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御印の使い方
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しおりを挟む「ねぇ、夕麿。何でこれを持ってなきゃならないの?」
皇家の紋章と武の御印である紫雲英が刺繍されたハンカチ、ペン・ペンケース……後で届いた物も含めて、武の持ち物はすべて取り替えられてしまった。
「いざという時に出して見せれば、この学院の生徒なら皆、意味がわかる筈だからです」
「何んだよ、それ? まるで水戸黄門の印籠じゃないか!」
「水戸…黄門? 徳川光圀がどうかしのですか?」
「え?」
武と雅久と麗の声がハモった。
「会長、それ本気で言ってる?」
「……意味がわかりません」
3人は顔を見合わせ義勝が吹き出した。 貴之は笑いを噛み殺す。
「お前は海外のニュースしか観ないからなあ…」
「じゃあ義勝、あなたには意味がわかると言うのですか?」
「雅久のお蔭でな」
「雅久先輩、時代劇観るの?」
「ええ、時代劇チャンネルとか好きですね」
寮は各部屋に大型液晶テレビが設置されていて、光通信による番組が配信されている。
夕麿は毎朝、BBC放送などの海外ニュースを観ている。特待生は皆、3ヶ国以上の言語の習得が必須になっている。武は母 小夜子の英才教育で、入学時には母国語である日本語に英語と仏語が使えた。 現在、夕麿の薦めでラテン語を学んでいる。 その夕麿は5ヶ国語を話し、義勝も暇に明かせたと言って、8ヶ国語が話せる。 聞いてみると亡くなった慈園院 司は14ヶ国語を話したという。
何を観るかは確かに個人の自由である。 だが雅久が時代劇好きと言うの、初耳であった。
「DVDありますよ、会長。 ご覧になられます?」
「DVD!? 雅久先輩…そんなに好きなんですか?」
「たくさんありますよ? 武君も観ます?」
「えっと…具体的に何を持ってるんですか?」
「古いのから新しいのまで、大抵は」
「あははは…」
「一番の気に入りは、『鬼平犯科帳』ですね。 『水戸黄門』は歴代のものがありますけど?」
瞳を爛々と輝かせて語る雅久に全員がタジタジとなった。
「会長にどの分を観ていただきます?」
「え…あの…その…雅久先輩の…オススメで…」
「わかりました、早々に持って来ましょう」
嬉々として自室にDVDを取りに行く雅久の後ろ姿が怖い。
その後、彼らは雅久のコレクションの一部である『水戸黄門』のDVDを、延々と強制的に観せられたのは言うまでもない…
-----合掌。
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