Let's鬼退治!

岡智 みみか

文字の大きさ
53 / 71
第13章

第3話

しおりを挟む
 この新学年、新学期の憂鬱はどこから来ているのか。

それははっきりとしていた。

細木だ。

「じゃ、ホームルーム終わりねー」

 それまでの青すぎるクソダサジャージから一新され、また違ったタイプのダサ過ぎるジャージに変わっていた。

今まではずっとおどおどした変なしゃべり方をしていたくせに、人が変わったようにあたしにも平気で話しかけてくる。

「……花田。膝を立てるな、見えてるぞ」

「なにがだよ」

 目を合わせたまま、細木はグッと黙った。

「あたしはいつも、こうやって座ってんの」

「お前は俺のパンツが見たいか」

「んなワケねぇだろ。キモいわ」

「……。だったらお前も俺に見せんな」

 教室を出て行く。

そんな時、いつもなら女の子たちからの「やっぱ見てんじゃん!」とか「テメーが一番キモいわ」とかの罵詈雑言が、細木の背中にこれでもかと浴びせられていたのに、今じゃなんの反応もない。

それでも最初の頃は、あたしをイジられ役と勘違いしていた転入組が笑っていたけど、もうそんなこともなくなってしまった。

あたしは肩越しに小さくなっている転入組に視線を向ける。

「お前らもなんとか言えば」

「もも。ムカつくのは分かるけど、そんな威嚇してやるなよ」

 いっちーが隣でつぶやいた。

さーちゃんはため息をつく。

「私も髪伸ばそっかなー」

「なんで?」

 そんな言葉が彼女の口から出てくるなんて、思いもしなかった。

あたしは本気でびっくりしている。

「別に。みんなに触られるのがウザいし、飽きてきただけ」

「伸ばすの大変そうだね」

 キジがさーちゃんの頭を撫でた。

「ほら、触りおさめだよ」

 いっちーの手もさーちゃんの頭に乗る。

これで触りおさめだなんて、そんなの触りたくもない。

「トイレ行ってくる」

 廊下に出たら、偶然金太郎の背中が見えた。

腰にぶら下げた刀は相変わらずで、女子に取り囲まれている。

転入組の中で一番人気は、人当たりよく物腰も柔らかな金太郎らしい。

「あ、ももちゃんだ」

 そんな金太郎が、あたしに気づいた。

「こんなところで会えるなんて、今日はついてるかも」

 そんなウソ臭いセリフに、騙されるようなあたしじゃないし。

「そりゃどーも。あたしは招き猫かなんかなの?」

 そんなちょっとしたイヤミのつもりも、にこっと笑って受け流す。

「ももちゃんは、学校ではこん棒つけてないんだね」

「今まで学校で出たことはないからね」

 こん棒はいっちーのとまとめて、ロッカーの上に置いてある。

「ねぇ、今日の放課後、何か予定ある?」

「別にないけど」

 あたしはトイレに行くのだ。

「そっか。ちょっと話しがしたいなって……」

「ゴメン、もうトイレ行っとかないと」

 女子トイレがこんなに便利なものだなんて、知らなかったな。

同じクラスの転入女子と目があって、なぜだかペコリと頭を下げられたのに、またムッとする。

あたしはどういう扱いなわけ?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について

おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。 なんと、彼女は学園のマドンナだった……! こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。 彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。 そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。 そして助けられた少女もまた……。 二人の青春、そして成長物語をご覧ください。 ※中盤から甘々にご注意を。 ※性描写ありは保険です。 他サイトにも掲載しております。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

処理中です...