません」
「IQとASSISは比例しないって知らねえのか」
「いや、知ってますけど。せっかくA判定もらっても、親から圧迫されすぎて将来を棒に振るってなんだか聞いてていたたまれないです」
「死体損壊と遺棄であれば、もし起訴されても数年の服役で済むはずだ。そのあとは、弁護士や医者ではない職業につくことになるだろうよ。その点だけを見れば、たしかに頭がいいかもな。天秤に載せる分銅だけではなく、天秤自体が壊れてる気もするが。バラ園からの民事訴訟については親がどうにかするだろ」
神前さんは飲み干したコーヒーの缶をデスクの上に置いた。
皮肉を言おうとすればいくらでも言えるが、わざわざ北海道にまで赴いてまで祖母の思い出のバラを手折ってくるその情熱と執念は、ある種の尊敬を覚えなくもない。
「三小田、お前今日はもう上がれ。残務ないだろ」
「あ、はい。神前さんはまだ帰らないんですか?」
「一服したら、領家さんに報告して帰る」
「私も、一緒に報告します」
領家さんは昼過ぎから始まった会議から未だ帰ってきていない。
この様子だと、さらに時間がかかるのかもしれない。なんの会議かはわからないが、他の署からも人を集めているそうだから、結構な人数で行われているんだろう。同じ階の会議室を使っているのだが、あそこは百人ほど収容できるはずだ。
タバコを掴んで、神前さんは席を立った。
私はもらったコーヒーをゆっくり飲みならが、彼の動きを視線で追う。
にわかに騒がしくなった川辺家を辞去するときに見た、彼の顔を思い出した。あのバラ園で見たのと同じ顔だった。ちょっと寂しそうな。やっぱりあれは見間違いなんかじゃなかった。
手柄を褒められて、あとは任せろって言われ、私たちは作業のためにオフィスに戻ってきたんだが。きっと彼はあの場に残りたかったんだろうな。
なんだか、これで終わりだって言う実感があまりない。自分で手錠をかけたりしないし、送致の手続きをすべてするわけじゃないからか。裏方の仕事だってわかっているけど物足りなさはどうしようもない。きっと彼はもっと強くそれを感じているんだろう。
だとしても私達なりに尽力したのは間違いない。色々迷惑かけてしまったが、私もなんとか脱落せずにやれた。よかった。
まさか自分で提出した資料を参照してもらえるとは思わなかった。
手柄にこだわる人の気持ちはわからないと言っておきながらも、そうやって自分の作業を誰かに取り上げてもらえると、たしかに嬉しい。これが強くなると、手柄を欲しくなるのかも。いかん、味をしめたら。
かぶりを振って立ち上がり、空になった缶を捨てにオフィスを出た。
今回の事件の捜査に取り組んで、一番の収穫は神前さんとの関係改善かもしれない。
最初は本当に怖くて、勘弁してくれと思っていたのに、今じゃ一緒にいるの苦じゃないというか、むしろ楽しいときもある。ああ結局、自分からお昼に誘えてない。明日は誘いたい。
そんなことをくだくだ考えつつ、喫煙室の前を通りがかった。ここ煙いんだよなあ、なんてちらっとガラス張りの室内を見る。
「あ」
神前さんがいた。
彼が対面しているのは、いつかの夜に会った男性。
木下さん。
部屋の外にいるのに私は緊張した。
ガラスの向こうの神前さんの顔は、今にも木下さんの喉笛に噛みつきそうな怒りに満ちている。
彼らが何を話しているかは聞こえない。どうして木下さんがここにいるのだろう。何を話しているのだろう。神前さんは何を怒っているんだろう。
わけもなく、膝が震えた。
にやにやしながら話している木下さんが、大仰な仕草で肩をすくめて、神前さんの顔に自分の顔を近づける。明確な挑発だった。
体の横に垂らされていた神前さんの手に力が込められ、血管が浮くのが見えた。
「神前さん! 愛野さんからお電話ですよ!」
勢い良く開けたドアが、音を立てた。
神前さんがはっとしてこちらを見る。拳はまだ体側にあった。
私はずかずか室内に踏み込むと笑顔を作って、木下さんに「こんにちは、お久しぶりです」と挨拶をした。彼はすぐに我に返ったらしく、同じように笑顔を作って火の付いたタバコを指に挟んだまま、軽く手を上げた。動揺しないのかもしれないし、していても悟らせない。
ああ、鉄の心臓だなと私は思う。どう考えても、神前さんの方が分が悪い。
「君、この前の連れだよね。オレは芝署の木下。こいつの同期ね、よろしく」
「三小田です、よろしくお願いします。うちの神前さん、お借りしますね! ほら、神前さん、愛野さん待ってるから!」
出鼻をくじかれた形で立ちすくんでいる神前さんを追い立て、私はドアを開けた。
「またな、神前。そろそろ署長の会議も終わるだろうから、オレもお暇するよ」
「――ああ。稲城署長によろしく」
神前さんの声は、平坦だった。それでも語尾はしっかりしていた。
背後で、喫煙室のドアが閉まった。ガラス越しに、室内からの視線を感じる。
どうするか悩んで、私は人のいない方へ向かった。
踊り場に向かって階段を降りる。ここは常時無人だ。
流石におかしいと思ったのか、神前さんが階段の途中で足を止めた。
「……電話は」
「きてませんよ」
「んだよ、それ……」
凄まれたって、怖くもなんともなかった。彼はいつもの仏頂面。でも目に力がない。
傷つくことを言われたのか、怒りに駆られたことを後悔しているのか。そのどちらにも見えた。
処理できないような強い感情なんて、見ないふりをした方が楽なのに。そう思うけど、私にはどうにもできない。
「空き缶捨てに喫煙室の前を通ったら、神前さんが見えたんです。今にも、あの人を食い殺しそうな顔をしていたんで、お節介だとは思ったんですが」
彼は舌打ちして、私を睨んだ。体側で握りしめた手が、白くなっている。
「本当に、余計な世話だ」
「そんな事言うなら、腹芸してみてくださいよ」
思わず口をついて出た言葉は、声の刺々しさとあいまって、攻撃的だった。
「……なに?」
みるみるうちに、彼の目に怒りの火が宿り私を焼き殺そうとする。
もういいや、お節介でもなんでもいい。彼に嫌われるなら嫌われてしまえ。そうなったらどうせそこまでの関係だったってことだ。
「神前さん、あの人に掴みかかろうとしていたでしょう」
相手に引きずられると、ろくなことにならないと十分わかっているのに。彼に対して、お節介から来る押し付けがましい怒りが湧いてきて、口調が強くなってしまった。
「してねえ」
即座に否定しておきながら、彼の目の炎は、揺らいだ。
「あの晩あの人に遭遇したときも、そういう顔してましたよ」
私はそんな彼の顔をじっと見つめる。
彼はしばらく私を睨んでいたが、ふっと視線を逸した。
「お前、知ってんのか、俺が昔したこと」
「断片的には。誰かを殴ってしまったと――それで、怪我をさせてしまったと」
ああ、そんな顔をさせたいんじゃない。責めてるわけじゃない、傷つけたいわけじゃない。貶めたいわけじゃないのに。
そう言いたくなるくらい苦しそうな顔をして、彼は床を睨んだ。羞恥でか、耳が赤くなっている。
「そうか。俺みたいなやつに指導されて、お前も運が悪いな」
「そんな卑屈なこと言わないで」
また、口調が強くなってしまった。
「……いつから知っていた」
「すみません、初日です。朝礼のあと、新人だけ集められて、施設の説明を受けたとき、同期から聞かされました」
ああ、と彼はうめいた。自嘲気味の笑みを浮かべて。
「あなたは怒りっぽくて暴力的な人だからと聞かされて、ちょっとびびりました。色んな伝説聞かされて。いつかひっぱたかれるかなと」
「そうかよ」
私は頭をばりばり掻く。
「本当に、すみません」
「なんで謝る」
「確かめもせずに、噂を真に受けたりしたので」
「俺が木下を殴って頬骨折ったのは事実だ」
木下さんを殴ったのか。
そうかもしれないなって思ってはいたが、確証はなかった。
「私は首の骨折ったって話をされましたけど」
神前さんは鼻を鳴らした。馬鹿馬鹿しいという感じで。
「折ってやってもよかったがな」
「そういうこと言うから。もう……」
私は苦笑した。
「途中で、だいぶ噂が独り歩きしているなって気づいたんです。それで反省しました。噂を信じ込むなんてすごく幼稚なことをして、申し訳ありませんでした」
なんとか気持ちをほぐしてもらおうと、明るい口調で話そうと努力する。うまくいっているか、自信はない。
「ただ、詳細は知らないんですよ。だから、噂がすべて真実だとは思っていません。あなたが木下さんと何かあったんだってことだけは、態度でわかりましたけど」
「悪かったな、態度に出ていて」
「本当ですよ。やばい、この人今本気で怒ってるって、顔見て思いましたよ。普段の悪態は、挨拶みたいなものなんだなって納得しました」
「その納得の仕方はおかしい」
憮然とした表情でそう言われて、私は顔の前で手を振った。
「おかしくないですよ。全然迫力違います、ご自分でさっきの顔を鏡で見たことないんですか?」
「お前、激怒しているとき、鏡見に行くか?」
「ブチキレそうになったら、トイレに退避しますから、割りとよく見てます。不細工さ三割増しですね」
彼の肩から力が抜けたのがわかった。私があんまり馬鹿なことを言うから、脱力したのかもしれない。
彼は深くため息をつくと、やや諦めたような顔をして、胸の前で腕を組んだ。
「それで。この足で指導員を変更してくれと、領家さんに言いに行こうか。ちょうどいいから俺からも言ってやるよ」
「まさか。私は独り立ちするまで神前さんに教えを請うつもり満々ですよ。あなたの指導力に疑問を抱いたことはありませんし。だから……」
私は神前さんを見つめた。彼も見つめ返してくる。さっきよりはだいぶ落ち着いて、顔色も正常に戻っている。
「どうして、殴ったか教えてください。あなたにびびったり、腹を探るような気持ちで師事したくありません」
「言いたくねえ」
即答だった。ぴしゃんと、踏み込もうとしていた彼の領域の前に降ろされるシャッターが見えた気がした。
――そっか。そうだよね。仕方ない。
私は踵を返した。ため息が口から漏れそうになって、こらえる。ため息をつきたいのは、彼の方だろう。
「じゃあいいです、このままで。無理に聞く気はありません。領家さんになにか言うこともありません。……明日から、またよろしくお願いしますね」
オフィスに戻って帰る支度をしよう。
今日は疲れているし、神前さんも一人になりたいだろう。
ちょっとさびしいな、と思いつつ。
階段を数段登って神前さんとすれ違った。
「一昨年の年末だ、俺があいつを殴ったのは」
背中に声がかかって、私は足を止めた。
振り返ると、ちょうど、神前さんと顔の高さが同じくらいになった。
「もともと木下とは折り合いが悪くてな。あいつはどうやら俺のことが心底嫌いらしい。俺もそうだが。……それで、とくに、俺が一課に配属されてからは、顔を合わせるごとに絡まれるようになった。相手するとエスカレートするから無視してた」
「そうですか」
どうして彼は話す気になったんだろう。
気にはなったが、話の腰を折ることを懸念して、私は小さく相槌を打つにとどめた。
「あの日、駐車場の車の中に刺された女がいるって通報があって、近くにいた木下が向かった。俺はそのころ、刑事になったばっかりで、張り切って現場にいった。被害者は病院で死亡が確認されて、殺人事件に切り替わった。俺と、先輩が現場に到着したとき、木下もまだいた」
神前さんの静かな独白が始まった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
肉食御曹司の独占愛で極甘懐妊しそうです
沖田弥子
恋愛
過去のトラウマから恋愛と結婚を避けて生きている、二十六歳のさやか。そんなある日、飲み会の帰り際、イケメン上司で会社の御曹司でもある久我凌河に二人きりの二次会に誘われる。ホテルの最上階にある豪華なバーで呑むことになったさやか。お酒の勢いもあって、さやかが強く抱いている『とある願望』を彼に話したところ、なんと彼と一夜を過ごすことになり、しかも恋人になってしまった!? 彼は自分を女除けとして使っているだけだ、と考えるさやかだったが、少しずつ彼に恋心を覚えるようになっていき……。肉食でイケメンな彼にとろとろに蕩かされる、極甘濃密ラブ・ロマンス!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる