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独占欲と無関心
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しおりを挟む『賄賂』というと犯罪の臭いがする。けれども『接待』というと灰色になる。どちらも目的は同じなのにイメージは微妙に変化する。
医師も接待や『手数料』『お礼』という名目で、関連の業者から付け届けやら現金が手渡される。特に病院の経営に関与している者、薬や機具・機器等の決定に影響がある者には、様々な引き合いが業者から来るものだ。
義勝はずっとこの病院のオーナー一族に名を連ねる人間である事を、彼ら『業者』と呼ばれる人々に秘しておくように依頼して来た。事務方もスタッフも御曹司の一人である彼の機嫌を損ねる事は良くはないと思ったのか、はたまた名前だけで呼ばれる医師が複数いるからなのか、今日の今日まで彼らにその手の話をふられることがなく過ごして来た。
接待がどんなに大変であるのかは、企業経営者の一人としての夕麿と武の表情や言動を見ていればわかる。同行する雅久の愚痴をいつも聞くのもパートナーである義勝だ。ずっと紫霄の中で育った所為か義勝は、歯の浮くような世辞を並べ立てられるのは好きではない。
精神科医として人間観察がある程度可能な為に、浮ついた言葉と浮かべられた笑いの向こう側がわかってしまう。
だからイヤだったのに……
「院長、どこから漏れたのです?」
ウンザリした声を発した彼を、この病院を預かる院長は気の毒そうに見た。養子とは言え御園生の御曹司の一人である義勝は、医師としてはまだまだ雛の状態であるが、新米医師でありながらも御園生財閥の医療・介護部門の責任者としての肩書きを持っている。院長から見れば義勝は部下であると同時に、直属の上司でもあるという複雑な関係だった。
ただ義勝自身が御園生の一員としての立場と、新米医師としての自分は別物として考えて欲しいと言うスタンスであるので、病院内では普段は院長と部下の医師だった。
「私にもわからないのだよ。ただ、渡来製薬の専務がどこからか嗅ぎ付けて来た様子でね。次の接待の席に是非とも君を連れて参加して欲しいと言うんだ」
「断る事は難しいのですね?」
恐らくは今まで似たような要求は存在したのかもしれない。ただ今回よりはあやふやな情報で、探りを入れて来ていたのまでは聞いている。
御園生の家族構成は基本的には秘されている。もちろん武たち皇家に名を連ねている者を、無遠慮で国内のルールに縛られない、海外の記者などから守る為でもあった。院長はそれを理解している人物の一人で、これまでは上手く煙に巻いていてくれたらしいのは、義勝でなくてもわかる筈の事だった。
しかも名前で呼ばれている医師全員がこの手の接待を、忌み嫌い一人として場に顔を出した事はない。さすがに業者側も焦れてしまって別の方向から情報を仕入れたのかもしれなかった。
断る事ができないまま、義勝は料亭の奥まった一室にいた。事前に夕麿にはこの件に対して報告はしておいたが、武が決めたルールを厳守するようの言われただけだった。
武が決めたルール。それは女性を使っての接待を行う者とは、絶対に取引を行わないというものだった。企業側の接待を主に受けていた夕麿に対してのその様なものが後を絶たず、武を本気で起こらせた事が原因だった。
影暁が経営に参加した現在は、彼が接待の席を全面的に引き受けたので、夕麿の気苦労も武のストレスも軽減されている。せめて雅久でも付けてくれたら…と思ってはいたが、当日は生憎な事に教室の日だった。
上座に座らされて仕切りに酒を勧められる。芸者が呼ばれて側に侍っているが、白粉の匂いが義勝には気持ち悪かった。
この状況を武のルールに当てはめて良いのかどうかがわからない。どんな女を何人連れて来られても、雅久の足元には到底及ばないとわかっているからだ。
義勝はそれこそ女性と接触を持つ機会が極端に低い環境で育った人間だ。その上で雅久と出会ってしまったゆえに、美貌の基準が彼になってしまった。親友の夕麿にしても恋愛対象にはならないが、ここにいる『きれいどころ』と呼ばれるお姐さんたちと比較するまでもない。
ところが彼女たちは財閥の御曹司で新米とはいえ医師、190㎝を越える長身の美丈夫のハートを射止めて、花街で言う『旦那』というスポンサーになってもらいたくて、先程から様々な手管で落とそうとしているのだが、一向に彼は某かの反応をする様子も見せない。もっとも義勝にはまるで通じていないのだが……
彼は元々自分に向けられる愁波にはまるで無頓着だ。彼の恋愛的なアンテナは常に雅久にしか向いてはいない。ずっと側にいるのに貴之の想いに彼が気付かなかったのは、カメラのピントが合っていない物がはっきりと写らないのと同じだ。恋愛的な部分では義勝には雅久がいればよかった。雅久以外は不要であり、どのような眼差しを向けられても見えないし感じられないのだ。ここまで極端な視野狭窄は最早、見事とも天晴れとも言うしか他にない。
とは言ってもそこは親友。武以外を受け付けない夕麿も良いところ五十歩百歩だが、義勝のそれは一途を通り越して頑固そのもだとも言えるだろう。雅久と出逢ってしまったのが思春期真っ盛りだった所為もあって、義勝が同性愛者であるのか両性愛者であるのかは不明のままだ。
「お酒、お強うあらはりますねぇ」
いつの間にか入れ替わった芸者の言葉に、義勝は初めて自分の手にした盃に酌をしている女を見た。
「旧都の人か?」
「へえ、そうどす」
聞き覚えがある旧都の花街の言葉だった。
「祇園で出とりましたけど、元はこっちの出どす」
「祇園?」
「へえ、芸妓になって2年ほどおりました」
「旧都には行った事がないが、どんな処だ?」
「そうどすなぁ、こっちとは違うてもっとまったりしてます。こっちは何でもはやおすやろ?」
これで落とせると思ったのか彼女は、小首を傾げるようにして義勝が飲み乾した盃に酒を満たした。
「そう言われて見れば旧都の人は、所作がゆったりだなあ……」
義勝が知っているのは雅久と榊の二人だけ。それでも花街言葉と旧都弁に違いがあるのは知っている。
「いや、それ、どなたはんの事思てゆうたはるん?」
「え?」
ちょっと嫉妬混じりの言葉を義勝は理解出来ない。そもそも自分が彼女たち芸者の獲物になっているとは思ってはいないのだ。
「ああ、身近に二人ほど旧都出身の人間がいる」
榊は普段から旧都弁で話すが、雅久は花街言葉である『旧都言葉』と呼ばれるものが、格下の言葉であるのを知っている。記憶は失われていても発音などの生まれた場所の言葉は脳から消えたりしない。気持ちが高ぶると余裕がなくなって旧都言葉になるが、普段は身内であり主である武と夕麿の品位を貶めると考えて、極力使用しないように彼が心掛けているのを義勝は知っていた。
「ホンマに?」
「ん?」
彼女は仕切りにモーションをかけているのだが、義勝は今一つ意味がわかってはいない。
その時だった。廊下の向こうで人が近付いて来るような声がした。程なくして部屋の前に人の気配がして、案内して来たらしい仲居の声がした。
「お連れ様がご到着されました。このお部屋でございます」
案内して来た相手に告げた言葉と共に、廊下と部屋を隔てていた障子が開けられた。
「遅くなりました」
立っていたのは和装姿も艶やかな雅久だった。毎日のように抱き締めて間近に見ている義勝でさえ、日本庭園を背景にして立っている雅久の美しさに言葉を忘れた。
接待側である製薬会社の社員たちは呼吸を忘れ、今し方迄義勝に自信たっぷりに媚を売り、愁波を送っていた『きれいどころ』と呼ばれる女性たちは、瞬く間に自分たちが色褪せたようになってしまったのを感じていた。
一方、この様な光景になれている雅久は、惚けている義勝の横に艶やかな所作で座り、彼の隣にいる女性の手にしている銚子に触れた。
「堪忍どす、お姐はん。こんお人は私の大切な旦那さんどすさかい、これはこっちへおくれやす」
雅久のこの言葉を耳にした義勝は、美しい伴侶が相当に立腹している事を悟ってさらに言葉を失った。
「いや…こんお人が言うてはった旧都の人て…花街言葉?」
外の人間ならばいざ知らず旧都のしかも花街にいた者が、旧都弁と旧都言葉を聞き間違える筈がなかった。
「彼の亡くなった母親は祇園の出身なんだ」
「祇園…?ひょっとして…雅久はん?」
「え?」
今度は雅久が驚きの声を上げた。
「お姐さんはこいつを知ってるのか?」
「へえ、あんたは華乃さん姐さんの息子はんの雅久さんやろ?うちや…あの頃はまだおちょぼ(舞妓の見習いの事)やった、涼香どす。
……覚えてはらへん?」
困った顔で俯いてしまった雅久に、涼香と名乗った芸者が問い掛けた。
「ああ、すまん。姐さん、雅久は10年ほどまえに事故に遭って、それ以前の記憶が無くなったってるんだ」
「そやったら華乃さん姐さんの事も覚えてはらへんの?」
「いえ、母の事は断片的には覚えています。その、祇園の事も欠片やけど思い出しました。
でも…姐さんの事は…」
その言葉に涼香は袖で目元を覆った。
「祇園を出はって幸せにしてはるて思てたのに…そないな事になってはるなんて…」
祇園を出てからの『華乃』と名乗っていた祇園の名芸妓と息子である雅久の二人が、戸次の家との関係で幸せだった事は一度もなかった筈だった。
「今は幸せどす…お姐さん」
美しい顔でにっこりと笑い返した雅久を見て、涼香はホッとした顔をした。それを見届けた雅久は改めて、居住まいを正して手を着いて深々と頭を下げた。
「ご挨拶が遅れました。わたくしは本社御園生ホールディングスに於いて、統括秘書室の室長を務めております、御園生 雅久でございます」
優美でではあるが凛とした響きの挨拶に、接待側の者たちも思わず頭を下げた。
ただ一人を除いては。
「秘書?秘書風情を呼んだ覚えはないが?」
辺りに響き渡る声でそう言ったのは、幾分酔っ払った製薬会社の重役と名乗った男だ。
「確かに雅久は秘書ですが、御園生の一員でもあります。これが秘書をしているのは、後継者に指名されている弟が余り丈夫な性質ではないので、裏方として補助し支える為です。
実際には御園生の一人として交渉事に当たりますし、本社の経営にも参加しています。また私が医療・介護部門の責任者であるように、彼は御園生が所有するコンサートホールなどの文化部門の責任者でもあります。
これを軽んじる発言は御園生全体への侮辱ととりますが、よろしいですか」
雅久が常日頃どれほど多忙であるかは、義勝が良く知っている事だった。
「私の方からも補足いたしましょう。雅久さんは舞楽師として、宮中の行事に於いては無くてはならない方です。本日も和装でいらっしゃるのは、雅楽・舞楽の継承の為の教室を終えられて駆けつけられたからです」
院長がわざと難しい顔をして義勝の言葉に付け加えた。重役以外の接待側の社員は蒼白になった。
「本日、わたくしは後継者である弟 御園生 武の代理として参りました。我が社は方針として、女性を侍らせての接待はお断りする事になっております。
今回はこちらの条件をご存知ではなかったという事で不問にさせていただきますが、この様な席は二度とお選びにならぬように御願い致します」
言葉こそは丁寧ではあるが、雅久は断固として武の決めた事を守る覚悟を示した。
女性の愁波にはまるで気が付かないだろうからと雅久に、教室の後に向かうように言ったのは夕麿ではあった。その言葉を聞いて武は横で笑ってはいたが、色仕掛けの接待が習慣になっては困ると言った。
「院長、武さまのお決めになられたルールは、あなたにもお伝えしてある筈です。もちろん、義父ちちもこれを了承しております。義勝を接待に応じさせるのは立場上、当たり前の事ですから仕方がありませんが、守るべき事は守っていただかないと困ります」
名代として派遣されて来たからには、正すべき事は正す責任が雅久にはあった。
「雅久、院長も今回の席がこの様なものだとは知らなかったんだ」
彼に責任はないと慌てて義勝が言う。
「そやったらなんでまんま座ってはるんや、あんたは」
義勝に向けては怒りがストレートになるらしく、途端に旧都言葉に切り替わる。
「別にお姐さんたちがいるだけだ。武のルールには当てはまらないと思うが?」
「それ、ほんに思うてはる?」
柳眉を逆立てて雅久は義勝に詰め寄った。しまった…と思ったのは後の祭りだ。
「いや、それは…?!」
何か言い訳をしようとした義勝は先程文句を言った重役が、いつの間にか雅久のすぐ横に這い寄って来ているのを見て絶句した。詰め寄っていた雅久が彼の視線を追って振り向いた瞬間、重役は手を伸ばして雅久の華奢な腕を乱暴に掴んだ。
「お前、男か?女か?どっちだ?」
鼻の頭を真っ赤にした彼は、酒臭い呼気を吐き出しながら雅久の顔を覗き込んだ。
「放しなさい…」
消えた記憶の向こう側にある暴力への恐怖が、雅久の全身から抗う力も気力も奪い取ってしまう。拒絶の言葉を口に出来ただけでもまだ良い方であった。
と、義勝が膝立ちになって乗り出し、重役の手を鷲掴みにして引き剥がす。彼は身長の分だけ指も長く手が大きい。ピアノ奏者でもある為、当然ながら指の力が強い。
「痛い!!若造が何をする?!」
「何をするは、俺のセリフだ。人のものに気安く触ってんじゃない」
被害者面する重役の方へ更に乗り出しながら、雅久を自分の背後にして庇う。
「おお、やっぱり女か。そういえば花街では源氏名に男の名前を使う置屋もあったな」
重役は完全に酔っ払っていて社員たちが慌てて止めに入るが、彼らの手を振り払って罵ってまで見せる。
「義勝先生、雅久さん、これでは話にもならん。引き揚げましょう」
「そうですね。帰って弟に報告します。取引は無理でしょう」
他社にない薬剤を扱っていたりして、病院としては大事な取引相手ではあった。
「必要ならば御園生で何とか手配させます」
事情が事情だ。武や夕麿が何としても手配してくれる筈である。
「雅久、立てるか?」
「はい…」
先程とは打って変わった様子に、涼香が驚いた顔をしている。
「お姐さん、連絡先を教えてくれ。こいつに祇園の話を聞かせて欲しいんだ」
義勝はそう言って自分の名刺を彼女に差し出した。
「へえ、それはかまへんけど…」
雅久は義勝を『旦那さま』と呼び、義勝はたった今、『人のもの』と言った。もちろん彼女は雅久が男である事を知っている。
「ん?…ああ、それについても説明する。ただこれだけは事実だ。これは俺の恋女房でな」
少し悪戯心を込めて笑って言うと、少し気を取り直したらしい雅久が柳眉を逆立てて義勝の腕を抓った。
「痛ッ!」
義勝にすれば雅久が不機嫌な理由がわからない。
『恋女房』と言ったのが気に入らないと言うのだろうか、と首を傾げた。義勝は相も変わらず自分に向けられる艶めいた眼差しに気付かない。彼にすれば雅久だけが自分に向いていてくれれば良く、それ以外は存在している事すら思ってはいない。
自分で心を閉ざして周囲の感情に冷淡になっていた、夕麿とは明らかに違う無関心さだった。
義勝は自分自身に関心が無い。他人が自分にどういった感情を向けるのかに対して、一切興味を持ってはいない。もちろん雅久だけではなく家族や友だちが向けてくれる感情には、心を向けてちゃんと関心を持っているし受け入れている。だが恋愛的な感情とか性的な欲求を向けられるのには、まるで強固な扉を閉めてしまったかのように義勝の心の表面にさえ届かない。雅久だけがその扉を開けて中に入れるのだ。
恐らくは両親に一切、顧みられる事無く育った為に心の中から他者の愛情を締め出すのが、義勝の心の中では当たり前になっているのかもしれない。このことに気付かそうと清方が何度も試みてはいるのだが、無理にこじ開ける害の方が大きいと考えていずれかはと時間を掛ける事にしたのだった。
実母の出現と彼女の末期癌すら義勝の心の扉を揺るがせただけで、ついに彼女や祖母に対して開かれる事はなかった。
ちなみに小夜子は扉こそ開く事は出来てはいないが、小窓を開かせるくらいには成功している。それが彼女の才能であるとも言える。
むろん、雅久も義勝のこの状態については、清方から説明される前から気付いていた。自分に出来る事は人生のパートナーとして寄り添っていく事しか出来ない。むしろ自分の方が彼を必要としている。だからこそこのような席は不愉快だった。
武が夕麿の為に徹底したがる気持ちが今日、ここに来る事ではっきりと理解した。たとえ義勝が彼女たちに少しも心動く事がなくても、自分の大切な人を懐柔してモノにしようという感情を向けられるのは不愉快だ。これは自分のだと叫びたくなる。だがここにいる女性たちの思惑がわからない義勝には、雅久の心を満たす激しい感情は理解できないだろう。
「雅久はん、悋気はやめよし」
「悋気?」
涼香の言葉に義勝の方が反応した。不思議そうに雅久を見返した顔に深々と溜息を吐いて、応えて雅久は踵を返して室内の人間に優雅に頭を下げて廊下へと出た。義勝と院長も続いた。
部下たちに押さえ付けられている重役がまだ何事かを叫んでいたが、もう雅久にも義勝にもどうでも良い事だった。
「院長、今回の事はあなたの責任です。斯様な席は武さまが最もお嫌いになられるものです」
「申し訳ございません。私としては義勝先生の顔繋ぎにと思ったのですが…言い訳をするようで心苦しいですけど、恐らくはあの重役の企みだと思われます。いつも当院に来る社員は教育がよく、気配りも出来る優秀な者ばかりです。
その、どこの社にもあの手の愚か者はいるもので、何かを勘違いしたままで自分の方法を通して来たのでしょう。取引を切るのは彼らには酷であると感じます」
院長はもちろん、武が誰であるのかを知っている。彼がこの手の接待を嫌悪しているのもわかっている。それでも常日頃の社員たちの姿勢まで否定するべきではないと思っていた。
「ああ、俺も彼らに対応した事がある。雅久、今日の席は俺もあの重役が仕組んだと思うぞ?」
院長の言葉に納得しかけていた雅久は、義勝の言葉にツンとばかりに横を向いて見せた。どう見ても自分がその企みのターゲットだったとは自覚してはいないようだ。
「院長のお言葉は一応、武さまと夕麿さまにご説明いたしますが、どの様な判断をされるのかは私にはわかりかねます」
本当は見たままを雅久が判断して良いと言われては来た。院長の顔も立てたいとは思っている。だがここで答える事は、義勝には何もわかってはいないままになると思うのだ。
この無関心で鈍感な様がいつかは、何かの問題を引き起こしそうで恐ろしくもある。第一、伴侶である雅久に対しての不実に繋がる可能性があると、義勝にわかって欲しいと切に思っていた。
院長にも雅久の気持ちはなんとなく理解出来るらしく、義勝がどう答えてどう反応するのかを見守っている様子だ。
義勝だけがこの場の空気を理解出来ずにいる。それがまた雅久には歯痒いのだ。
興味が無い。
関係が無い。
それ以上に彼女たちの思惑がわからない。
雅久にだけしか興味が無いというのは一見、喜ばしい事に見えはする。だが義勝は同時に雅久に害を与えるタイプか、極端に嫌がってる状態でなければ、独占欲を顕にする事も殆どないと言えるのだ。
人間の色恋の微妙な鞘当が理解できてはいないように感じる。先程も重役が直接絡んで来たから反応したのであって、離れてジロジロ見てるだけならば雅久が不快感や嫌悪を出さなければ平然としているに違いない。
雅久も御園生の子息の一人なのだ。花街に所属する女性たちが矛先を、無反応な義勝から雅久に切り替えても不思議ではない。実際にそういう例は今までに幾度か経験している。後で縁談が来た事もある。既に決まった相手がいると断ってもなかなか引き下がらず、有人が複数の伝を使って断る事態にもなった。
武と夕麿の事は経済界では結構有名であるので、縁談を持ち掛けて来る者はいないが、影暁や雅久、それに本人に自覚がない義勝の事までは知っている人間は少ない。各々が薬指に指輪をしていても、虫除けにしか取られない時があるのだ。それが結婚指輪だと理解した上でそれなりの地位や家の者は、愛人の一人や二人を持つべきだと言って来る厚顔までいる。年配の経営者の頭の中には、妻以外の女性を愛人に持つのがステータスだと思っている者が結構存在しているのだ。そのような輩は誇らしげに自分たちが経済のリーダーだと言うのを見て、武などは吐き気がすると言った程だった。
枋木 礼三のように若気の至りのような事もあったが、人としても責任ある経済界を担う一人としても、決して自慢出来る事ではないと悟ったと言うのは理解出来た。全ての人間に聖人君子であれとは言えないからである。けれども自分の価値観が他者に通じると考えている傲慢さは武が最も嫌っている。わかるからこそ今日のような事があっては困るし、頭で情報としてではなくわかって欲しいとも思う。
自分の望みと主である武の望みが複雑に雅久の中で交差していた。何も感じていないからこそ当然ではあるが、女性を横に侍らせて平然と酌をされている姿を見て、雅久は我を忘れそうになる程の怒りを感じていた。
口惜しい……
ここで義勝を詰るわけにもいかず唇を噛み締めて、足袋の爪先をジッと見詰めて立っていた。言葉に出来ない悔しさに口元を覆った袖をギリリと歯で噛み締めた。
この想い……何故わからないのか。艶かしく見えるその姿が、雅久の美貌を匂いたつ色香が際立たせた。
すると見計らったかのように障子が勢いよく開き、件の重役が飛び出して来た。袖から口を離してギョッとして立ち竦む雅久に、重役は掴みかかろうとした。
「雅久!」
義勝が慌てて踏み出した次の瞬間、パシーン!という音が周囲の空気を切り裂くように響き渡った。雅久が袂に入れていた扇で、重役の額を力一杯打った音だった。
「本当に鬱陶しいひとですね」
そういって尻餅をついた重役を冷ややかな眼差しで見下ろした。
「そないな事しはったら自分の会社がどないなるか…いっこも考えてはらへんやろ。何の為に来はったかも忘れるくらい酔いはって、ようそれで接待や言わはりますな。自分とこの社員がさんざん止めたはるのに、まだ私にふざけるおつもりどすか。社員の日頃の苦労もこんで台無しどすな」
面差しが美しいが故に、怒気を含んで響く声は凄まじい気迫を放つ。眼差しは更に冷気を帯びて、視線だけで心も身体も凍り付いてしまいそうだった。
重役はショックで流石に酔いも吹き飛んだのか、真っ青な顔で雅久を見上げていた。こうなると雅久は引き下がらない。引き下がっていては武や夕麿の盾にはなれないからだ。
基本的に接待の席で特務室の人間は、相手が殺傷行為にでも出ない限りは動けない。企業の取引に介入するのは禁止されているし、妨げになる可能性が高い。取引は武たちの仕事であり、警護が踏み込む場所ではない。従って無体な事をする者から二人を守るのは、秘書の仕事になり接待の席には必ず雅久が同伴する。ゆえに一歩も退かない姿勢が必要なのだ。
「こ、こんな事をして…こ、後悔しても知らんぞ?」
それでも重役は必死に体面を保とうとする。
「後悔しはんのはあんたはんや。御園生を何やと思うてはるんどす?」
旧都言葉の響きが柔らかいだけに返って、雅久の冷え冷えとした様がゾクゾクと身の内を震えさす。雅久は言葉を失った重役を更に冷たく見下ろしてから、興味を失ったとばかりに視線を外して手にした扇を少しばかり指先で開いた。それで口元を覆って、ゆっくりと義勝と院長を見た。
「ほな、帰りまひょ」
何事もなかったかのような口ぶりだった。
義勝にすれば自分の愛する相手が何故に、扇で口元を覆ったまま流れ往く景色を、車窓から見詰め続けているのかわからない。
ああ言った席に顔を出したのが悪かったのだとはわかってはいても、武の決めた方針であるからという理由以外にどの様な意味があるのかはわからないでいた。だから困った顔のままで押し黙っているしかなかった。
気の毒なのは院長だった。彼はこれまでの彼ら、御園生の養子たちを見ていて気が付いていた事があった。異性間の恋愛よりも同性間の恋愛の方が、互いを独占して縛り付けようとする傾向が、非常に強いように思えるのだ。
それを何気なく保に言うと彼は頷きながら答えた。
「まだまだ同性愛には偏見も差別も存在しています。それに意外と彼らの中に両性を対象に出来る者もいるようです。世間的に異性愛が認めれている以上、同性との恋愛を不自然に感じて去って行ったり、家族や親戚の反対で別れるしかない者もいます。
私の弟は恋人と引き裂かれない為に、二人で死ぬ事を選びました。彼らに共通する傷は恐らくいつかは異性に大切な誰かを奪われるかもしれない…という恐怖にあるように感じます」
保自身は同性愛者ではない。と言っても未だに異性の恋人も持たない。亡き弟を死へ追いやった悔恨による贖いであるのか、それとも他に何か理由があるのかは誰も知らない。
ただ武たち同性を伴侶に選んだ彼らの心が、どこか危うい足取りで懸命に生きているのは感じていると語った。
院長にしても本当は彼ら自身に問えば良いとわかってはいる。だが問い掛けによって彼らが傷付く事もあると思うのだった。
小学校入学から閉鎖空間で育った義勝は、自分自身という内側に向ける眼差しを持つ事が出来ないまま、成長してしまっている。誰かの為に心を動かしても、己の為に感情を動かせない。ただ雅久への愛情と家族への想いだけが、ストレートに動く。余りにも真っ直ぐ過ぎて周囲の眼差しも、ぶつけられる感情も時々こうして理解出来ないのだ。
よくわかっていながらも、この状況は雅久には辛いのだろうと思う。だが何をどう彼らに話せば良いのだろうか。純粋に真っ直ぐな愛情と庇護欲は余りにも強烈に義勝の心を独占して、何ものをも弾いてしまって心に届かない。
雅久の憂いも哀しみも悔しさも、義勝の心には存在しない感情なのだ。不必要な思いは捨ててしまわなければ、閉じ込められた場所では生きてはいけなかった。だから見詰めるべき事、大切なものだけを心に残した。
しかし人間は明部だけで生きてはいない。どの様な人間も光と闇を抱いて生きている。己の心の暗部を否定すれば心は歪んでしまう。血を流す心の傷は辛くても悲しくても、逃げても封印してもいけない。
夕麿がかつて偽の記憶をかつて形成してしまったように。
雅久が過去を全て忘れてしまったように。
逃げ出す為に人は己の心を歪ませてしまう。二人ほどの極端さは無くても、暗部を閉じ込める行為はそのまま、喜怒哀楽の『怒』と『哀』という感情を封じ込める。さすればバランスを失った『喜』『楽』が歪む。今まで義勝のこの状態が周囲に目立たなかったのは、単に親友である夕麿が元々は喜怒哀楽の激しい人間だったからだ。彼は時として義勝の代わりに怒り泣いた。だが夕麿も成長してそこまでの激しい感情の起伏を義勝にも家族にも滅多に見せない。
雅久を失う事は過敏に反応するが自分が彼を捨てる可能性は、考えられないから恋人の嫉妬や不安はわからないのだった。
「申し訳在りません、まだ用事を残しております」
そう言って雅久は途中で車を降り、マンションにある教室へと向かった。
悲しい時、辛い時、苦しい時、迷う時等々、雅久は心乱れる時には常に舞う事で無心になる道を選んで来た。舞は時には自分の方向を指し示してくれた。時には一筋の光や希望を与えてくれた。大切な答えへの糸口も見出させてくれた。ただただ泣きながら舞う事もある。主であり弟でもある武が苦しめられる度に、悲しくて悔しくて泣く事しか出来ずに寝食を忘れて倒れるまで舞い続けた時もあった。義勝が黙って控えていて、倒れた雅久をベッドまで運んでくれた事もあった。
あの夏の日、紫霄の附属病院で目が覚めた雅久の心は真っ白な闇に支配されていた。自分の名前も過去も何も消えてわからず、今いる場所がどこであるのかもわからなかった。手を握り締めて目覚めた事を喜ぶ彼が誰なのかもわからなかった。
世界中で独りになった想いだった。それでも義勝は雅久の為に何でもしてくれた。何かに怯えて震える夜も頭を締め付けるような、痛みに苦しんだ時も彼はずっと抱き締めてくれていた。
義勝がいなければ生きてはいられなかった。失った記憶は戻らなくても、今から新しい記憶を作って行けば良いのだと言ってくれた。今から振り返れば義勝だってきっと辛かっただろうと思うのに。
記憶を失う以前の自分をどれだけ愛してくれていたのかはわかる。そしてそれ以上の愛情を与え続けてくれているのもわかっている。
でも………責めてはならないとわかってはいても、今日のような事に出逢うと悲しい。
寂しい…口惜しい。
彼は雅久の嫉妬も独占欲も理解しないのだ。愛されている確信はあるのに、この想いをわかってくれない事に強い不安を感じてしまう。愛する人に悪意は無い。悪いのは彼のそういうところを理解して受け入れられない自分だと。
教室内に響くのは足捌きの音と衣擦れの音。音楽もかけずにただ静かに静かに時を忘れて舞い続けた。
が……どんなに無心であっても体力の限界は来る。糸が切れたかのように突然、雅久はガックリと床に膝を着いた。胸が激しく上下して呼吸も苦しい程に荒い。
御園生邸ならば誰かが…大抵は義勝が、駆けつけて来てくれる。しかし今は誰もいない。通常の稽古であれば一応は自分の体力を考慮するが、今日はただ無心になって全てを忘れてしまいたかった。故に加減も場所も忘れてしまっていた。
眩暈がする…軽く吐き気もする。体力の消耗のし過ぎで貧血状態に陥ったらしい。このまま倒れてもまだ温かい季節だと力を失った身体が傾いだ瞬間、慌しい複数の足音が闇に堕ちる中で聞こえた気がした。
まるで鉄の扉のように重い目蓋を開けると見知らぬ部屋の天井が見えた。そのまま視線を巡らせる。やはり知らない場所だ。意識を失う前にいたのはマンションにある教室の稽古場。とすれば此処はマンションの誰かの部屋だと考えた方がよかった。
意識を失う前に複数の人間の足音を聞いたのを覚えている。誰かが運んでくれたのだろう。腕に点滴の針が刺さっているのを見ると、周かもしれないと考えた。
「あ、気が付かれました?」
声に振り返ると通宗が開かれたドアの前に立っていた。
「あの…」
「榊さ~ん!雅久さん、気が付かれました!」
雅久が問いかけるよりも先に、彼は廊下の向こうにこう言った。すぐに榊が部屋に駆け込んで来た。
「雅久!」
「榊…あ…」
友に応えようと身を起こしたが、強い目眩に襲われて身体が傾いだ。
「危ない!」
慌てた榊に抱き止められてベッドから床に落ちる事は免れたが、目眩が気分まで悪くする。
「まだ寝てなあかん」
「堪忍…」
「通宗、清方先生に連絡して」
「はい」
先程と同じ場所で心配そうに此方を窺っていた通宗が、榊の言葉に踵を返して走り去った。
「あの…どないしてここへ?」
「夕麿さまから電話もろてな。あんたが用があるて車降りたて、院長先生から連絡があった言わはって。そやけどあんたは今日は教室の稽古日やさかい、そないな予定はあらへんかった筈やて。えろう心配なさって私に連絡くれはったんや。
もしかしたら教室に戻って来とるんやないかて思て、教室に駆け付けたんや」
付き合いの長い同級生は皆、雅久が衝動的な行動を行う事があると知っている。ただ義勝だけがわかってはいない気がするのだ。
「ほんに義勝もどないしようもないアホやなぁ…そやかてあれは性分やさかいにどないしようもあらへん。あんたもそこが辛いとこやろう」
「榊…」
「あんた、貴之の事も気ぃついてたやろ?」
その問い掛けに雅久は無言で頷いた。
「あら見とって可哀想やった。気ぃ付いてきちんと振ってやっとたら、あないに自分を蔑ろにしいひんかったやろな。そないな意味では御厨君には、感謝してもしたらんな」
「…彼がいてなかったら…どっかで義勝とはわやになっとたかもしれまへん。義勝には悪気がいっこもあらへんとわかってはおるんどす。せやかて…心が、言う事聞いてくれへん」
義勝との仲が拗れれば一番心配するのは貴之で、次が武だとわかっている。第一、彼を嫌いになった訳ではない。愛情があるからこそ時折、義勝の無関心には我慢できないのだ。彼に罪があるわけではない。
雅久さえ理解して受け止めれば良い。
わかっているのだ。
わかっていても心が苦しい。
「あんまり気に病まんとき」
雅久を再びベットに横にならせながら榊が呟いた。彼も何を言って良いのかはわからないのだろう。
義勝は雅久に寄って来る者には過敏に反応する。他者が彼に何某かの害を及ぼす事がないように、という気遣いの念が強いのだともわかっている。同級生たちや武とどんなに仲良くしても、夕麿のように過敏に反応して嫉妬する事はない。
社の接待に同行しても彼は嫉妬する事もない。義勝の心に嫉妬は存在しないわけではないとは思う。小等部以来の幼馴染であり親友である夕麿が、常に武の肩を持つ事に苛立っていたのがあったが、あれは過分に嫉妬心が存在していた。
嫉妬をしないのは相手を信頼しているからと言ってしまえば言葉はそれ以上紡げない。でも…それは本当にそうであるのだろうか。嫉妬は相手を信頼していない醜い感情であるのだろうか。
答えが見付からない……ただ雅久は愛する人には他の者に近付いてもらいたくない。自分だけの人でいて欲しいだけなのだ。
「あまり考え込んではいけませんよ」
不意にかかった声に顔を上げると清方がいつの間にか来ていた。
「義勝君の事は少し私に考えがあります」
見上げた彼の優しい笑顔にホッとする。彼が雅久の主治医になって既に10数年が経過するが、面影に夕麿に似た感じがする高貴な美貌は衰えてはいない。
自分も彼のようにいつまでも変わらぬ姿でいられるのだろうか。
「いけませんよ。今のような状態で考えれば考える程、悪い方向へと気持ちが傾いて堕ちていくものです。今日はこちらへ泊まらせてもらって、明日にでもホテルへ移動出来る様に夕麿さまにお知らせして置きました。
少し、義勝君とは距離を持ちなさい。私にも経験がありますがあなた方は余りにも近過ぎて、いろんなものが見えなくなっているのでしょう」
清方の指示が間違っていた事はない。精神科医としての彼はとても優秀だ。
「わかりました…そういたします。でも、仕事と教室は如何にすればよろしいでしょうか?」
「そないなもん心配せんでもええ。会社の方は持明院君もいてるから何とでもなるし、教室も少しくらい休んでも誰もあんたを責めたりせえへん」
「彼の言う通りですよ。あなたといい夕麿さまといい、どうして揃ってワーカホリックなのでしょうね」
苦笑する清方に雅久は思わず笑ってしまった。
「欲しいもんがあったら言い。私か通宗が持って行ったるさかい」
友だちを有り難いと思う。
「おおきに…」
少し独りでゆっくりとこれからについて考えてみようと思うのだった。
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