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第14章
第1話
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翌朝の俺は、勢いよく電車に飛び乗った。
奥川に会うかと思ったけど、今日は一緒にならない。
早く奥川か山崎の顔が見たかった。
夜には携帯に何か連絡でも入るかと、ずっと待っていたけど何もない。
学校に着いても、二人の様子はいつもと変わることはなかった。
こんなことを気に掛けているのも、俺だけか。
そう思うと、少しは気が軽くなる。
「おはよー」
俺は努めて冷静を装い、部活の話題を出さないまま、クラスで山崎に接する。
それは理科室に行ってもかわらなかった。
1年は顔を出してもすぐに出て行ったし、鹿島自身も、特に変わった様子を見せてはいなかった。
俺は静かになったこの場所で、満足していた。
本当にあきらめたのかな?
俺はそのまま、無関心を装っていた。
そんなこんなで時間の過ぎるうち、俺の知らないところで、作戦は密かに実行されていたらしい。
ニューロボコンの参加に必要なマシンアイデアや基本設計、競技戦略を記載した用紙が、いつの間にか大会本部に提出されていた。
あいつら、どこでそんなことやってたんだ。
図書室か。
「はーい、こっち向いて下さーい」
そのおかげで、生徒会本部役員どころか、地元の新聞社とテレビ局までもが取材に来ている。
にっこりと笑ってカメラに収まるのは、もちろん1年生軍団と、なぜかそこに奥川も含まれていた。
外された山崎は、むせび泣いている。
「ねぇ、なんで俺は呼ばれなかったんだと思う? ねぇ、なんで?」
よい学校宣伝になるからと、よく分かってもいない学校事務員が、普段は息もしていない顧問と、校長まで呼んで、日常とは全く異なる異質な風景をカメラに収めていく。
「部長の俺だって、取材の集合時間を知らされてなかったんだ。お前なんて、外されて当然だろ」
だから言ったじゃないか。
あいつらは俺たちのことを、本当の仲間だと認めることはないって。
「一言くらい、連絡があってもよくない?」
「うるせー」
山崎が泣いている。
これでコイツにも、ようやく分かっただろ。
あいつらは決して、味方でもなければ、仲間でもないって。
奥川に会うかと思ったけど、今日は一緒にならない。
早く奥川か山崎の顔が見たかった。
夜には携帯に何か連絡でも入るかと、ずっと待っていたけど何もない。
学校に着いても、二人の様子はいつもと変わることはなかった。
こんなことを気に掛けているのも、俺だけか。
そう思うと、少しは気が軽くなる。
「おはよー」
俺は努めて冷静を装い、部活の話題を出さないまま、クラスで山崎に接する。
それは理科室に行ってもかわらなかった。
1年は顔を出してもすぐに出て行ったし、鹿島自身も、特に変わった様子を見せてはいなかった。
俺は静かになったこの場所で、満足していた。
本当にあきらめたのかな?
俺はそのまま、無関心を装っていた。
そんなこんなで時間の過ぎるうち、俺の知らないところで、作戦は密かに実行されていたらしい。
ニューロボコンの参加に必要なマシンアイデアや基本設計、競技戦略を記載した用紙が、いつの間にか大会本部に提出されていた。
あいつら、どこでそんなことやってたんだ。
図書室か。
「はーい、こっち向いて下さーい」
そのおかげで、生徒会本部役員どころか、地元の新聞社とテレビ局までもが取材に来ている。
にっこりと笑ってカメラに収まるのは、もちろん1年生軍団と、なぜかそこに奥川も含まれていた。
外された山崎は、むせび泣いている。
「ねぇ、なんで俺は呼ばれなかったんだと思う? ねぇ、なんで?」
よい学校宣伝になるからと、よく分かってもいない学校事務員が、普段は息もしていない顧問と、校長まで呼んで、日常とは全く異なる異質な風景をカメラに収めていく。
「部長の俺だって、取材の集合時間を知らされてなかったんだ。お前なんて、外されて当然だろ」
だから言ったじゃないか。
あいつらは俺たちのことを、本当の仲間だと認めることはないって。
「一言くらい、連絡があってもよくない?」
「うるせー」
山崎が泣いている。
これでコイツにも、ようやく分かっただろ。
あいつらは決して、味方でもなければ、仲間でもないって。
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