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迷途
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御園生が所有する総合スポーツセンターの弓道場に、その日、義勝と貴之が訪れた。
紫霄学院内では武道の進級試験が行われない。ずっと中にいた義勝は外に出られるようになってから、夏休みを中心に順当に段位を得て来た。アメリカから帰国してから、練士の称号を許されている貴之の指導でさらに上を目指している最中だった。
弓道は五段以上になれば『練士』という称号を得る試験がある。本来ならば義勝にはそれくらいの実力があった。弓道の昇級試験は五段までは、5ヶ月以上の期間を開けなければならない。六段以上は一年の期間を開ける必要がある。
このスポーツセンターには元は弓道場はなかった。武が弓道をやる義勝や貴之、周などの為に造らせたのだ。弓道場には近的と呼ばれる28mの距離の的と、遠的と呼ばれる60mの的がある。ここには双方が設置されており、二人は遠的の方へ足を向けた。
先客がいた。周だった。一番奥で一人、ちょうど引き分け(弓を引いている状態)に入ったところだった。
「あれではダメだ…」
貴之が呟いた。その言葉通り、放たれた矢は的から大きく外れた。
「身体が開き過ぎてる…」
貴之と義勝が知る限り、周は弓引きとしてはかなりの才能を持っている。だが的を見るとかなりの数の矢が、外れた場所に刺さっているのが見えた。弓を手にしたまま唇を噛み締めるように俯く。
何か声を掛けようと貴之が踏み出した瞬間、周が気付いて顔を上げた。スッと目を細めた周は、小さく首を振って溜息を吐いた。そのまま何も語らずに、二人の横を通って立ち去った。
酷く落ち込んだ様子の彼に、貴之も義勝も声を掛けられなくなった。
「君との付き合いはやめる」
紫霄から御園生の病院に引き抜いた看護師が、セフレで良いからと誘って来たのは3ヶ月前だった。誰かに心が動かないか。そんな淡い期待もあって食事に行ったり、こうやって肌を重ねたりして来た。
だが心は動かない。せめて貴之と付き合っていた時くらいには動いて欲しい。そう願ったのだが…快楽は快楽と、冷たく相手を見つめている自分自身にうんざりした。そして…とうとう数日前、彼と食事をしている店で、ちょうど接待が終わって出て来た両親と鉢合わせした。父 周哉は知らない顔をしていたが、母 浅子は自分と彼を交互に見て憤怒の表情を浮かべた。
終わった……そう思った。
案の定、次の日に電話がかかって来た。午前中の外来が終わったところだった。口穢く電話口で罵る彼女に、周は全身にドッと疲れを感じただけでなく、何か巨大なものが自分を圧し潰そうとしているような気分になってしまった。
家を出て何年も皇国を離れていたというのに、浅子のそういった態度はまるで呪詛のように、周を追い掛け追い詰めて窒息させそうになる。
異性とも付き合ってみたが、同性以上に心が動かないだけでなく、冷たく重くなってしまうのを感じた。
誰かを好きになる時間も与えてはくれない。セフレでも肌を重ねていれば情は動いて来るものだ。その時に本気になれれば…とさえ思っていた。
いつまでも恋人をつくらない周を、清方が心底心配してくれている。周が一人で居続けていれば武が苦しんで傷付く。だからこそ彼の誘いにのったのだ。相性が良いのか、ベッド以外での付き合いもそれなりに重ねた。動かない心がいつか動く事を願って。
それなのに……
浅子の干渉を放置すれば、相手にも病院にも迷惑がかかる。電話の向こうの彼女は今にも乗り込んで来そうな勢いだった。
浅子は彼女の意に染まる女性と結婚して、久我家を周が継がなければ満足しない。夫婦関係が険悪な両親を持つ自分になど嫁いで来たら、それこそその女性が不憫というものだ。浅子の不満や企みをどうこうする道具じゃない。幾ら反発しても拒否しても、彼女は病的なまでに執拗だった。紫霞宮家の侍医である事実すら、彼女は気に入らないのだから。
唯一の救いだったのは、異母妹 由衣子があれ以来姿を見せなくなった事くらいだ。いつになればこの呪縛から逃れて、想う相手と出逢えるのだろうか。
否……
どんなに想える相手に巡り会っても、浅子の呪縛からは解放される事などないのかもしれない。絶望で胸が一杯になる。苦しさから逃れる術にならないか。
そう考えて弓を引きに来たのに、千々に乱れる心は矢を乱れ飛ばせた。幾ら射ても的をかすりもしない。まるで周の恋愛のようだ。周の心を的中させてくれる誰かは、この世には存在していないのかもしれない。あの母親がいる限り、想い想われる人生は自分には、決して与えられないのかもしれない。
浅子の暴挙を清方は知っている。当然、雫も知っているだろう。けれどそれを武と夕麿には話せない。これ以上、彼女に二人を関わらせたくない。近頃は穏やかで幸せそうにしている二人に、自分の家絡みで辛い想いや不快感を与えたくないのだ。
今回が初めてではない。ずっと繰り返されて来た事だ。まるで自らを縛る呪文のように周はそう心で繰り返した。
気を取り直してエンジンをかけ、スポーツセンターの駐車場から出た。行き着けの大型書店に寄って、鬱憤を晴らすかのように本を買い漁る。カードで支払いを済ませ、御園生邸への配達を依頼した。車を御園生系列のレストランに止め、文月に電話をかけた。今日はこのまま呑みに行くからと告げて、車を取りに来てもらう手配する。鍵はレストランに預けた。
軽食を摂って時間を潰し、夜の街へと踏み出した。向かうのは一軒のラウンジバー。少し寂れた商店街の中ほどにあるそこは、知る人ぞ知る同性愛者の溜まり場だ。周にここを教えたのは、付き合った頃の貴之だった。当時、高校生だった貴之が、何故こんな場所を知っているのか。
「情報収集には良い場所なんです」
上手く誘いをかわしてこの店で交わされる会話を聴く。金払いの良い、けれど誰にもなびかない未成年者。貴之はこの店では有名人だった。ただ彼が敦紀という恋人を得てから、この店で会った事はない。男の味を覚えた彼にはここはもう、ある意味で危険な場所かもしれなかった。
逆に周は帰国してからここへ足を向ける事が多々あった。ここには浅子も近付けない。一夜限りの相手を探すには便利だった。歩いて数分の場所に客が利用するホテルもある。
貴之とは別の意味で周は有名人になっていた。どんな相手とも寝るのは一度限り。ホテルにはどんなに遅い時間になっても絶対に泊まる事はしない。『アマネ』という名前以外は年齢も職業も不明。ただ彼が時々、消毒薬の匂いをまとわせている事から、医療関係者らしいとは噂されていた。医師だと言う者もいるのを知っていた。夜の相手となった者は店の支払いから外での食事、ホテルの代金から帰りのタクシー代まで、周に全部支払ってもらえるからだ。
服装や身に付けているアイテムから見ても、周が裕福な人間であるのは誰にでもわかる。だから周が店に来た日は、誘われるのを待ち望む者でいつの間にかいっぱいになる。彼に誘われなかった者を漁る為の客も集まる。店側には周は歓迎すべき客でサービスも良かった。
今夜は外れた。店に10分ほどいて周はそう思った。場所を変えて純粋に酒を呑む事にした方が良い。先程からまとわり付いて来ているのはどう見ても未成年者だ。店側も気付いていて酒は出していない様子だ。それが不満らしく仕切りに周にどこかへ呑み直しに行こうと誘う。
粋がってる子供に手を出しては、後々が面倒な事になりかねない。それに周の好みからは余りにも外れている。周が相手をしていないのに気付いて、店側が少年を追い払おうとしている。しかし彼はそれに従わない。
「僕は君と遊ぶ気はない」
冷たく言うと少年はカウンターに座っている周の耳元にこう囁いた。
「若いのと遊ぶ体力ないわけ?」
低俗な思考にうんざりして深々と溜息を吐いた。
「支払いを」
カウンターの中のバーテンダーに声をかけた。
「逃げんのかよ?」
「好きなように言ってろ。自分の立場を弁えられない子供は嫌いだ」
スツールから立ち上がった周が、印象より長身だったらしく、少年はわずかに怯んで後退りした。だがすぐに気を取り直して、カードで支払いをする周に向かって叫んだ。
「この野郎!バカにしやがって!」
カウンターに飾りとして置いてあった花瓶を掴んだ。活けてあった花と水をぶちまけて、かなりの大きさの花瓶を周に向けて振り上げる。直撃すればただでは済まない。それなのに周は動かない。心の片隅を「死ねば浅子の呪縛から逃れられる」そんな考えが過ぎった。
「周先輩!」
背後で声がした次の瞬間、少年が振り上げていた花瓶が粉砕された。突然、目の前に現れた者が蹴り砕いたのだ。
「久留島…」
周を庇うように立ったのは成実だった。ここは成実にも行き着けの店だった。二人が今まであわなかったのが不思議なくらいだった。
少年は茫然自失状態で立っていた。見たところ怪我らしい怪我は見当たらない。
「大丈夫ですか?」
「ああ、何ともない」
周の状態を確認してから、成実は少年を後ろ手にしてカウンターに押し付けた。そのまま片手で所轄に電話する。会話の内容から自分を取り押さえているのが、警察官だと悟り少年は慌ててもがいた。だが関節を的確に押さえている為、幾らもがいてもその姿勢は変わらない。
「感謝するよ、久留島」
もう少しでバカな考えを実行するところだった。こんな場所で何かあったらまた武を傷付ける事になる。周が何故、この店にいたのか。この店がどのような場所か。きっと知れてしまうだろう。
周は財布から現金を出して、バーテンダーに花瓶の代金と店への迷惑料だと告げて渡した。もうこの店には来れないだろう。
駆け付けた所轄に少年を渡し、簡単な事情聴取を受けて解放された。執拗に食い下がられなかったのは、成実が雫に連絡を入れてくれたからだ。
「お前まで店に行けなくなったな」
「構いませんよ」
警察官だと知れてしまっては店側も客も身構える。
「どうだ?食事しながら軽く呑まないか?」
「良いですね」
独り身同士でどちらも抱く側。 気楽なひと時に周のざわついた心は、少しは落ち着きを取り戻した。
それでも孤独感は拭い去る事は出来なかった。誰かと肌を重ねても結局、心は満たされはしない。一夜限りの相手は選んで来たつもりだが、噂を聞いて昨夜のような者が現れる。今回は偶然に成実が現れたから、傷一つ負わずに済んだ。続けていれはそのうちに、取り返しのつかない事態に遭遇するかもしれない。快楽だけを求めても虚しいとわかっているのに。それでも置き場のない孤独感が、誰かと肌を重ねている時だけ忘れていられた。
もうやめよう。忘れていられる時間は僅かで後には更なる孤独が募る。もしかしたら…この心を埋めてくれる誰かに出逢えるかもしれない。淡くほのかな望みすら、儚く脆く消えてしまった。
やめてしまおう。このまま孤独を抱き締めていればきっと、独りだという事実にも慣れて行ける筈だ。医師としての道に精進しよう。
傍らに居てくれる誰かがいなくても人生の目標はあるのだから。自分にとっての幸せは、医師としての道を歩き続ける事だ。
自室の窓際で月を見上げて周は孤独を呑み干すかのように、手にしたグラスの中のブランデーを飲み干した。
喉から流れ落ちるアルコールの灼けるような熱さが、周の孤独のようだった。
「久留島君、昨夜は手間をかけました」
「いえ、清方先生。俺も周先輩の事が心配でしたから、間に合って良かったです」
貴之から弓道場での周の様子を聞いて、清方は特務室に残っていた成実に頼んだのだ。貴之がもしかしたら…と口にした店の名前を成実が知っていたからだった。
「それにしても…何があったんだ、周に」
事情がよくわからない雫が、二人の所へ歩いて来て口を開いた。清方はスッと目を伏せて沈んだ声で答えた。
「浅子が原因でしょう。由衣子が周に説得されてしまったので、彼女が直接動いたのだと思います」
「久我 浅子…周の母親か…」
浅子がそのような行動をとる原因は過去の自分にある。 が彼女に苦しめられる度に、清方はいたたまれない気持ちになってしまう。 自分さえ…あんな事をしなければ。 もう少し浅子と周の親子関係は良かったのではないだろうか。考えても仕方がない『IF』が、振り払っても振り払っても清方を責める。
「自分を責めるな」
雫の言葉に清方は首を激しく振った。
「既に時効とはいえ私が周に行ったのは立派な犯罪行為です」
被害者である周本人が許しても、清方は自分を許す事が出来ずにいた。かつて夕麿に自分自身を許すように言った時とはあきらかに違う状況だった。
夕麿のそれは罪もないのに、罪があるかのように思い込まされたもの。本来、夕麿本人には何の罪科もなかった。
しかし清方の行為は表向きにこそならなかったが、間違いなく犯罪行為だった。
「清方…」
雫がどんなに言葉を紡いでも、周が責めなくても…清方は自分の罪を悔いていた。浅子の異様な執着は、決して清方の行為だけが原因ではない。
第一、自分の子供の同性愛に、異常な言動を親が取るのは珍しい事ではない。清方の行為がなくても周が同性愛者になれば、久我家を継ぐ事は難しくなる。夫との不仲が続きほぼ別居状態の浅子には、一人息子の周だけが自分と久我家を繋ぐものだった。だからこそ浅子は周に執着し、自分の意のままにしようと策を巡らすのだ。清方の行為があってもなくても、浅子は周を苦しめ続ける事実は変わらなかっただろう。
周が同性との関係を繰り返す原因は清方にある。確かに浅子はそう思って清方を恨んではいた。しかし周が異性よりも同性に惹かれやすい一番の理由は、浅子自身にもあるのだとは思わないのだ。
「周は…もう、私にも頼ってくれません。でも、彼はそこまで強くはないのです」
何もかもを一人で呑み込んで、もっと自分が辛くなるだろう方向を選択する。
「紫霄にでももっと出入り出来れば、違う展開があるかもしれないがなあ…」
だが紫霄は武の側の人間である周を、確かな理由もなく校医にしたりしないだろう。
「今の周は余りにも行動範囲が狭い」
限られた人間関係では恋愛もままならないものだ。
「浅子の執着を振り切っても…と想える相手に巡り逢えるかどうかだと思っています」
周だけを見て一途に想う相手。異性同性を問わず今度こそ周が本気で、なり振り構わず愛せる相手が現れて欲しい。周が幸せにならなければ自分の本当の幸せはない。周が人生を共に歩く誰かを見付け出したら、自分の罪科も許されるのではないか。清方はそんな風に考えていた。
雫は周も不憫だとは思うがそれ以上に、自分の過ちへの罪悪感からいつまでも解放されない清方が、痛々しくて可哀想に思う。彼の行為の原因をつくったのが、子供だった自分の短慮だった。
だがそれだけではない。もとより何の罪もないのに、紫霄に閉じ込められるという現実自体があの学院と都市全てにいる人間の心を蝕んでいたのだとわかる。
閉じ込められる者、卒業して出て行ける者。その違いを超えて個々が心に傷を負う、絶望と孤独…… どれだけの者が涙を流し傷を抱いて生き続けて来たのだろうか。耐えられなかった者は自らの生命を断った者、誰かを傷付けずにはいられなかった者、狂気へと逃げ出した者……… 紫霄の生徒会にいた者ならば誰しもがその現実を見て来た。それは時代を遡れば遡る程、悲惨さを増している。故意に寿命を縮められた、旧特別室の宮たち。特に二人目は毒殺されたという。だがそれは多分、他の生徒たちにも行われた事だった筈。一体、どれだけの罪なき生命が絶たれたのだろうか。
清方と自分の間の様々な事は、紫霄の中の悲劇の縮図に過ぎない。雫はそう思っていた。だからこそ、武が紫霄を閉じ込められる者など存在しない、当たり前の普通の学校にしたいという想いに心から賛同するのである。
今まで誰も紫霄が異常だと言わなかった。ここはそういう場所なのだと諦めていた。卒業してから10数年。あの環境から離れて社会人になり様々な人々と関わった。
それなのに雫は武の言葉に衝撃を受けたのだ。
『その為に創られた場所であるのだから、全ては仕方がない事』
『蓬莱皇国と皇家・貴族の体面を保つ為には必要なもの』
そう教えられ信じていたからこそ、雫は学院都市に戻る方法ばかりを探し続けた。
180°真逆の考え方。だがそれこそがまがう事なき真実を告げていた。自分たちが正しいと信じていたものは道を迷わせる為のものだった。人としての最低限の権利さえ奪ってしまう事実を自覚させない為の教育がされていた。
法律を学び、警察官として法の番人が仕事として来た。それでも紫霄は例外だと考えていた。自分の考え方の異様さに気が付かなかったのだ。
武が指摘するきっかけは、慈園院 保の2歳下の弟、司と彼の従者 星合 清治の心中だったという。彼らもまた紫霄の異常さの犠牲者。
見渡せば周囲には閉じ込められていた者や閉じ込められる筈だった者ばかりがいる。彼らは全て武が助け出した者だ。こうして清方の苦悩を見ると、武の努力に全力で協力したくなる。紫霄の問題は自分たちの問題。そして問題解決には紫霞宮としての武は絶対に必要不可欠だ。そこに武の決意と想い苦悩と悲哀がある。
「信じていよう、清方。いつかきっと、周にも大切な相手が現れると」
再会が絶望的だった自分たちだって、10数年という長い時間がかかったけれど逢えた。
雫はそっと清方を抱き締めた。
紫霄学院内では武道の進級試験が行われない。ずっと中にいた義勝は外に出られるようになってから、夏休みを中心に順当に段位を得て来た。アメリカから帰国してから、練士の称号を許されている貴之の指導でさらに上を目指している最中だった。
弓道は五段以上になれば『練士』という称号を得る試験がある。本来ならば義勝にはそれくらいの実力があった。弓道の昇級試験は五段までは、5ヶ月以上の期間を開けなければならない。六段以上は一年の期間を開ける必要がある。
このスポーツセンターには元は弓道場はなかった。武が弓道をやる義勝や貴之、周などの為に造らせたのだ。弓道場には近的と呼ばれる28mの距離の的と、遠的と呼ばれる60mの的がある。ここには双方が設置されており、二人は遠的の方へ足を向けた。
先客がいた。周だった。一番奥で一人、ちょうど引き分け(弓を引いている状態)に入ったところだった。
「あれではダメだ…」
貴之が呟いた。その言葉通り、放たれた矢は的から大きく外れた。
「身体が開き過ぎてる…」
貴之と義勝が知る限り、周は弓引きとしてはかなりの才能を持っている。だが的を見るとかなりの数の矢が、外れた場所に刺さっているのが見えた。弓を手にしたまま唇を噛み締めるように俯く。
何か声を掛けようと貴之が踏み出した瞬間、周が気付いて顔を上げた。スッと目を細めた周は、小さく首を振って溜息を吐いた。そのまま何も語らずに、二人の横を通って立ち去った。
酷く落ち込んだ様子の彼に、貴之も義勝も声を掛けられなくなった。
「君との付き合いはやめる」
紫霄から御園生の病院に引き抜いた看護師が、セフレで良いからと誘って来たのは3ヶ月前だった。誰かに心が動かないか。そんな淡い期待もあって食事に行ったり、こうやって肌を重ねたりして来た。
だが心は動かない。せめて貴之と付き合っていた時くらいには動いて欲しい。そう願ったのだが…快楽は快楽と、冷たく相手を見つめている自分自身にうんざりした。そして…とうとう数日前、彼と食事をしている店で、ちょうど接待が終わって出て来た両親と鉢合わせした。父 周哉は知らない顔をしていたが、母 浅子は自分と彼を交互に見て憤怒の表情を浮かべた。
終わった……そう思った。
案の定、次の日に電話がかかって来た。午前中の外来が終わったところだった。口穢く電話口で罵る彼女に、周は全身にドッと疲れを感じただけでなく、何か巨大なものが自分を圧し潰そうとしているような気分になってしまった。
家を出て何年も皇国を離れていたというのに、浅子のそういった態度はまるで呪詛のように、周を追い掛け追い詰めて窒息させそうになる。
異性とも付き合ってみたが、同性以上に心が動かないだけでなく、冷たく重くなってしまうのを感じた。
誰かを好きになる時間も与えてはくれない。セフレでも肌を重ねていれば情は動いて来るものだ。その時に本気になれれば…とさえ思っていた。
いつまでも恋人をつくらない周を、清方が心底心配してくれている。周が一人で居続けていれば武が苦しんで傷付く。だからこそ彼の誘いにのったのだ。相性が良いのか、ベッド以外での付き合いもそれなりに重ねた。動かない心がいつか動く事を願って。
それなのに……
浅子の干渉を放置すれば、相手にも病院にも迷惑がかかる。電話の向こうの彼女は今にも乗り込んで来そうな勢いだった。
浅子は彼女の意に染まる女性と結婚して、久我家を周が継がなければ満足しない。夫婦関係が険悪な両親を持つ自分になど嫁いで来たら、それこそその女性が不憫というものだ。浅子の不満や企みをどうこうする道具じゃない。幾ら反発しても拒否しても、彼女は病的なまでに執拗だった。紫霞宮家の侍医である事実すら、彼女は気に入らないのだから。
唯一の救いだったのは、異母妹 由衣子があれ以来姿を見せなくなった事くらいだ。いつになればこの呪縛から逃れて、想う相手と出逢えるのだろうか。
否……
どんなに想える相手に巡り会っても、浅子の呪縛からは解放される事などないのかもしれない。絶望で胸が一杯になる。苦しさから逃れる術にならないか。
そう考えて弓を引きに来たのに、千々に乱れる心は矢を乱れ飛ばせた。幾ら射ても的をかすりもしない。まるで周の恋愛のようだ。周の心を的中させてくれる誰かは、この世には存在していないのかもしれない。あの母親がいる限り、想い想われる人生は自分には、決して与えられないのかもしれない。
浅子の暴挙を清方は知っている。当然、雫も知っているだろう。けれどそれを武と夕麿には話せない。これ以上、彼女に二人を関わらせたくない。近頃は穏やかで幸せそうにしている二人に、自分の家絡みで辛い想いや不快感を与えたくないのだ。
今回が初めてではない。ずっと繰り返されて来た事だ。まるで自らを縛る呪文のように周はそう心で繰り返した。
気を取り直してエンジンをかけ、スポーツセンターの駐車場から出た。行き着けの大型書店に寄って、鬱憤を晴らすかのように本を買い漁る。カードで支払いを済ませ、御園生邸への配達を依頼した。車を御園生系列のレストランに止め、文月に電話をかけた。今日はこのまま呑みに行くからと告げて、車を取りに来てもらう手配する。鍵はレストランに預けた。
軽食を摂って時間を潰し、夜の街へと踏み出した。向かうのは一軒のラウンジバー。少し寂れた商店街の中ほどにあるそこは、知る人ぞ知る同性愛者の溜まり場だ。周にここを教えたのは、付き合った頃の貴之だった。当時、高校生だった貴之が、何故こんな場所を知っているのか。
「情報収集には良い場所なんです」
上手く誘いをかわしてこの店で交わされる会話を聴く。金払いの良い、けれど誰にもなびかない未成年者。貴之はこの店では有名人だった。ただ彼が敦紀という恋人を得てから、この店で会った事はない。男の味を覚えた彼にはここはもう、ある意味で危険な場所かもしれなかった。
逆に周は帰国してからここへ足を向ける事が多々あった。ここには浅子も近付けない。一夜限りの相手を探すには便利だった。歩いて数分の場所に客が利用するホテルもある。
貴之とは別の意味で周は有名人になっていた。どんな相手とも寝るのは一度限り。ホテルにはどんなに遅い時間になっても絶対に泊まる事はしない。『アマネ』という名前以外は年齢も職業も不明。ただ彼が時々、消毒薬の匂いをまとわせている事から、医療関係者らしいとは噂されていた。医師だと言う者もいるのを知っていた。夜の相手となった者は店の支払いから外での食事、ホテルの代金から帰りのタクシー代まで、周に全部支払ってもらえるからだ。
服装や身に付けているアイテムから見ても、周が裕福な人間であるのは誰にでもわかる。だから周が店に来た日は、誘われるのを待ち望む者でいつの間にかいっぱいになる。彼に誘われなかった者を漁る為の客も集まる。店側には周は歓迎すべき客でサービスも良かった。
今夜は外れた。店に10分ほどいて周はそう思った。場所を変えて純粋に酒を呑む事にした方が良い。先程からまとわり付いて来ているのはどう見ても未成年者だ。店側も気付いていて酒は出していない様子だ。それが不満らしく仕切りに周にどこかへ呑み直しに行こうと誘う。
粋がってる子供に手を出しては、後々が面倒な事になりかねない。それに周の好みからは余りにも外れている。周が相手をしていないのに気付いて、店側が少年を追い払おうとしている。しかし彼はそれに従わない。
「僕は君と遊ぶ気はない」
冷たく言うと少年はカウンターに座っている周の耳元にこう囁いた。
「若いのと遊ぶ体力ないわけ?」
低俗な思考にうんざりして深々と溜息を吐いた。
「支払いを」
カウンターの中のバーテンダーに声をかけた。
「逃げんのかよ?」
「好きなように言ってろ。自分の立場を弁えられない子供は嫌いだ」
スツールから立ち上がった周が、印象より長身だったらしく、少年はわずかに怯んで後退りした。だがすぐに気を取り直して、カードで支払いをする周に向かって叫んだ。
「この野郎!バカにしやがって!」
カウンターに飾りとして置いてあった花瓶を掴んだ。活けてあった花と水をぶちまけて、かなりの大きさの花瓶を周に向けて振り上げる。直撃すればただでは済まない。それなのに周は動かない。心の片隅を「死ねば浅子の呪縛から逃れられる」そんな考えが過ぎった。
「周先輩!」
背後で声がした次の瞬間、少年が振り上げていた花瓶が粉砕された。突然、目の前に現れた者が蹴り砕いたのだ。
「久留島…」
周を庇うように立ったのは成実だった。ここは成実にも行き着けの店だった。二人が今まであわなかったのが不思議なくらいだった。
少年は茫然自失状態で立っていた。見たところ怪我らしい怪我は見当たらない。
「大丈夫ですか?」
「ああ、何ともない」
周の状態を確認してから、成実は少年を後ろ手にしてカウンターに押し付けた。そのまま片手で所轄に電話する。会話の内容から自分を取り押さえているのが、警察官だと悟り少年は慌ててもがいた。だが関節を的確に押さえている為、幾らもがいてもその姿勢は変わらない。
「感謝するよ、久留島」
もう少しでバカな考えを実行するところだった。こんな場所で何かあったらまた武を傷付ける事になる。周が何故、この店にいたのか。この店がどのような場所か。きっと知れてしまうだろう。
周は財布から現金を出して、バーテンダーに花瓶の代金と店への迷惑料だと告げて渡した。もうこの店には来れないだろう。
駆け付けた所轄に少年を渡し、簡単な事情聴取を受けて解放された。執拗に食い下がられなかったのは、成実が雫に連絡を入れてくれたからだ。
「お前まで店に行けなくなったな」
「構いませんよ」
警察官だと知れてしまっては店側も客も身構える。
「どうだ?食事しながら軽く呑まないか?」
「良いですね」
独り身同士でどちらも抱く側。 気楽なひと時に周のざわついた心は、少しは落ち着きを取り戻した。
それでも孤独感は拭い去る事は出来なかった。誰かと肌を重ねても結局、心は満たされはしない。一夜限りの相手は選んで来たつもりだが、噂を聞いて昨夜のような者が現れる。今回は偶然に成実が現れたから、傷一つ負わずに済んだ。続けていれはそのうちに、取り返しのつかない事態に遭遇するかもしれない。快楽だけを求めても虚しいとわかっているのに。それでも置き場のない孤独感が、誰かと肌を重ねている時だけ忘れていられた。
もうやめよう。忘れていられる時間は僅かで後には更なる孤独が募る。もしかしたら…この心を埋めてくれる誰かに出逢えるかもしれない。淡くほのかな望みすら、儚く脆く消えてしまった。
やめてしまおう。このまま孤独を抱き締めていればきっと、独りだという事実にも慣れて行ける筈だ。医師としての道に精進しよう。
傍らに居てくれる誰かがいなくても人生の目標はあるのだから。自分にとっての幸せは、医師としての道を歩き続ける事だ。
自室の窓際で月を見上げて周は孤独を呑み干すかのように、手にしたグラスの中のブランデーを飲み干した。
喉から流れ落ちるアルコールの灼けるような熱さが、周の孤独のようだった。
「久留島君、昨夜は手間をかけました」
「いえ、清方先生。俺も周先輩の事が心配でしたから、間に合って良かったです」
貴之から弓道場での周の様子を聞いて、清方は特務室に残っていた成実に頼んだのだ。貴之がもしかしたら…と口にした店の名前を成実が知っていたからだった。
「それにしても…何があったんだ、周に」
事情がよくわからない雫が、二人の所へ歩いて来て口を開いた。清方はスッと目を伏せて沈んだ声で答えた。
「浅子が原因でしょう。由衣子が周に説得されてしまったので、彼女が直接動いたのだと思います」
「久我 浅子…周の母親か…」
浅子がそのような行動をとる原因は過去の自分にある。 が彼女に苦しめられる度に、清方はいたたまれない気持ちになってしまう。 自分さえ…あんな事をしなければ。 もう少し浅子と周の親子関係は良かったのではないだろうか。考えても仕方がない『IF』が、振り払っても振り払っても清方を責める。
「自分を責めるな」
雫の言葉に清方は首を激しく振った。
「既に時効とはいえ私が周に行ったのは立派な犯罪行為です」
被害者である周本人が許しても、清方は自分を許す事が出来ずにいた。かつて夕麿に自分自身を許すように言った時とはあきらかに違う状況だった。
夕麿のそれは罪もないのに、罪があるかのように思い込まされたもの。本来、夕麿本人には何の罪科もなかった。
しかし清方の行為は表向きにこそならなかったが、間違いなく犯罪行為だった。
「清方…」
雫がどんなに言葉を紡いでも、周が責めなくても…清方は自分の罪を悔いていた。浅子の異様な執着は、決して清方の行為だけが原因ではない。
第一、自分の子供の同性愛に、異常な言動を親が取るのは珍しい事ではない。清方の行為がなくても周が同性愛者になれば、久我家を継ぐ事は難しくなる。夫との不仲が続きほぼ別居状態の浅子には、一人息子の周だけが自分と久我家を繋ぐものだった。だからこそ浅子は周に執着し、自分の意のままにしようと策を巡らすのだ。清方の行為があってもなくても、浅子は周を苦しめ続ける事実は変わらなかっただろう。
周が同性との関係を繰り返す原因は清方にある。確かに浅子はそう思って清方を恨んではいた。しかし周が異性よりも同性に惹かれやすい一番の理由は、浅子自身にもあるのだとは思わないのだ。
「周は…もう、私にも頼ってくれません。でも、彼はそこまで強くはないのです」
何もかもを一人で呑み込んで、もっと自分が辛くなるだろう方向を選択する。
「紫霄にでももっと出入り出来れば、違う展開があるかもしれないがなあ…」
だが紫霄は武の側の人間である周を、確かな理由もなく校医にしたりしないだろう。
「今の周は余りにも行動範囲が狭い」
限られた人間関係では恋愛もままならないものだ。
「浅子の執着を振り切っても…と想える相手に巡り逢えるかどうかだと思っています」
周だけを見て一途に想う相手。異性同性を問わず今度こそ周が本気で、なり振り構わず愛せる相手が現れて欲しい。周が幸せにならなければ自分の本当の幸せはない。周が人生を共に歩く誰かを見付け出したら、自分の罪科も許されるのではないか。清方はそんな風に考えていた。
雫は周も不憫だとは思うがそれ以上に、自分の過ちへの罪悪感からいつまでも解放されない清方が、痛々しくて可哀想に思う。彼の行為の原因をつくったのが、子供だった自分の短慮だった。
だがそれだけではない。もとより何の罪もないのに、紫霄に閉じ込められるという現実自体があの学院と都市全てにいる人間の心を蝕んでいたのだとわかる。
閉じ込められる者、卒業して出て行ける者。その違いを超えて個々が心に傷を負う、絶望と孤独…… どれだけの者が涙を流し傷を抱いて生き続けて来たのだろうか。耐えられなかった者は自らの生命を断った者、誰かを傷付けずにはいられなかった者、狂気へと逃げ出した者……… 紫霄の生徒会にいた者ならば誰しもがその現実を見て来た。それは時代を遡れば遡る程、悲惨さを増している。故意に寿命を縮められた、旧特別室の宮たち。特に二人目は毒殺されたという。だがそれは多分、他の生徒たちにも行われた事だった筈。一体、どれだけの罪なき生命が絶たれたのだろうか。
清方と自分の間の様々な事は、紫霄の中の悲劇の縮図に過ぎない。雫はそう思っていた。だからこそ、武が紫霄を閉じ込められる者など存在しない、当たり前の普通の学校にしたいという想いに心から賛同するのである。
今まで誰も紫霄が異常だと言わなかった。ここはそういう場所なのだと諦めていた。卒業してから10数年。あの環境から離れて社会人になり様々な人々と関わった。
それなのに雫は武の言葉に衝撃を受けたのだ。
『その為に創られた場所であるのだから、全ては仕方がない事』
『蓬莱皇国と皇家・貴族の体面を保つ為には必要なもの』
そう教えられ信じていたからこそ、雫は学院都市に戻る方法ばかりを探し続けた。
180°真逆の考え方。だがそれこそがまがう事なき真実を告げていた。自分たちが正しいと信じていたものは道を迷わせる為のものだった。人としての最低限の権利さえ奪ってしまう事実を自覚させない為の教育がされていた。
法律を学び、警察官として法の番人が仕事として来た。それでも紫霄は例外だと考えていた。自分の考え方の異様さに気が付かなかったのだ。
武が指摘するきっかけは、慈園院 保の2歳下の弟、司と彼の従者 星合 清治の心中だったという。彼らもまた紫霄の異常さの犠牲者。
見渡せば周囲には閉じ込められていた者や閉じ込められる筈だった者ばかりがいる。彼らは全て武が助け出した者だ。こうして清方の苦悩を見ると、武の努力に全力で協力したくなる。紫霄の問題は自分たちの問題。そして問題解決には紫霞宮としての武は絶対に必要不可欠だ。そこに武の決意と想い苦悩と悲哀がある。
「信じていよう、清方。いつかきっと、周にも大切な相手が現れると」
再会が絶望的だった自分たちだって、10数年という長い時間がかかったけれど逢えた。
雫はそっと清方を抱き締めた。
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