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二章:貴方に報復を
金には、金を
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「お嬢様自ら聴取されなくても良いのですよ……?」
コレットが不安げな顔をする。
「大丈夫よ。誰の差し金か自分で確かめたいの」
フレイアは使用人達に男達を地下室に運ばせた。エーメリー公爵に気づかれると色々と面倒だからだ。ルーを叱責後のコレットと合流し、今に至る。
屋敷の地下の個室には小さな窓がついており、分厚い壁で覆われていてほぼ防音状態。聴取にはもってこいの部屋である。少し埃っぽいのが欠点だが。
「“起きなさい”」
フレイアの声に反応したのか男達のはめていた手枷がカチャリ、と外れる。それと同時に男達は目覚めた。
「何しやがるんだ!」
「ふざけんなっ!!」
男達は反射的に叫んでいた。コレットにやられた状態で意識が止まっていたようだ。
目覚めた直後なのに随分大きな声で吠えるのね。
「あら、随分威勢がいいのね。貴方達、今自分がどう言う状況にいるのか分かっていて?」
フレイアの余裕のある笑みに男達は一瞬怯んだ。
「どういう状況、て」
「アニキ、やべえっすよ」
アニキ、と呼ばれた男が周りを見渡す。すーっと顔が青ざめていく。逃げ道のない、完全な密室。見えるのは小窓から覗くフレイアの顔だけ。青ざめるのも無理は無い。
「お貴族様がこんなことやっていいのか!?ほぼ監禁じゃねえか!!」
「貴方がそんなことを言える立場かしら?襲撃を仕掛けて来たのはそちらでしょう」
フレイアの言葉に男達は黙りこくった。
もう少し吠えると思っていたのだけれど、意外とすぐ黙ったわ。
「監禁しても何も出ねえよ。貧民街育ちの俺らが出せる物なんて」
貧民街育ち。そう言った時、男の顔に少し影が差した。
「出る物?あるわ。貴方達の情報よ」
当然じゃない、とでも言いたげなフレイアの顔を“アニキ”が凝視する。数秒見つめあったのち、男は目を逸らした。
「……依頼主のことなら明かせねえよ。報酬も貰ってんだ」
「いくら貰ったの?」
「は」
「だから、いくら?」
「……貧民街から出られるくらいの金だよ」
“依頼主”とは金だけの関係のようだ。依頼主はおそらく──ロベルト。
深い繋がりがなくて良かった。それなら簡単ね。
金には、金を。
フレイアが男達に向けにこり、と笑って見せる。
「何だよ、お貴族様が払ってくれんのか?」
嘲笑を交えた笑みで“アニキ”が言う。
「ええ」
「は?本気で言ってんのかよ」
「そうね、これくらいならどうかしら」
フレイアが指を突き出し、額を示した。その瞬間、男達の目の色が変わった。
「一生遊んで暮らせるじゃねえか……!」
「アニキ、これなら喋っても良いんじゃねえか?」
手下達の歓声に“アニキ”は小さく呟いた。
「遊んで暮らす?そんなの貴族と一緒じゃないか。笑えるな」
静まり返った手下達に男は続ける。
「俺らみたいな弱えモンを踏み躙って遊ぶあいつらみてえじゃねえか」
「そんな“お貴族様”の依頼を受けたのは誰かしら?」
フレイアの言葉に“アニキ”の眉がピクリ、と動いた。立ち上がり、フレイアを睨みつける。
「お前……!」
「アニキは悪くねえよ!」
「貧民街で倒れてた俺を助けてくれたのがアニキだし…」
手下たちが男に加勢する。随分慕われているようだ。
「お前ら貴族を見返すにはまず貧民街からでるしかねえ。貧民街から出る為には何でもする。それくらいの覚悟で来たんだ」
「貧民街から出て、どうするつもりなの?」
「どうって……商売でもして儲けて見返すんだ」
何人かの男を束ねる程のカリスマを持っていて、尚且つ野心がある。見た目も悪くない。
これは使えそう。
「ねえ、貴方達。私の屋敷で働かない?」
「お貴族様の気まぐれか?俺らは玩具じゃねえんだわ」
フレイアの提案にコレットが絶句した。
また突拍子もないことを言い出した、と。
自分の提案を鼻で笑う男にフレイアはこう言った。
「本気よ。きちんとお給金は支払うし、飼い殺しにもしないわ」
「……信じられるか」
「私、かなり良い飼い主になると思うのだけれど」
「愛玩動物扱いかよ」
「獣みたいに暴れようとしたのは貴方達でしょ?」
二人の間に火花が散る。手下たちが不安そうにことの顛末を見守っていたことに気付いたのか、男は一言こう言った。
「……いつか喉笛に喰らい付いてやる。それまで、飼われてやるよ」
契約成立、みたいね。
フレイアは笑う。
「ご勝手にどうぞ」
フレイアは呆気に取られているコレットに指示を出した。
「四人分の洋服とお湯の用意をして頂戴。身体を清潔して貰うわ。依頼人とかの話はそのあとね」
まずは信頼を勝ち取るのが大切。自分達に余裕があると錯覚させるのだ。
「汚ねえ溝鼠は嫌ってか?」
男の嫌味にフレイアは笑って返す。
「五月蝿い犬は嫌いだわ」
「は、こっちも高飛車な猫は嫌いだ」
コレットが不安げな顔をする。
「大丈夫よ。誰の差し金か自分で確かめたいの」
フレイアは使用人達に男達を地下室に運ばせた。エーメリー公爵に気づかれると色々と面倒だからだ。ルーを叱責後のコレットと合流し、今に至る。
屋敷の地下の個室には小さな窓がついており、分厚い壁で覆われていてほぼ防音状態。聴取にはもってこいの部屋である。少し埃っぽいのが欠点だが。
「“起きなさい”」
フレイアの声に反応したのか男達のはめていた手枷がカチャリ、と外れる。それと同時に男達は目覚めた。
「何しやがるんだ!」
「ふざけんなっ!!」
男達は反射的に叫んでいた。コレットにやられた状態で意識が止まっていたようだ。
目覚めた直後なのに随分大きな声で吠えるのね。
「あら、随分威勢がいいのね。貴方達、今自分がどう言う状況にいるのか分かっていて?」
フレイアの余裕のある笑みに男達は一瞬怯んだ。
「どういう状況、て」
「アニキ、やべえっすよ」
アニキ、と呼ばれた男が周りを見渡す。すーっと顔が青ざめていく。逃げ道のない、完全な密室。見えるのは小窓から覗くフレイアの顔だけ。青ざめるのも無理は無い。
「お貴族様がこんなことやっていいのか!?ほぼ監禁じゃねえか!!」
「貴方がそんなことを言える立場かしら?襲撃を仕掛けて来たのはそちらでしょう」
フレイアの言葉に男達は黙りこくった。
もう少し吠えると思っていたのだけれど、意外とすぐ黙ったわ。
「監禁しても何も出ねえよ。貧民街育ちの俺らが出せる物なんて」
貧民街育ち。そう言った時、男の顔に少し影が差した。
「出る物?あるわ。貴方達の情報よ」
当然じゃない、とでも言いたげなフレイアの顔を“アニキ”が凝視する。数秒見つめあったのち、男は目を逸らした。
「……依頼主のことなら明かせねえよ。報酬も貰ってんだ」
「いくら貰ったの?」
「は」
「だから、いくら?」
「……貧民街から出られるくらいの金だよ」
“依頼主”とは金だけの関係のようだ。依頼主はおそらく──ロベルト。
深い繋がりがなくて良かった。それなら簡単ね。
金には、金を。
フレイアが男達に向けにこり、と笑って見せる。
「何だよ、お貴族様が払ってくれんのか?」
嘲笑を交えた笑みで“アニキ”が言う。
「ええ」
「は?本気で言ってんのかよ」
「そうね、これくらいならどうかしら」
フレイアが指を突き出し、額を示した。その瞬間、男達の目の色が変わった。
「一生遊んで暮らせるじゃねえか……!」
「アニキ、これなら喋っても良いんじゃねえか?」
手下達の歓声に“アニキ”は小さく呟いた。
「遊んで暮らす?そんなの貴族と一緒じゃないか。笑えるな」
静まり返った手下達に男は続ける。
「俺らみたいな弱えモンを踏み躙って遊ぶあいつらみてえじゃねえか」
「そんな“お貴族様”の依頼を受けたのは誰かしら?」
フレイアの言葉に“アニキ”の眉がピクリ、と動いた。立ち上がり、フレイアを睨みつける。
「お前……!」
「アニキは悪くねえよ!」
「貧民街で倒れてた俺を助けてくれたのがアニキだし…」
手下たちが男に加勢する。随分慕われているようだ。
「お前ら貴族を見返すにはまず貧民街からでるしかねえ。貧民街から出る為には何でもする。それくらいの覚悟で来たんだ」
「貧民街から出て、どうするつもりなの?」
「どうって……商売でもして儲けて見返すんだ」
何人かの男を束ねる程のカリスマを持っていて、尚且つ野心がある。見た目も悪くない。
これは使えそう。
「ねえ、貴方達。私の屋敷で働かない?」
「お貴族様の気まぐれか?俺らは玩具じゃねえんだわ」
フレイアの提案にコレットが絶句した。
また突拍子もないことを言い出した、と。
自分の提案を鼻で笑う男にフレイアはこう言った。
「本気よ。きちんとお給金は支払うし、飼い殺しにもしないわ」
「……信じられるか」
「私、かなり良い飼い主になると思うのだけれど」
「愛玩動物扱いかよ」
「獣みたいに暴れようとしたのは貴方達でしょ?」
二人の間に火花が散る。手下たちが不安そうにことの顛末を見守っていたことに気付いたのか、男は一言こう言った。
「……いつか喉笛に喰らい付いてやる。それまで、飼われてやるよ」
契約成立、みたいね。
フレイアは笑う。
「ご勝手にどうぞ」
フレイアは呆気に取られているコレットに指示を出した。
「四人分の洋服とお湯の用意をして頂戴。身体を清潔して貰うわ。依頼人とかの話はそのあとね」
まずは信頼を勝ち取るのが大切。自分達に余裕があると錯覚させるのだ。
「汚ねえ溝鼠は嫌ってか?」
男の嫌味にフレイアは笑って返す。
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「は、こっちも高飛車な猫は嫌いだ」
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