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3、売られたケンカ、言い値で買います(1)
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私は独特のえぐみのあるものを飲みくだし、口を離した。唾液に濡れた赤黒いそれは、まだ上を向いていたが、そのうち落ち着くだろう。
「ん……早いね。それともクスリの効果がきつかったかな」
「うるせー変態女……。ここのところ忙しくて抜いてなかったんだよ」
「人の寝込みにおっぱいもんでいく痴漢に変態なんていわれる筋合いない」
「あれは……いや、いい」
はあ、と深い息を吐き、両手で顔を覆ったノルンは、ずるずると背もたれを滑り落ちてくる。こっちを見ようともしない。隠せてない耳や頬の一部は真っ赤だ。
「それでどうしようか、ノルン。私としては、このまま本懐を遂げたい所存だが、強姦はさすがに寝覚めが悪い」
「いまのは強姦じゃねーのかよ! というか本懐ってなんだよこの痴女!」
「細かいこと言わない、いまのは同僚同士のマッサージ的なものだと思えばいいんじゃない。それとも筋肉女にイカされたのは癪なのかな」
「筋肉女って言ったの、しっかり根に持ってやがる……」
「散々バカにされたから、ここぞとばかりに仕返しする方式。そもそも筋肉女でなにが悪い。筋肉がなければ騎士としてやっていけないのにさ」
「筋肉つけたところで俺に庇われてばかりじゃねーかよ」
吐き捨てるように言って、ノルンがまた深呼吸した。なんとか落ち着こうとしているみたいだ。
「そうだね。そこを文句をいいながら見捨てずフォローしてくれるのがあんたでしょ。さっきだって、私がお菓子を食べるのを止めてくれた。自分のほうが具合が悪いのに、私が毒物食べたらまずいって心配してくれたんでしょ。
これは勝手な推測だけど、あんたもしかして、お菓子食べに来てるの、最初の口実守って、まだ毒味を続けてるつもり?」
「んなわけねーだろ。なんで俺がお前なんかのために」
「はいはい、照れ隠し。ノルンこっち方面になると、わかりやすいよね」
「わかりやすいってなにがだよ」
「そんなところも含めて、好きだよ」
嘘偽りない気持ちを話したら、ノルンががばりと身を起こした。ノルンのノルンが揺れるのが面白い。
「はあ?! 好き!? お前が、俺を!? 憎まれ口ばっかり叩いておいて、こんないたずらして、おちょくってるのか」
「嫌いだったらぜったいに部屋になんかいれないし、陰茎なんか触りたくもないよ、汚い」
「汚かねーよこれでもちゃんと毎日体は洗ってるからなっ。というかカメリアお前、す、好きとかうそだろ!? 俺のこと好きなら普通、こんな悪質ないたずらしねえだろ!?」
「私のこと好きなくせに意地悪ばかりいう天の邪鬼が、言えた立場じゃないよね」
「……、言うに事欠いて俺がお前を好き? 都合のいい妄想はそのくらいにしておけよ。んなわけねーだろ。頭の中、花咲いて、養分そっちに吸われてるんじゃねえの」
言葉に詰まったノルンは、直前までの勢いをどこへやら、視線をウロウロさまよわせる。勃たない発言をしたときもそうだった。職務中には絶対に見られない、ノルンの素の顔だ。
私は確信を持って微笑む。
「ん……早いね。それともクスリの効果がきつかったかな」
「うるせー変態女……。ここのところ忙しくて抜いてなかったんだよ」
「人の寝込みにおっぱいもんでいく痴漢に変態なんていわれる筋合いない」
「あれは……いや、いい」
はあ、と深い息を吐き、両手で顔を覆ったノルンは、ずるずると背もたれを滑り落ちてくる。こっちを見ようともしない。隠せてない耳や頬の一部は真っ赤だ。
「それでどうしようか、ノルン。私としては、このまま本懐を遂げたい所存だが、強姦はさすがに寝覚めが悪い」
「いまのは強姦じゃねーのかよ! というか本懐ってなんだよこの痴女!」
「細かいこと言わない、いまのは同僚同士のマッサージ的なものだと思えばいいんじゃない。それとも筋肉女にイカされたのは癪なのかな」
「筋肉女って言ったの、しっかり根に持ってやがる……」
「散々バカにされたから、ここぞとばかりに仕返しする方式。そもそも筋肉女でなにが悪い。筋肉がなければ騎士としてやっていけないのにさ」
「筋肉つけたところで俺に庇われてばかりじゃねーかよ」
吐き捨てるように言って、ノルンがまた深呼吸した。なんとか落ち着こうとしているみたいだ。
「そうだね。そこを文句をいいながら見捨てずフォローしてくれるのがあんたでしょ。さっきだって、私がお菓子を食べるのを止めてくれた。自分のほうが具合が悪いのに、私が毒物食べたらまずいって心配してくれたんでしょ。
これは勝手な推測だけど、あんたもしかして、お菓子食べに来てるの、最初の口実守って、まだ毒味を続けてるつもり?」
「んなわけねーだろ。なんで俺がお前なんかのために」
「はいはい、照れ隠し。ノルンこっち方面になると、わかりやすいよね」
「わかりやすいってなにがだよ」
「そんなところも含めて、好きだよ」
嘘偽りない気持ちを話したら、ノルンががばりと身を起こした。ノルンのノルンが揺れるのが面白い。
「はあ?! 好き!? お前が、俺を!? 憎まれ口ばっかり叩いておいて、こんないたずらして、おちょくってるのか」
「嫌いだったらぜったいに部屋になんかいれないし、陰茎なんか触りたくもないよ、汚い」
「汚かねーよこれでもちゃんと毎日体は洗ってるからなっ。というかカメリアお前、す、好きとかうそだろ!? 俺のこと好きなら普通、こんな悪質ないたずらしねえだろ!?」
「私のこと好きなくせに意地悪ばかりいう天の邪鬼が、言えた立場じゃないよね」
「……、言うに事欠いて俺がお前を好き? 都合のいい妄想はそのくらいにしておけよ。んなわけねーだろ。頭の中、花咲いて、養分そっちに吸われてるんじゃねえの」
言葉に詰まったノルンは、直前までの勢いをどこへやら、視線をウロウロさまよわせる。勃たない発言をしたときもそうだった。職務中には絶対に見られない、ノルンの素の顔だ。
私は確信を持って微笑む。
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