『しろくま通りのピノ屋さん 〜転生モブは今日もお菓子を焼く〜』

miigumi

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10章

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第92話『まあるい場所、つくる手と、しまわれた箱』

 *

 「ねえリィナちゃん、“ふたりの家”って、どこに建てるの?」

 パン屋の奥さんが笑いながらそう聞くと、
 リィナは頬を染めて「ま、まだ考え中です」と答えた。

 でも、町のみんなはうれしそうだった。



雑貨屋のおばあちゃん

「丘の見える場所がいいんじゃない? 朝焼けがきれいに入るから」

鍛冶屋の兄さん

「じゃあ門扉は俺がつくるよ。シンプルで、でも“ただいま”って言える形のやつ」



 「“ただいま”って言える家か……なんか、家ってより、町の一部になる気がする」

 リィナがぽつりと言うと、レオはそっと微笑んだ。

 「それは、きっと正しい形です。“ふたりの家”は、町に開かれた扉でもあるんです」

 *

 その頃、ユルは「まあるい音の地図」を描きながら、
 町を案内する“こもれびツアー”を始めていた。

 「ここ、モルが落ちた場所。……でも笑ったから、いい思い出」

 「ぴ(落ちた言うな)」モル:「“おかえり穴”って名前にしたー!」

 子どもたちは、ユルの案内にくすくす笑いながらついて歩いた。



 ピノとモルは、ふたりの帰還を祝う**「おかえりセット」**を試作中。



【新作おかえりセット】(仮)
• ふんわりクッキー(マカロン風)
• 魔法冷菓ミニサイズ(各色)
• メッセージタグ「おかえり・またね・いつでもきてね」

→ モル:「シールも貼る! “ただいまクマ”!」



 「ぴぴ(それ…悪くない)」「モル、“帰り道の味”ってつけるー!」



 そして夜。

 レオは、自室の棚から小さな箱を取り出した。

 中には――シンプルな、でも品のあるリング。

 まだ渡さない。
 でも、“渡すと決めた未来”は、そこにある。

 「“ふたりの家”ができたら、次は……きっと」
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