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11章
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第127話『甘い予感をひとつ、扉のそばに』
*
「“ひよりの間”に何か置こうと思ってて……
やっぱりわたし、“お菓子”がいいなって」
リィナは設計室の机に、小さなフェルトと刺繍糸、
ほんのりミルク色のリボンを並べていた。
⸻
【リィナの手作り飾り】
・クッキー型のオーナメント(丸・ハート・星)
・ミニキャンディとマカロンのふわふわモチーフ
・タグには「ようこそ」「たのしみにしてるね」の刺繍
・ピノが監修した“おいしそう色”で統一
⸻
「この飾り、“食べられないのに、おなかがあったかくなる”のが目標です!」
ピノ:「ぴ(それは冷菓師としても目指す境地……!)」
⸻
完成した飾りは、ひよりの間の扉の内側にさりげなく吊るされた。
光が当たると、リボンの影がクッキーの形に揺れる。
⸻
その頃、ユルは子どもたちに配る「音の鍵チャーム」を完成させていた。
⸻
【音の鍵チャーム】
・小さな鈴がついた、木製の鍵型チャーム
・それぞれ“ひとつの言葉”が彫られている:「ようこそ」「あした」「ゆめ」など
・合言葉を持つ人だけが“やさしい空間”の地図を開ける仕様(ユルの遊び心)
⸻
「これを持ってると、町のどこかで“ただいま”が聞こえるよ」
「……ひよりの間にも、そのうち“音”が置かれるかもね」
⸻
一方、レオは「未来ノート」の端に、そっと短い詩を書いていた。
⸻
【未来の詩:名前のない日へ】
その扉の向こうに、まだ誰もいない。
だけど僕らは、すでに灯りをともしている。
名を呼ぶ声も、眠る気配もないのに、
この部屋には、なぜか“ただいま”が満ちている。
⸻
夜。
飾りの揺れる「ひよりの間」を見つめながら、リィナは言った。
「……この甘いモチーフ、
“迎える側も楽しくなる”ように作ったんです」
「ええ。
見ているだけで、あなたが“どんな気持ちで待ってるか”が伝わります」
⸻
その日の夜。
町の掲示板に、誰ともなく貼られた手紙があった。
⸻
【誰かの手紙:迎える会の呼びかけ】
“まだ見ぬ誰か”を迎えることは、
町の優しさを、もう一度思い出すことだと思う。
だから近いうちに、“おかえりの予行練習”をしませんか?
甘い飾りと、ただいまの声を持ち寄って。
場所は――まるい扉の家にて。
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「“ひよりの間”に何か置こうと思ってて……
やっぱりわたし、“お菓子”がいいなって」
リィナは設計室の机に、小さなフェルトと刺繍糸、
ほんのりミルク色のリボンを並べていた。
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【リィナの手作り飾り】
・クッキー型のオーナメント(丸・ハート・星)
・ミニキャンディとマカロンのふわふわモチーフ
・タグには「ようこそ」「たのしみにしてるね」の刺繍
・ピノが監修した“おいしそう色”で統一
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「この飾り、“食べられないのに、おなかがあったかくなる”のが目標です!」
ピノ:「ぴ(それは冷菓師としても目指す境地……!)」
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完成した飾りは、ひよりの間の扉の内側にさりげなく吊るされた。
光が当たると、リボンの影がクッキーの形に揺れる。
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その頃、ユルは子どもたちに配る「音の鍵チャーム」を完成させていた。
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【音の鍵チャーム】
・小さな鈴がついた、木製の鍵型チャーム
・それぞれ“ひとつの言葉”が彫られている:「ようこそ」「あした」「ゆめ」など
・合言葉を持つ人だけが“やさしい空間”の地図を開ける仕様(ユルの遊び心)
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「これを持ってると、町のどこかで“ただいま”が聞こえるよ」
「……ひよりの間にも、そのうち“音”が置かれるかもね」
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一方、レオは「未来ノート」の端に、そっと短い詩を書いていた。
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【未来の詩:名前のない日へ】
その扉の向こうに、まだ誰もいない。
だけど僕らは、すでに灯りをともしている。
名を呼ぶ声も、眠る気配もないのに、
この部屋には、なぜか“ただいま”が満ちている。
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夜。
飾りの揺れる「ひよりの間」を見つめながら、リィナは言った。
「……この甘いモチーフ、
“迎える側も楽しくなる”ように作ったんです」
「ええ。
見ているだけで、あなたが“どんな気持ちで待ってるか”が伝わります」
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その日の夜。
町の掲示板に、誰ともなく貼られた手紙があった。
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【誰かの手紙:迎える会の呼びかけ】
“まだ見ぬ誰か”を迎えることは、
町の優しさを、もう一度思い出すことだと思う。
だから近いうちに、“おかえりの予行練習”をしませんか?
甘い飾りと、ただいまの声を持ち寄って。
場所は――まるい扉の家にて。
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