私が間違っているのですか? 〜ピンクブロンドのあざと女子に真っ当なことを言っただけ〜

もーりんもも

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20 生徒茶会②

「私、一組を代表して、全員分のお菓子を焼こうと思うの!」

 放課後、レリル様が興奮して、「今日からすぐに打ち合わせを始めましょう」と言って、私とシャーリーは彼女に半ば強引にカフェテリアに連れて行かれた。
 私たちが席に座った途端に、レリル様の口から爆弾発言が飛び出た。

 もしかして、お茶会の実施要領を聞いていなかった?
 シャーリーも頬が引き攣っている。

「私、何か飲み物を取ってくるわ」

 あ、シャーリーが逃げた!
 え? 私とレリル様の二人だけにするなんて、ひどい!


「レリル様。私たち貴族がお茶会を開く時、は、準備はほとんど使用人に任せることが多いでしょう? でも今回の学園での生徒茶会は、準備から全て生徒が担当するのです。お茶会にはどんな準備が必要で、招いた側と招かれた側の作法はどういったものかを学ぶのが目的です。お菓子は学園が指定したものをお出しすることが決まっています。これは一組と二組の生徒が同じ条件でお茶会を開催するための決まりなのです。ですから、(勝手に作った)自作のお菓子はお出しできないと思います」

 茶葉や菓子の購入額の上限についても説明があったのに。
 それに、他のところは二つのペア四人ずつでテーブルを担当するのに、私たちのところだけ一人少ない。
 私とシャーリーにしてみれば、実質二人少ないんだけど。

 レリル様がどのタイミングで抜けるのかも分からないので、準備にだけ参加していただき、当日は、ホスト役になった際、私とシャーリー二人でおもてなしをしようと思う。
 なので、早いところレリル様込みの打ち合わせは終了して、シャーリーと実のある話し合いをしたい。
 レリル様にも、茶会に参加したと実感してもらえるような役割を考えなきゃならないし……。
 
「あら!」

 レリル様が急に弾んだ声を上げた。
 心ここに在らずだった私は、近づいてきた人たちに気がつかなった。
 レリル様は単純に自分を囲むメンバーが増えて嬉しい様子。

 見慣れた伯爵令息が三人、鼻息荒く私を睨んでいる。

「やっぱりな。君はそうやってレリル嬢の邪魔をするつもりだったんだな。まるで自分だけが正しくて、レリル嬢が間違っているような言い草だ!」
「まったくだ。嫉妬か? レリル嬢をうまいこと言いくるめて、これ以上彼女の株が上がらないようにするつもりなのだな」
「おかしいと思ったんだ。教室では他人の目があって言いにくかったのだろう? わざわざ放課後に、誰もいないこんなところに連れてきて、説教めいた口調で説得にかかるとはな!」

 ……はぁ。
 令息たちは学園にいる間、ずっとレリル様の後をつけているの?

 それにしても、レリル様の株って、彼ら以外のところで上がっていたりするのかな?
 そんな評判は聞いていないんだけど?
 だいたい、ここに連れて来られたのは私の方なんですけど?


「みんな! 大丈夫よ。心配してくれてありがとう。メーベル様ならきっと分かってくれると思うの!」

 ……え?
 なぜかレリル様に庇われてしまった。
 でも、いったい何を分かれと言うの?

「レリル嬢がそう言うのなら……」

 レリル様がキラキラとした笑顔で、「大丈夫」と言っただけで、令息たちは、さっきまでの勢いはどこへやら、あっという間に、振り上げた拳を下ろした。
 えぇぇ? 何なの? すごい変わりよう。
 彼らには芯がないのかな。
 



「ちょっと! よってたかって何をしているの!」

 シャーリーが持ってきたトレイを投げつけそうな勢いで睨んでいる!
 彼女は卑怯なことが大嫌いだから、多勢に無勢でも怯まないんだよね。
 さっきは面倒臭がって一時的に逃げたけど。

「なっ、何だと? まるで僕たちが女子に向かって威圧的な態度で難癖をつけていたみたいな言い方だな!」

 その通り。威圧的な態度で難癖をつけていたでしょう?

「そうだ! どちらかというと、メーベル嬢がレリル嬢に辛辣なことを言っていじめていたのだぞ!」

 いじめていた?
 私は普通に彼女の勘違い(?)を訂正しただけなのに。

「自分の方が身分が上だからと、男爵家の令嬢を下に見ているのだろう?」

 それは聞き捨てならない!

「私はそんな風に思ったことなど一度もないわ」
「ふん。図星なんだろう? そんな噂が流れれば、陛下のご意向に背いたと思われるからな。慌てて取り繕おうったって、そうはいかないぞ」

 どうしてそんな話になっているの?

 ガッチャーン‼︎

 シャーリーがトレイをテーブルに乱暴に置いたため、トレイーの上でティーカップが転がり、紅茶が溢れた。

「ほら! 三人でよってたかって非力な令嬢に詰め寄っているじゃないの!」

な令嬢」という言葉が効いたみたいで、令息たちはピタリと口をつぐんだ。


 少しの間、沈黙が続くと、空気を読まないレリル様がキョトンと小首を傾げて言った。

「それで――結局、私はいくつお菓子を焼いたらいいのかしら?」
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