『しろくま通りのピノ屋さん 〜転生モブは今日もお菓子を焼く〜』

miigumi

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12章

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第134話『夢で呼ばれた名前』

 夜、静かに眠るリィナは、不思議な夢を見ていた。

 そこは淡い光に満ちた場所で、風がやさしく頬をなでていく。
 どこか懐かしく、どこか温かい空間だった。



「……ママ」

 小さな声が、風の中から聞こえた。
 振り返ると、そこにいたのは、まだ幼い姿の子ども。

 金と琥珀の中間のような色をした目。
 そして、レオに似た笑顔で──



「ぼく、リュミエっていうの」

「リュミエ……?」

「“光”って意味なんだって。パパが教えてくれた」

 その名前を聞いたとき、リィナの胸にあたたかな何かが灯った。



 *

「リィナ、どうした?」

 翌朝、目を覚ましたリィナは、ベッドの中でぼんやりと夢の余韻に浸っていた。
 レオが心配そうに覗き込む。

「夢を見たの。名前を、教えてくれたの。……“リュミエ”って」

 レオは一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐに穏やかな笑みを浮かべた。

「それは、すてきだな。きっと、もう会いにきてくれてるんだ」



 *

 町では、小鬼の子たちとピノ、ユルが中心になって“子守り練習”を始めていた。

「赤ちゃんって、こうやって抱っこするんだって!」

 ピノが木で作られた小さな人形をだっこしながら得意気に教える。
 ユルも一緒に、慎重に毛布をかけていた。

「……あたたかいと、安心するって書いてあった」



「赤ちゃんのために、お歌も覚える!」

 と、小鬼の一人が無邪気に鼻歌を歌い始める。
 それは、かつてリィナが町に来たばかりの頃に歌っていた子守唄だった。



 その日、リィナはお腹をそっとなでながら、小さな胎動を感じた。

「……動いた」

 目が潤む。レオが傍に座り、その手をそっと重ねた。

「ありがとう。生まれてきてくれて……ありがとう」
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