『しろくま通りのピノ屋さん 〜転生モブは今日もお菓子を焼く〜』

miigumi

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9章

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第79話『夢を飾って、いっしょに笑う日』

 *

 「よいしょ……ここ、で、いい?」

 「ばっちりです、ユルくん!」

 リィナがユルと一緒に店の壁に掲げたのは、
 ユルの“夢ノート”をコピーした展示パネル。



ユルの夢ノート(抜粋)
• まあるい店をつくる
• ひととまもの、いっしょにおかしをうる
• “おいしい”ってことばは、すきっていうこと
• まいにち、クッキーはぜったいある
• ひかりのなかに、だれかといる



 「これ……ユルが、ほんとに書いたの?」

 「うん。町の人たちにも、見てもらいたいって」

 子どもたちがじっと見つめ、大人たちはゆっくりとうなずく。

 「……すてきだねぇ」「この夢、うちの孫にも見せたいわ」

 *

 その頃、広場の端では――
 護衛訓練中のトルとミオに、子どもたちが駆け寄ってきた。

 「ねぇねぇ、剣ふってるの見せてー!」

 「じゃあちょっとだけな! これが“構え”ってやつ!」

 「すごーい! トルくん、かっこいいー!」

 「ふふっ、へへへ……かっこいい、って言われた……」

 その笑顔を、町の人々がこっそり見守っていた。



パン屋の奥さん

「笑った……初めて、あの子たちが町の子と同じ顔で笑ったね」



 *

 そしてピノの屋台では、思いがけない来訪者が。

 「あなたが、ピノさまですか!? おれ、魔法冷菓子、習いたくて!」

 「ぴぴっ!? 弟子希望だとぉ!?」

 「氷出せませんけど、心は燃えてますっ!」

 「ぴ(それはむしろマイナスだ)」

 モル:「おーい! 弟子、しごき中ー!」

 *

 その夜。リィナとレオは、家の前のベンチに並んで座っていた。

 「……最近、“毎日”がちょっと楽しみで。
 明日はどんな“まあるい笑顔”が見られるかなって」

 レオは静かに彼女の手をとって、言った。

 「その隣に、僕がいられるなら――それが、何よりの幸せです」

 「……レオさん、甘いです」

 「あなたの作るクッキーよりは、控えめなつもりですが」

 「それは……おかわりしてもいいですか?」

 「いくらでも」
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