蓬莱皇国物語SS集

翡翠

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ホワイトデーの逆襲

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「兄さん、ホワイトデーはどうする? 純粋に貰うだけの方?」

「一応、義勝からもいただきましたから考えてはいるのですが……普通はクッキーとか、マシュマロとかですよね?」

「最近はケーキも有りみたいだけど…一緒に作る?」

「マメですね、武君は? 卒業式の準備で忙しくないのですか?」

「マニュアルがあるから、別に?」

「ふふ、夕麿さまの苦労がちゃんと生かされてているのですね」

「お陰さまで」

「ケーキの材料は売店で手には入ったよね?」

「あると思います。 私はクッキーの材料も買わないと……」

「ケーキをつくるのにクッキーも?」

「バレンタインデーに一般生徒から、たくさんいただきましたから…白鳳会でお返しをするつもりです」

「わざわざ?」

 バレンタインデーのチョコレートは当然ながら、夕麿宛ての物が一番多かった。 生徒会で都市部の洋菓子店に引き取ってもらったのだが、贈り主の名簿を行長がきちんと制作しており雅久の手に渡っていたのである。

「手作りするわけ、兄さんが?」

「義勝や夕麿さまに手伝ってもらう事も出来ませんから」

「麗先輩は?」

「もちろん手伝っていただく事になってます。」

「じゃあ、ケーキと一緒に作ろう。 夕麿宛てのお返しなんだから…代わりに俺が作るよ」

「ふふ、可愛い奥さまぶりですね」

「なッ、お、奥さまって…」

「一応、夕麿さまはお婿さんですよね、武君の?」

「そ、そうだけど…」

「真っ赤ですよ?」

 『伴侶』と呼んでも、そのような呼び方をした事がない。 改めて言われると、何だかくすぐったくて恥ずかしい。

「兄さんだって義勝先輩は婿入りしたら、そうじゃないか!」

「ええ」

 どうやら雅久には当たり前の事らしい。 まあ…義勝と雅久のカップルは、しっかりと攻受が固定している。 当然、意識的にもさほどの違和感がないのかもしれない。 だが武と夕麿の場合…九割方、夕麿が攻で武が受だが…たま~に逆転する。 だから微妙…と言えなくはない。

「武君はそう言われるのは、嫌なのですか?」

「嫌とかじゃなくて…ほら、その…」

「あ、立場が逆転する事があるのでしたね……夕麿さまってわかりやすい方だから、次の日、周囲には毒ですね」

 にっこり笑ってとんでもない事を言う。

 ちなみに二人が会話をしているのは、校舎側の食堂。 昼食に降りた武は途中で雅久に会って、今、カウンターで料理を待っている最中だった。 いつも武を迎えに来る夕麿は、午後から高辻医師の診察に出掛けて不在。 聞いてみると義勝も都市部に買い物に出たらしい。

 滅多にない状態に二人してホワイトデーの相談を始めたわけだが、昼時の混雑している食堂で一般生徒たちは例の如く、興味津々に二人の会話に耳を傾けているのを話に夢中な二人は気が付かない。

「ねぇ、武君。 夕麿さまって可愛いですよね、結構?」

「あははは、本人にそれ言っちゃダメだよ? 滅茶苦茶恥ずかしがって、逆襲して来るから」

 茶化した挙げ句に様々な逆襲をされた武としては、最後に絶対に自分に被害が来るのがわかっている。

「逆襲…? 夕麿さまらしいと言えばらしいですね、それは」

 料理を受け取って楽しげに雅久が笑う。 今日の昼食は武が和定食で雅久が鴨南蛮蕎麦。

「うわっ…煮物の人参、大きいよ」

 その言葉に雅久が武のを覗いてクスクスと笑う。

「何を食べたのかな、夕麿は?」

「もう一つの定食は、中華でしたね?」

「うん。 夕麿はどっちかと言うと、和食の方が好きだから…」

「ですよね…」

 クリスマスの食卓を思い出して、二人で同時に吹き出した。

「無理して食べたのだろうなあ」

「付き合いの長い義勝すら、知らなかったみたいです」

「マジ…? どこまで負けず嫌い何だか…」

「ふふ、やっぱり、可愛いですよね、夕麿さまは」

「だね~」

 食堂にいた一般生徒たちには、夕麿の人参嫌いまではわからなかったものの、武と夕麿の関係の真実がその後、密かな噂になる。 あの色香を振りまいて周囲を悩殺する状態について、誰もが納得したのは言うまでもない。

 一部の生徒の間では、身長差15㎝を押し倒す武を、「恐るべし!」と見たとも。



 高辻医師の診察とカウンセリングが終了して、薬は寮に届けてくれると聞いて、そのまま都市部へ買い物に出た。

 ホワイトデーのお返しとかで、雅久と麗が相談していたのを思い出したのだ。 夕麿の左手首には武から贈られた時計が着けられている。高価な品であるのは、後できちんと調べてわかっていた。 オプションに名前や御印の刻印までしてあるのだから、追加を含めて武が幾ら支払ったのかはわからない。 金額を愛情のバロメーターに考えるわけではないが、考えて考え抜いた末に選んでくれたのだとわかっていた

 ふと見ると義勝が細い路地へ曲がる所だった。

「義勝!」

 声を掛けると決まりの悪そうな顔が振り向いた。

「私に知られたら、困る事でもあるのですか?」

「いや…お前に…というよりも、後で武に恨まれるのは嫌だ」

「また、わけのわからない事を」

「そういうわけだから、じゃあな」

「逃がしませんよ?」

「あのな…お前にそっちの気があるのは知ってるが、やめておけ。 俺たちの場合は事情が事情だから、やむを得ないが…踏み込んだら底無しだぞ?」

「……こんな所にそういう店があるのですか…学院都市も様々なニーズに応えているのですね」

「感心するな…」

 時折、わけのわからない天然ボケをする夕麿に義勝は呆れた。

「少し興味がわきました」

「はあ?」

「連れて行って下さい」

 楽しげな笑みを浮かべた夕麿を見て、義勝は武に心の中で呟いた。 許せ、俺の責任じゃあないぞ……と。

 義勝が渋々夕麿を連れて入ったのは、オトナ向けの様々なグッズを扱う店である。 義勝に言わせると外のその手の店よりは、品揃えが悪いらしいが取り寄せは出来るとかで重宝らしい。

 最初この店の存在を知った時には少々呆れたのを覚えていた。 それでも雅久との関係に於いて、出来るだけ傷付けずに使える物を求めて足を運ぶうちに、今ではすっかり常連のお得意だったりする。

 店主は連れを伴って入って来た義勝に深々と頭を下げた。

 義勝はその店主に問い掛けた。

「あれは届いてますか?」

「はい、御改めになられますか?」

 夕麿がその言葉に興味津々で寄って来る。

「雅久への贈り物ですか、義勝?」

「ホワイトデーのな」

 店主が義勝に差し出したのは、柔らかいなめし革で作られた幅3㎝程の首輪だった。 小さな錠と細い鎖が付けられていた。

「悪趣味ですね…」

「だから来るなと言ったんだ」

「興味がわいてしまったのだから、仕方がないでしょう?」

「で?何か見るか? 武を泣かせても良いんなら、説明してやるぞ?」

「あなた方が使うような極端なのはいりませんよ?」

「ふん、極端じゃなきゃ使うのか武も可哀想に…」

「いえいえ、あれで結構、武は……」

「やっぱり、お前は鬼畜だな」

「そうは言いますが、逆転すると武にもその気はあります。 これはもう男としてのさがみたいなものでしょう」

「逆にやられるぞ」

「ふふ、そんなヘマはしません。 まあ私も武を傷付けるのは嫌ですから…」

「コスプレでもさせるか?」

「何ですか、それ?」

「有り体に言えば、いつもとは違う恰好をさせる事だな。 単純なのなら裸にエプロンとか…耳付けるとか…もっとハードだと、尻尾という手もあるが武にはやめとけ」

「何故です?」

「普通、尻尾の根元にはアレが付いてるからな」

 義勝が指さしたものを見て、さすがに夕麿は不快な顔をした。

「武の中に私以外を挿れるのは、好きではありませんね」

「まあ、普通はそうだ」

「あなたは?」

「時と場合による。 雅久でもかなり嫌がる。

 武には無理だな、絶対」

「私が嫌です」

「まあ…エプロンなら、許容範囲だろ?」

「裸にエプロンで何が面白いんです?」

「見えそうで見えないのが、萌るという意見がある」

「という事は、あなたもやった事がないのですね?」

 こんな話を夕麿がするのを、学院の生徒たちが聞いたら鼻血を噴きそうである。

「雅久は和装が多いからな、そっちの方が俺の好みに合う」

「ああ、なる程」

「後は…そうだな。

 傷付けるまでは行かないが、痛い系は結構あるぞ? まあ…束縛系はやめとけ」

「私が出来ません。 今でも両手が麻痺した武を思い出すと、ゾッとします」

 敢えて首の事は口にしない。 罪悪感で胸が詰まり呼吸が苦しくなる。 自分が拘束された記憶よりそちらが痛い。

「ああ、これならどうだ?」

「羽根箒? 何に使うのですか?」

 夕麿には消しゴムの屑などを払う、文具品としての用途しか思い付かない。

「基本はくすぐる。 場所によってはそれなりの効果があるぞ? 抵抗出来ないように拘束してやるともっと効果があるがな。

 武はくすぐったがりだと見たが?」

「ふふ、確かに」

 思わず想像して笑ってしまう。

 すると店主が綺麗な色の箱を持って来た。

「束縛や拘束をお好みでいらっしゃらないなら、このクッキーなど如何でしょう? 身体に軽い麻痺を起こす催淫剤が、少量含まれております。 少量ですので有効時間は10分程度ですが…アイテムとしては面白いと思いますよ?」

「副作用とかはありませんか?」

「長期に常用すれば問題がありますが、これに含まれている分量なら大丈夫です」

「ではそれとあれをいただきましょう」

「ありがとうございます」

 夕麿が購入するのを決めて義勝は溜息を吐いた。 雅久にバレたら怖いかもしれないと。

 店を出た二人はそのまま寮へ帰らず街を歩く。

 途中で夕麿は武に電話を掛け、いるものはないかと尋ねた。 いちいち護衛が付く為、武は街での買い物は不自由だと嫌うのだ お陰で最近は滅多に街に出なくなっていた。

 生クリームで既に泡立ててある物が街に売っているという。 それを2つ程頼まれ、他にシュークリームが欲しいと言う。

 義勝の方も雅久に頼まれ物をされた。

「どうやらホワイトデーのクッキーを、武も参加して作っているらしいな」

「私たちの部屋のオーブンの方が大型ですからね」

 特別室のキッチンのオーブンは、武の希望で火力の強いものに取り替えられていた。 武はそれで普段からローストビーフを焼いたりケーキを焼く。 もともと才能があるのか、武の手料理はかなり美味しい。母の小夜子がやはり料理好きだと言っていたし、クリスマスや正月のお節料理は全て彼女の手作りだった。 バレンタインデーの料理も絶品だった。 ただ、武本人はさほどたくさんは食べれない。 雅久ほどではないにしても、食は平均的日本人よりは細いと言えた。




「ラッピング終わったよ?」

「んじゃ、貴之と配って来るよ」

「あ、行ってらっしゃい、お願いします、麗先輩」

 山ほどのクッキーを焼いて、今はスポンジケーキを焼いている。 クッキーはもちろん、夕麿や義勝用のを別に焼いて取り分けてある。

「武君、夕麿さまに生クリームを頼んでたけど…十分じゃない?」

「あれは用途が別だから」

 武はそう言ってほくそ笑んだ。

「何か企んでますね?」

「バレンタインデーの逆襲…かな?」

「おや、夕麿さまは何をなさったんです?」

「チョコレートでちょっと…ね」

「チョコレート? ひょっとして、使われたのですか、そういうのに?」

「まあね…逸見が変な本を夕麿に貸すから…本気にしちゃったんだよ」

「ああそれで、しばらく彼を無視してたわけですか?

 ふふ、それは災難でしたね」

「面白がってるだろ?」

「いえいえ」

 今度は雅久がほくそ笑んだ。 それを見て武は背筋に冷たいものが走るのを感じた。雅久は怖い。 時折、何を考えているのかわからない事がある。 その玲瓏たる美しさゆえに迫力があるのだ。

 さて夜になって二人きりになった武と夕麿は、虎視眈々と互いの様子をうかがっていた。

 武が用意した夕食を平らげた夕麿は、鼻歌混じりにクッキーの包みを取り出した。 武はケーキとクッキーを皿に取り分けて、取って置きの紅茶の缶を開封した。

 こっちも上機嫌である。

「武、ホワイトデーのプレゼントです」

「あ、ありがとう」

 にっこりと笑って受け取ったが、武はそれをしみじみと眺めてすぐに包装を解かなかった。

 理由はたったひとつ。

 学院都市にあるどの店の包装紙でもないものに、いつもの直感を感じたからである。

「どうかしましたか?」

「…ううん。

 あ、薬、さっき届いたから部屋に置いたけど…」

「すみません」

「また、たくさんだったね」

「内容は変わったみたいです。 発作もかなり緩和されるようになって来ました」

 夕麿はそういうと薬を取りに立ち上がった。 武は笑顔でプレゼントの包装紙を解く。 それを見て夕麿も笑顔を向けた。

 階段を上がって部屋へ夕麿が入ったのを確認して、武は箱のクッキーと自分の作ったクッキーを取り替えた。 天が武に味方したのか、双方の見た目はよく似ていたのだ。

 夕麿が降りて来るのを見て、武はクッキーを箱からとって口に入れた。

「うん…美味しいね、これ。 夕麿も俺の作ったの食べてよ」

 ソファに再び座った夕麿に、皿の上のクッキーを差し出した。

「いただきます」

 笑顔のままクッキーを摘む夕麿。 ケーキを食べながら武は涼しい顔でクッキーを食べ続けた。 夕麿も武が不審を抱かないように、同じようにクッキーを食べる。すり替えられているのを知らないまま……

「お茶のお代わり入れる?

 夕麿、どうかしたの?」

 夕麿は自分の身体の変化に狼狽していた。 手足が痺れているのに身体が熱い。 以前、多々良に催淫剤を打たれた時ほどではないが、似た感覚が体内でくすぶっていた。

「武…まさか…」

「ふうん、やっぱり何か仕掛けがあったんだ、クッキーに。 取り替えたから夕麿が食べたのがこの箱の中身だよ?」

 笑いながらソファに押し倒された。

「今度は何をしようとしてたのかな? こっちも準備してあるんだよね?覚悟して、夕麿」

 シャツのボタンが外され、剥き出しになった胸を武の手が撫でる。

「あッ…武…やめ…ンン…」

「気持ち良さそうだね、夕麿。

 で、俺にこんなになるのを食べさせて、何をしようとしてたの?」

「何…も…あッ…」

「言わないんだ? まあ、いいや。 俺がしたいのをヤらせてもらうよ?」

「ひッ…」

 武は残忍な笑みを浮かべて、抗う事が出来ない夕麿から、衣類を全て剥ぎ取った。

「ふふ…もうこんなになってる」

 武は怯えた眼差しを向ける夕麿を見つめた。

 クッキーの箱を結んであった青いリボンを手に取り、それを欲望のカタチを示すモノに巻き付けて強めに結んだ。 痛みに悲鳴を上げた夕麿に跨って、荒々しく唇を重ねて口腔内を蹂躙じゅうりんする。

「ン!ンンッ…」

 夕麿の腰が与えられる刺激に跳ね上がる。

「バレンタインのお返しをたっぷりあげるからね」

 そう言い放つと武は生クリームの容器を手にした。 それは容器から直接デコレーション出来る物で、キャップを外すと泡立てたホイップクリームがそのまま使える。わざわざ夕麿自身に買わせたのだ。 容器を手に笑う武に夕麿は戸惑いの表情を浮かべた。

「夕麿をホワイトデーのケーキにしてあげる」

「ああ…許して…」

「ダメ。 薬入りのクッキーまで用意して、俺をどうにかしようとしたんだか、許してやんない」

 ホイップクリームが胸の上にたっぷりと落とされ、既に紅く熟れて勃ち上がった乳首には、飾り付けのように乗せられた。 冷たいクリームの感触がこれからされる行為を、連想させて甘い痺れが背筋を駆け上がる。

「イヤ…武…」

 首を振って懇願する。 武はそれを無視して胸に舌を這わせた。

「あッ…ダメ…」

 何をされても感じる。 武は夕麿の胸の上のクリームを舐め取って行く。 が、刺激を求める乳首は放置する。

「武…武…お願いです…」

「何? どうして欲しいの? どこ?」

 知らないふりをされて羞恥に言葉がつまる。

「言えない? じゃあ、してやんない」

「そんな…」

 身悶えすると手が動く。 薬の効き目が切れてきたようだ。 だが今更、この状況を逆転する事は出来なかった。 既に夕麿の身体は受け身のスイッチが入っている。

「ここを…」

 乳首をおずおずと指差す。

「ここ? どうして欲しいの? 言って、夕麿」

「…舐めて…下さ…あッあッ…」

 言い終わる前に練っとりと舐め上げられ、口に含まれて舌先で転がされる。

「ゥンッ…あッ…あン…ああン…」
 
 嬌声を止める事はもう出来なかった。 温かくて柔らかい舌先に舐めしゃぶられ、強く歯を立てて噛まれると、仰け反った身体が快感に戦慄く。

「ふふ、夕麿、気持ちイイ?」

 武が耳に囁いて来る。

「ああ…武…武…もっと…あッあン…イイ…もっと…」

 快感に溺れて掠れた声で強請る。

「イかせて欲しい?」

「ひィィッ…」

 乳首に爪を立てられ、力いっぱい引っ張られ、悲鳴を上げながら頷く。

「今日はこのまま、俺の言う事を聞く?」

「き、聞く…から…イかせて…下さい…」

「じゃ、自分で脚を抱えて?」

 意地悪な命令が羞恥を煽り更なる欲望を呼ぶ。 夕麿は自らの膝したに両手を入れて、脚を胸に引き寄せた。

「もっと開いて。 ちゃんと全部、俺に見えるように」

「ああ…」

 恥ずかしいのに抗えない。 夕麿は目を閉じて、ゆっくりと脚を広げて言った。

「武…早く…」

 リボンが解かれ蜜液を滴らせるモノや蕾に、ホイップクリームがたっぷりとかけられる。

「ひィッ…冷ッ…」

 その冷たさまでが更なる愛撫の前兆として、期待感を呼び刺激を欲しがる。 ホイップクリームに含まれるバニラエッセンスの香りが部屋中を満たしていた。

 舌先がクリーム塗れのモノを根元から上へと舐め上げる。

「ああン…」

 中途半端な刺激に爪先が揺れ動く。 武の指にくすぐられて、蕾が淫らに収縮して誘う。 武はクリームの容器を蕾に当てて、一気に中身を押し出した。

「イヤあああ…!」

 体内がクリームで満たされる感覚と冷たさに、悲鳴を上げながら夕麿は吐精した。 ガクガクと戦慄く身体が止められない。

「あれ、イっちゃたの? しょうがないなあ…」

「ごめんなさい…許して…」

 呆気なくイってしまった恥ずかしさに、涙が溢れる。

「夕麿、可愛い」

 クリームと精に塗れたモノを口に含んで蕾に指を沈めた。

「あッ…まだ…ダメ…イヤ…あああン…ダメ…あッ…あッあッあン…」

 イったばかりの敏感な状態を更に刺激され、膝を抱えたまま脚が突っ張る。 体内で蠢く指が増やされ、感じる部分を執拗に刺激される。

「そこッ…イヤ…ダメ…あン…あッ…イイ…武…武…ひィッ…イく…あッあッあッあああああッ!」

 自分で言っている内容すらもうわからなかった。 中の敏感な部分を刺激され、口腔内に深く咥えられたモノを強く吸われて、目の前が真っ白になって吐精した。

 ここまで強く深い快感を、初めて味わった。あまりの事に意識が朦朧とする。

「夕麿、まだ早いよ? ちゃんと俺のモノでもイってくれなきゃ」

 武の声が頭の中でこだまする。

「武…挿れて…早く…欲しい…」

 更に脚を開いて渇望する。 羞恥よりも、欲しい気持ちが勝る。

 武を感じたい。 淫らなのに少しも損なわれない夕麿の気品と美しさに武の我慢も限界だった。

 荒々しく覆い被さり一気に蕾を貫いた。

「あああッ…!」

 衝撃に夕麿の身体が仰け反る。 抽挿に合わせて自らも腰を振り、欲望を貪り尽くそうとする。 嬌声は啜り泣きになり、激しい快感に涙が溢れる、開かれた唇から唾液が流れ落ちる。

「…ぁあああッ…また…イく…」

「イって、夕麿…俺も…俺も…イく…」

「あッ…ああッ…イく…イく…イくぅ…!!」

「夕麿…!!」

 武の迸りを体内に感じながら、ほぼ同時に夕麿も激しい戦慄きと共に吐精した。



 次の日の朝、食堂に現れた夕麿に、そこにいた全員が反応した。 いつにも増して壮絶なまでの色香を放つ姿は、ヤりたい盛りの彼らには強過ぎらる刺激であった。 ある者は鼻を押さえた指の間から、止める事の出来ない鼻血を溢れさせ、ある者は食堂のテーブルに座ったままイってしまった。

 呻き声が漏れる異様な雰囲気の中、夕麿はそれに気付かずに、いつものように義勝たちのいるテーブルに着いた。その後から食堂の様子に顔をしかめる武が続く。

 雅久から武の話を聞いていた義勝は、込み上げて来る笑いを抑えるのに必死だった。 この見ただけでわかる、昨夜の結果に。

 だが逆襲された本人は上機嫌だった。 ソファの後、バスルームで体内のクリームを洗い流され再びベッドで求められて、最後は完全に意識を失ってしまった。朝目覚めると体内にまだ残る熱と全身の気怠さ。 酷使して痛むのは、腰とあらぬ場所。 それが全て武に激しく求められた結果だとわかっている。

 自分の目論見は実行出来なかったが、改めて抱かれる悦びを噛み締めていた。 手首や太腿、首筋にまで鬱血があった。 それは制服で隠し切れない場所にまで、くっきりと鮮やかに付けられていたのだ。

「ごめん…夕麿、ヤり過ぎた…」

 その状態に躊躇する武を抱き締めて夕麿は言った。

「ありがとう」 と。


 やっぱり、周囲の迷惑を顧みないバカップルである。
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