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二章:貴方に報復を
滑稽な姿
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フレイアはマーメイドドレスを見に纏い、大きなため息をついた。
(社交パーティーなんて、行きたくはないのだけれど)
今晩、社交パーティーが行われる。社交パーティーとは言ってみれば貴族間での探り合いである。当然、多量の体力を消費する。そのため、フレイアはあまり乗り気でなかった。
「お嬢様、とてもお似合いですよ」
コレットは嬉しそうに手を叩いた。確かに凛々しい雰囲気を纏っているフレイアに真紅のドレスは似合っていた。
フレイアを褒めた後、いきなりコレットの表情に影がさした。
「けれど、婚約者にドレス一枚も贈らないなんて……。ロベルト様は何をお考えなのでしょう」
「……いいのよ」
社交パーティー時に婚約者にドレスを贈るのは貴族のしきたりである。そのドレスを見て贈られた方、贈った方の品格を確かめるのだ。質が良く美しいドレスを贈れば、社交界の話題にのぼることもある。
前の人生では、ロベルトにドレスを贈られなかったフレイアは、寂しさを覚えながらも自分でドレスを用意したものだ。しかし、今のフレイアには分かる。ロベルトが婚約者としての義務を怠っていたことを。
「今日のパーティーは面白いものが見れそうよ」
フレイアは微かに笑った。
「ロベルト、どうかしたの?」
マーガレットが甘えた声を出し、ロベルトの肩に頭を乗せる。
「あ、ああ。何でもない」
パーティーホールへと馬車で向かっている道中、ロベルトは上の空であった。
ロベルトの頭の中には婚約者の言葉が響いている。
「ロベルト様、エスコートは結構ですわ」
「は?」
ロベルトは婚約者の言動に思わず声を出してしまっていた。口を抑え、婚約者の言葉を繰り返す。
「エスコートは不要、と言ったか?」
「はい。エスコートは不要です」
淡々とした彼女の様子に呆気に取られながら、ロベルトはこう考えた。流石に婚約者のエスコートをしないのは不味いのではないか、と。
「いや、周りの目もあるだろうし……」
「私がいいと言っているのですよ?」
ロベルトがまごつき、目を左右に揺らしているとフレイアが重ねるようにこう言った。
「お好きな人と行ってはいかがですか?」
どきん、と心臓が跳ねた。
マーガレットとの事に気づいたのか。
冷や汗が次々と肌を伝う。
そんなロベルトの様子を見たフレイアはこう続けた。
「友人、とか」
「ああ、友人、か」
安堵すると同時にロベルトは動揺していた。
(フレイアが自分から一歩引くなんてこと今までにあったか?)
ロベルトの記憶上、フレイアは自分に惚れ込んでいるという認識だ。
ロベルトは一瞬躊躇ったがマーガレットの笑顔が脳裏に浮かび、頷いていた。
「じゃあ友人と行かせてもらうよ」
(本当に良かったのだろうか……)
ロベルトの瞳には少しの後悔が滲んでいた。
「ちょっと!ロベルトひどおい」
そんなロベルトを見てマーガレットが頬を膨らませ、ロベルトに抱きつく。
「なんで私といるのに上の空なわけ?」
「あ、すまない」
ロベルトはマーガレットに向けてぎこちない笑みを浮かべた。
堂々と歩くフレイアはさながら大輪の薔薇のよう。
誰もが見惚れて感嘆の息をつく。そして誰もが思った。フレイアの婚約者、ロベルトはどこにいるのか、と。
誰かがあっと声を出した。皆の注目が声の出た方に向く。
そこには馬車から降りながらもマーガレットがロベルトに腕を絡ませ、笑い合っている二人の姿があった。
親しげに笑いあう二人がフレイアの目には滑稽に映った。
(社交パーティーなんて、行きたくはないのだけれど)
今晩、社交パーティーが行われる。社交パーティーとは言ってみれば貴族間での探り合いである。当然、多量の体力を消費する。そのため、フレイアはあまり乗り気でなかった。
「お嬢様、とてもお似合いですよ」
コレットは嬉しそうに手を叩いた。確かに凛々しい雰囲気を纏っているフレイアに真紅のドレスは似合っていた。
フレイアを褒めた後、いきなりコレットの表情に影がさした。
「けれど、婚約者にドレス一枚も贈らないなんて……。ロベルト様は何をお考えなのでしょう」
「……いいのよ」
社交パーティー時に婚約者にドレスを贈るのは貴族のしきたりである。そのドレスを見て贈られた方、贈った方の品格を確かめるのだ。質が良く美しいドレスを贈れば、社交界の話題にのぼることもある。
前の人生では、ロベルトにドレスを贈られなかったフレイアは、寂しさを覚えながらも自分でドレスを用意したものだ。しかし、今のフレイアには分かる。ロベルトが婚約者としての義務を怠っていたことを。
「今日のパーティーは面白いものが見れそうよ」
フレイアは微かに笑った。
「ロベルト、どうかしたの?」
マーガレットが甘えた声を出し、ロベルトの肩に頭を乗せる。
「あ、ああ。何でもない」
パーティーホールへと馬車で向かっている道中、ロベルトは上の空であった。
ロベルトの頭の中には婚約者の言葉が響いている。
「ロベルト様、エスコートは結構ですわ」
「は?」
ロベルトは婚約者の言動に思わず声を出してしまっていた。口を抑え、婚約者の言葉を繰り返す。
「エスコートは不要、と言ったか?」
「はい。エスコートは不要です」
淡々とした彼女の様子に呆気に取られながら、ロベルトはこう考えた。流石に婚約者のエスコートをしないのは不味いのではないか、と。
「いや、周りの目もあるだろうし……」
「私がいいと言っているのですよ?」
ロベルトがまごつき、目を左右に揺らしているとフレイアが重ねるようにこう言った。
「お好きな人と行ってはいかがですか?」
どきん、と心臓が跳ねた。
マーガレットとの事に気づいたのか。
冷や汗が次々と肌を伝う。
そんなロベルトの様子を見たフレイアはこう続けた。
「友人、とか」
「ああ、友人、か」
安堵すると同時にロベルトは動揺していた。
(フレイアが自分から一歩引くなんてこと今までにあったか?)
ロベルトの記憶上、フレイアは自分に惚れ込んでいるという認識だ。
ロベルトは一瞬躊躇ったがマーガレットの笑顔が脳裏に浮かび、頷いていた。
「じゃあ友人と行かせてもらうよ」
(本当に良かったのだろうか……)
ロベルトの瞳には少しの後悔が滲んでいた。
「ちょっと!ロベルトひどおい」
そんなロベルトを見てマーガレットが頬を膨らませ、ロベルトに抱きつく。
「なんで私といるのに上の空なわけ?」
「あ、すまない」
ロベルトはマーガレットに向けてぎこちない笑みを浮かべた。
堂々と歩くフレイアはさながら大輪の薔薇のよう。
誰もが見惚れて感嘆の息をつく。そして誰もが思った。フレイアの婚約者、ロベルトはどこにいるのか、と。
誰かがあっと声を出した。皆の注目が声の出た方に向く。
そこには馬車から降りながらもマーガレットがロベルトに腕を絡ませ、笑い合っている二人の姿があった。
親しげに笑いあう二人がフレイアの目には滑稽に映った。
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