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ログインすると、与えられた自室のベッドの上だった。
私は身体を起こし、さっそくメニューを開く。
そこには――
【マリリンからフレンド申請】
と表示されていた。
心臓が跳ねる。
私はすぐにタッチして承認した。
すると間髪入れずにメッセージが届く。
『ココ、やっほー!
早速だけどパーティ組まない? それと、私のギルド入らない?』
麻希……じゃなくて、マリリン。
ありがたい誘いだと思う。でも私は、もう少しここで頑張りたい。
『ごめん。私、ソロで頑張りたいんだ』
『オッケー!別に謝らなくていいよ。親友だからさ
一回だけ一緒にプレーしない?』
『うん。わかった
でも私、今いる場所から出られないんだよね』
『いいよ!位置情報見て行くから』
通知が鳴る。
【パーティ申請されました】
私は受け入れた。
……でも、一応カシエルさんに言っておかないと。
そう思って、私は一階へ降りた。
*
「おはようございます、カシエルさん」
「おはよう、ココ」
昨日と変わらず、優しい声が返ってくる。
「あの……今日、友達が来るんですけど」
「今日?」
カシエルさんは少しだけ目を細めた。
「……次からは早めに言え。一応、ウリエルにも伝えておく」
その言い方が、なんだか本当の家族みたいで。
胸が少しだけ温かくなる。
朝食を済ませ、マリリンが来るまで飛行訓練の続きをする。
昨日よりは安定して――飛べている、気がする。
……いや、まだ“浮いてるだけ”かもしれないけど。
その時。
「もしかして、ココ?」
声をかけられて振り向くと、そこにいたのは――
オレンジ色のツインテール。
ピンク色の瞳。
元気そうな、可愛い女の子だった。
「私、マリリン!」
「えっ……マリリン!?」
驚いた。
トッププレイヤーだから、もっと強そうな見た目を想像していたのに。
「そうだよ!てか、天界なら早く言ってよ!」
マリリンは肩をすくめる。
「なんかさ、“入っていい”って言われて半信半疑だったんだよね」
「……? 普通は入れないの?」
不思議で聞き返すと、マリリンは当然みたいに頷いた。
「もちろん。天界は許可がないと入れない領域なの。結界で覆われてるし」
そう言ってから、マリリンは首を傾げる。
「てか、ココはなんで出られないの?」
私は今までの経緯――未熟天使のこと、身元不明のこと、保護者が必要なことを話した。
「……不思議なこと、あるんだね」
マリリンは頬に手を添えて、考え込むように言う。
「ココ、見た目もスキルも……天界のルールに当てはまっちゃったんだね」
そして、少しだけ声を落とした。
「考察班には気をつけなよ」
「考察班……?」
「掲示板とかでさ。変な目をつけられると面倒だよ」
その言葉に、私は背筋が少しだけ伸びた。
でもマリリンはすぐに笑う。
「ま、今日は楽しもうね。ココ」
そう言われたら、もう楽しい一日の始まりだ。
「うん。マリリンと一緒に楽しむ!」
そして、私は思い出す。
「あっ!カシエルさんに紹介しなくちゃ」
私はマリリンを家まで案内した。
*
家に入ると、カシエルさんがこちらを見た。
「マリリン。こちらが保護者のカシエルさんです」
「どうも」
カシエルさんは短く会釈する。
「初めまして、マリリンです。ココの親友なんです!」
その言葉に、カシエルさんが少し驚いた表情をした。
「カシエルさん、どうしたんですか?」
「……いや」
カシエルさんは一瞬だけ目を伏せて、静かに言った。
「親はいないが、友達はいたんだなと思っただけだ」
それからマリリンに視線を向ける。
「マリリン。今までありがとうな。未熟天使を守ってくれて」
――そういえば、私は身元不明だったんだ。
「いえ。親友なので」
マリリンは照れもなく言い切る。
私は、その言葉が嬉しくてたまらなかった。
カシエルさんが言う。
「事情は、他の天使たちにも俺から説明しておいた。遊んでこい」
「はい!」
そうして私たちは手を繋ぎ、外へ向かった。
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