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二章:貴方に報復を
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「で、依頼者は誰なのかしら?」
フレイアがテーブルに肘を付き、にこやかに尋ねる。
「アニキ、言っていいんスよね……」
手下達がチラチラと“アニキ”の方を気にする。
「……ああ」
男は不機嫌そうに言った。
漆黒の髪に群青色の瞳。絡まり合った髪によれた服を来ていた先程とは段違いに清潔感と透明感が増している。髪もオールバックに整えてもらったようで喋らなければ品の良い青年といった感じだ。
「依頼者は、黄緑の髪に青い目をした奴だった。やけに顔が良かった。アンタを少し驚かすだけで良いっていうから依頼を受けたんだ。忍び込むのは俺らの得意分野だし」
いやいや、と言った感じで話す。
やっぱりロベルトなのね。
「そういえば、薬の調合も頼まれてたっけな。なあ、ジェレミー」
ジェレミー、と呼ばれたそばかすが目立つ青年の肩がビクンと震える。
「そ、そうだよ」
薬。フレイアの額に冷や汗が流れ落ちる。
前の人生でクラリスに盛られた物だったら……。
「どんな薬なの?」
「え、えーと。シュランゲ、だった、かな。毒自体の色味とかが強いから無味無臭にして欲しい、って」
シュランゲ。毒素の強い禍々しい色をした花だ。
そして、前の人生でフレイアが嫌というほど聞いた言葉。
「お前がシュランゲを盛ったのだろう……!」
フレイアの頭の中に騎士団に言葉が反芻する。
フレイアは痛む頭を押さえた。
「……、続けて頂戴」
「五月蝿い女が邪魔だ、とか言っていたし。終始笑顔で怖かったのを覚えて、ます」
五月蝿い女。恐らくクラリスの事だろう。
(想像以上に狂ってる)
頭のネジが外れている、そう思う他なかった。
「アンタ、大丈夫か?」
いつの間にか真っ青な顔になっているフレイアを“アニキ”が困惑したように見る。コレットも心配そうに身体を支える。
「……大丈夫よ」
しっかり、しっかりするのよ。
フレイアは自分で自分を奮い立たせた。息を思い切り吸い込む。
「ねえ、その薬は今持ってるの?」
「も、持ってます。明日渡しに行く予定だったので」
ジェレミーが一つの小瓶を差し出す。無色の液体が瓶の中で揺れた。
「預かるわ」
フレイアはその小瓶を受け取って数秒見つめた後、絡繰箱の中にしまった。
鍵をかちゃり、とかける。
「表情と言動を見るに、依頼者はアンタの婚約者ってところか?」
“アニキ”が同情めいた笑みを浮かべた。随分勘がいい。
「まあ、そう気を落とすなよ」
“アニキ”が馬鹿にしたような顔で慰めの言葉をかけると、フレイアはきょとんとした顔でこう言った。
「あら、落としてなんかないわよ」
「は?」
「気を落としてなんかいないわ。少し嫌なことを思い出しただけ」
「いや、未練とかショックとかそういうやつは?」
「ないけれど」
当然でしょう、とでも言わんばかりのフレイアを見て“アニキ”はうっすら笑みを浮かべた。
「アンタに勝てる気しねえわ」
「アンタ、じゃないわ。フレイア。フレイア・エーメリーよ」
「へいへい」
面倒そうに腕を組み、身体をソファーに投げ出す。
「俺はセレスト。“フレイア様”、これから宜しくお願いしますね?」
アニキ──セレストはふざけた様に、それでいて楽しそうに笑った。
フレイアがテーブルに肘を付き、にこやかに尋ねる。
「アニキ、言っていいんスよね……」
手下達がチラチラと“アニキ”の方を気にする。
「……ああ」
男は不機嫌そうに言った。
漆黒の髪に群青色の瞳。絡まり合った髪によれた服を来ていた先程とは段違いに清潔感と透明感が増している。髪もオールバックに整えてもらったようで喋らなければ品の良い青年といった感じだ。
「依頼者は、黄緑の髪に青い目をした奴だった。やけに顔が良かった。アンタを少し驚かすだけで良いっていうから依頼を受けたんだ。忍び込むのは俺らの得意分野だし」
いやいや、と言った感じで話す。
やっぱりロベルトなのね。
「そういえば、薬の調合も頼まれてたっけな。なあ、ジェレミー」
ジェレミー、と呼ばれたそばかすが目立つ青年の肩がビクンと震える。
「そ、そうだよ」
薬。フレイアの額に冷や汗が流れ落ちる。
前の人生でクラリスに盛られた物だったら……。
「どんな薬なの?」
「え、えーと。シュランゲ、だった、かな。毒自体の色味とかが強いから無味無臭にして欲しい、って」
シュランゲ。毒素の強い禍々しい色をした花だ。
そして、前の人生でフレイアが嫌というほど聞いた言葉。
「お前がシュランゲを盛ったのだろう……!」
フレイアの頭の中に騎士団に言葉が反芻する。
フレイアは痛む頭を押さえた。
「……、続けて頂戴」
「五月蝿い女が邪魔だ、とか言っていたし。終始笑顔で怖かったのを覚えて、ます」
五月蝿い女。恐らくクラリスの事だろう。
(想像以上に狂ってる)
頭のネジが外れている、そう思う他なかった。
「アンタ、大丈夫か?」
いつの間にか真っ青な顔になっているフレイアを“アニキ”が困惑したように見る。コレットも心配そうに身体を支える。
「……大丈夫よ」
しっかり、しっかりするのよ。
フレイアは自分で自分を奮い立たせた。息を思い切り吸い込む。
「ねえ、その薬は今持ってるの?」
「も、持ってます。明日渡しに行く予定だったので」
ジェレミーが一つの小瓶を差し出す。無色の液体が瓶の中で揺れた。
「預かるわ」
フレイアはその小瓶を受け取って数秒見つめた後、絡繰箱の中にしまった。
鍵をかちゃり、とかける。
「表情と言動を見るに、依頼者はアンタの婚約者ってところか?」
“アニキ”が同情めいた笑みを浮かべた。随分勘がいい。
「まあ、そう気を落とすなよ」
“アニキ”が馬鹿にしたような顔で慰めの言葉をかけると、フレイアはきょとんとした顔でこう言った。
「あら、落としてなんかないわよ」
「は?」
「気を落としてなんかいないわ。少し嫌なことを思い出しただけ」
「いや、未練とかショックとかそういうやつは?」
「ないけれど」
当然でしょう、とでも言わんばかりのフレイアを見て“アニキ”はうっすら笑みを浮かべた。
「アンタに勝てる気しねえわ」
「アンタ、じゃないわ。フレイア。フレイア・エーメリーよ」
「へいへい」
面倒そうに腕を組み、身体をソファーに投げ出す。
「俺はセレスト。“フレイア様”、これから宜しくお願いしますね?」
アニキ──セレストはふざけた様に、それでいて楽しそうに笑った。
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