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第13章
3
◆ マイホーム・昼下がりの出来事
静かな昼のマイホーム。ナギはリビングのテーブルでおやつの準備をしていた。
「ふふっ、今日は焼きたてのフルーツパイだよ~。アウルの好きなやつ」
その背後。無音で接近する足音。
ノクスはナギをじっと見つめ、瞳にデータを走らせていた。
──人間。非戦闘状態。無警戒。
──最小動作での排除可能。
──理由:過去記録にて、人間=敵。ナギ、感情表現=欺瞞の可能性。
ノクスの右手が腰の短剣に触れる。
抜き放たれた銀の刃が、光を帯びてナギの背へと迫る。
「対象の静止……」
「だめ!!ノクス、それ以上動かないで!!」
アウルの声が響く。
瞬間、ノクスの手が止まる。
空気が張り詰めたように固まり、ナギはぽかんと振り返った。
「えっ?どうしたの、アウル?……あれ?ノクスくん、ナイフ持ってた?」
アウルはナギの前に立ちはだかり、ノクスを真正面から見つめる。
「ノクス、ナギは敵じゃない!ぼくらの大事な仲間なんだよ!」
ノクスの瞳がわずかに揺れた。データが更新され、矛盾を検知していた。
「命令と記録の整合性エラー……ナギ=敵。アウル=味方。敵を守る味方……矛盾……」
「それでいいよ、ノクス」
アウルはそっと手を伸ばす。「矛盾だらけなのが“人間”なんだ。だから、それをこれから“知って”いこう?」
ナギは笑顔のまま言った。
「なんかよくわかんないけど、ノクスくん、フルーツパイ食べる?あったかいよ~」
ノクスはしばらく沈黙し――短剣をゆっくり鞘に戻した。
◆ 静かな午後・マイホーム
みんなでフルーツパイを囲むテーブル。ナギは無邪気に笑いながらノクスにおかわりを差し出していた。
その時、ヴァルトが静かに立ち上がり、言葉を口にする。
「……先程、ノクスがナギに対し武器を抜いた」
その一言に、空気が一瞬止まる。
ナギの笑顔がふっとゆるみ、手の動きが止まる。
「……え?」
ヴァルトは続けた。
「アウルが即座に行動し、止めに入った。被害はないが、十分に危険だった」
「アウルが……守ってくれたの?」
ナギがそっとアウルの顔を見る。
アウルは少し恥ずかしそうに頷いた。
「うん。ノクスがナイフを持ってて……でも、止められたから」
「ありがとう、アウル」
ナギは柔らかく微笑み、アウルの頭をそっと撫でた。「本当に、ありがとうね」
アウルは照れながらも、どこか誇らしげだった。
一方で――ノクス。
その表情には一切の動揺は見られない。いつもの無機質なポーカーフェイスを保ったまま、ナギを見つめていた。
けれど、ほんの一瞬。
彼の指先がわずかに震えたことを、ヴァルトだけが見逃さなかった。
ノクスの中で、何かが揺れていた。
命令と現実。敵と味方。自分の「常識」と、今起きている「事実」の矛盾。
それを誰にも見せず、表情も変えず、ただ黙って座っていた。
ナギはそんなノクスにも微笑んで、
「ねぇ、ノクスくん。フルーツパイ、美味しかった?危ないこともあったけど……今ここにいるなら、仲良くしたいな」
と、優しく言った。
ノクスは一言だけ、低い声で返す。
「……理解、不能。しかし、検討する」
アウルがそっと笑った。
「うん、それでいいよ。ゆっくり、ね」
静かな昼のマイホーム。ナギはリビングのテーブルでおやつの準備をしていた。
「ふふっ、今日は焼きたてのフルーツパイだよ~。アウルの好きなやつ」
その背後。無音で接近する足音。
ノクスはナギをじっと見つめ、瞳にデータを走らせていた。
──人間。非戦闘状態。無警戒。
──最小動作での排除可能。
──理由:過去記録にて、人間=敵。ナギ、感情表現=欺瞞の可能性。
ノクスの右手が腰の短剣に触れる。
抜き放たれた銀の刃が、光を帯びてナギの背へと迫る。
「対象の静止……」
「だめ!!ノクス、それ以上動かないで!!」
アウルの声が響く。
瞬間、ノクスの手が止まる。
空気が張り詰めたように固まり、ナギはぽかんと振り返った。
「えっ?どうしたの、アウル?……あれ?ノクスくん、ナイフ持ってた?」
アウルはナギの前に立ちはだかり、ノクスを真正面から見つめる。
「ノクス、ナギは敵じゃない!ぼくらの大事な仲間なんだよ!」
ノクスの瞳がわずかに揺れた。データが更新され、矛盾を検知していた。
「命令と記録の整合性エラー……ナギ=敵。アウル=味方。敵を守る味方……矛盾……」
「それでいいよ、ノクス」
アウルはそっと手を伸ばす。「矛盾だらけなのが“人間”なんだ。だから、それをこれから“知って”いこう?」
ナギは笑顔のまま言った。
「なんかよくわかんないけど、ノクスくん、フルーツパイ食べる?あったかいよ~」
ノクスはしばらく沈黙し――短剣をゆっくり鞘に戻した。
◆ 静かな午後・マイホーム
みんなでフルーツパイを囲むテーブル。ナギは無邪気に笑いながらノクスにおかわりを差し出していた。
その時、ヴァルトが静かに立ち上がり、言葉を口にする。
「……先程、ノクスがナギに対し武器を抜いた」
その一言に、空気が一瞬止まる。
ナギの笑顔がふっとゆるみ、手の動きが止まる。
「……え?」
ヴァルトは続けた。
「アウルが即座に行動し、止めに入った。被害はないが、十分に危険だった」
「アウルが……守ってくれたの?」
ナギがそっとアウルの顔を見る。
アウルは少し恥ずかしそうに頷いた。
「うん。ノクスがナイフを持ってて……でも、止められたから」
「ありがとう、アウル」
ナギは柔らかく微笑み、アウルの頭をそっと撫でた。「本当に、ありがとうね」
アウルは照れながらも、どこか誇らしげだった。
一方で――ノクス。
その表情には一切の動揺は見られない。いつもの無機質なポーカーフェイスを保ったまま、ナギを見つめていた。
けれど、ほんの一瞬。
彼の指先がわずかに震えたことを、ヴァルトだけが見逃さなかった。
ノクスの中で、何かが揺れていた。
命令と現実。敵と味方。自分の「常識」と、今起きている「事実」の矛盾。
それを誰にも見せず、表情も変えず、ただ黙って座っていた。
ナギはそんなノクスにも微笑んで、
「ねぇ、ノクスくん。フルーツパイ、美味しかった?危ないこともあったけど……今ここにいるなら、仲良くしたいな」
と、優しく言った。
ノクスは一言だけ、低い声で返す。
「……理解、不能。しかし、検討する」
アウルがそっと笑った。
「うん、それでいいよ。ゆっくり、ね」
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