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4章
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■第37話『ことばの稽古と、はじまりの手紙』
*
「まず、“目を見て話す”ことから始めましょう」
レオの声は、いつもより少しだけ低く、凛としていた。
「……恥ずかしいな。うまく目を合わせられないよ」
「それでも、“伝えたい”気持ちがあるのなら、
恥ずかしさよりも、想いを優先できるはずです」
店の奥。まるで剣の稽古のように、リィナは言葉を繰り返して練習する。
「ありがとう……あなたがいてくれて、うれしい」
「……もう一度。“わたしのことば”で、もう少し、届くように」
「……ありがとう。……いてくれて、本当に、よかった」
ピノとモルが棚の影からそっと拍手。
「ぴっぴ!(じょうず!)」「モル、ちょっと じーんとした」
レオは目を細めて頷いた。
「その言葉なら、誰かの心をきっと動かせます」
*
ピノとモルの“訓練”にも変化があった。
モルは接客だけでなく、計算や言葉遊びもすっかり得意になり、
ピノは木刀での防御技を自分なりにアレンジして“ピノ式防衛術”を完成させた。
「ぴっぴ!(これで5秒は耐えられる)」
「モル、クッキーつくるのもおぼえたい!」
「それなら、今度“ピノモルクッキー”出してみようかな」
リィナは笑いながらも、心の中でじんわり感じていた。
(みんな、ちゃんと前に進んでる)
*
その日の午後。
リィナ宛に、しっかりと封蝋がされた一通の手紙が届いた。
送り主は――王都。
宛名は、「リィナ・アーデン 様」
そして差出人には、勇者リュシオンの名が添えられていた。
「……勇者、さんから……?」
封を開ける手が、すこしだけ震えた。
手紙の内容は、静かで、丁寧だった。
⸻
『リィナ・アーデン様へ
先日は、美味しい菓子と貴重な対話の時間をありがとうございました。
あなたの在り方が、国の未来を変える鍵となると、私は確信しています。
よろしければ、来たる王都議会主催の文化交歓会にて、
あなたの“まあるい味”を届けていただけませんか。
あなた自身の言葉とともに。
――リュシオン・アルステイル』
⸻
「……招待状、だよね。これ……」
「ぴ……」「モル、すごい! すごすぎる!」
リィナは、手紙を胸に当てて、大きく息を吸った。
「……いこう。今度は、わたしが“話しに”いく番だよね」
レオが、そっとその背中を見守る。
「……はい。“伝える力”を持ったあなたなら、きっとできる」
*
「まず、“目を見て話す”ことから始めましょう」
レオの声は、いつもより少しだけ低く、凛としていた。
「……恥ずかしいな。うまく目を合わせられないよ」
「それでも、“伝えたい”気持ちがあるのなら、
恥ずかしさよりも、想いを優先できるはずです」
店の奥。まるで剣の稽古のように、リィナは言葉を繰り返して練習する。
「ありがとう……あなたがいてくれて、うれしい」
「……もう一度。“わたしのことば”で、もう少し、届くように」
「……ありがとう。……いてくれて、本当に、よかった」
ピノとモルが棚の影からそっと拍手。
「ぴっぴ!(じょうず!)」「モル、ちょっと じーんとした」
レオは目を細めて頷いた。
「その言葉なら、誰かの心をきっと動かせます」
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ピノとモルの“訓練”にも変化があった。
モルは接客だけでなく、計算や言葉遊びもすっかり得意になり、
ピノは木刀での防御技を自分なりにアレンジして“ピノ式防衛術”を完成させた。
「ぴっぴ!(これで5秒は耐えられる)」
「モル、クッキーつくるのもおぼえたい!」
「それなら、今度“ピノモルクッキー”出してみようかな」
リィナは笑いながらも、心の中でじんわり感じていた。
(みんな、ちゃんと前に進んでる)
*
その日の午後。
リィナ宛に、しっかりと封蝋がされた一通の手紙が届いた。
送り主は――王都。
宛名は、「リィナ・アーデン 様」
そして差出人には、勇者リュシオンの名が添えられていた。
「……勇者、さんから……?」
封を開ける手が、すこしだけ震えた。
手紙の内容は、静かで、丁寧だった。
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『リィナ・アーデン様へ
先日は、美味しい菓子と貴重な対話の時間をありがとうございました。
あなたの在り方が、国の未来を変える鍵となると、私は確信しています。
よろしければ、来たる王都議会主催の文化交歓会にて、
あなたの“まあるい味”を届けていただけませんか。
あなた自身の言葉とともに。
――リュシオン・アルステイル』
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「……招待状、だよね。これ……」
「ぴ……」「モル、すごい! すごすぎる!」
リィナは、手紙を胸に当てて、大きく息を吸った。
「……いこう。今度は、わたしが“話しに”いく番だよね」
レオが、そっとその背中を見守る。
「……はい。“伝える力”を持ったあなたなら、きっとできる」
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