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三章:貴方に報復を sideマーガレット
愛の囁き
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ロベルトを地獄へ堕とす計画は概ねうまくいっている、と言えるだろう。
彼の好みに合わせ、わざと馬鹿を演じた。彼は見下せる相手が欲しいのだ。そして愚かな彼はそんな感情を愛だと勘違いしている。
「ロベルト、婚約者がいるのに、悪い人」
私は彼の耳元で甘く囁く。
「僕は君に夢中だよ」
ロベルトが恍惚とした表情をして私を抱きしめる。
本当に、馬鹿みたいね。
「ねえロベルト、私、あなたの婚約者に会いたいわ!どんな人か気になるの」
私の馬鹿みたいな提案にも笑顔で頷く貴方は見ていて本当に──本当に吐き気がする。
ロベルトを地獄に堕とすには、彼の評判を下げなければならない。全てを失わせてから、捨てる。
その為にはまず、婚約破棄から。
毎晩悪夢に魘された。吐き気が止まらなくて、食事も碌に摂れなくなっていった。
けれど彼の前では無邪気に笑う。そんな日々が続いた。
ロベルトと話していると、彼の婚約者を見かけることがあった。
彼の婚約者──フレイア様は美しい人で、いつも凛としていた。しかし、私たちを見るとその凛とした雰囲気が溶け、苦しげな表情になる。
フレイア様の哀しげな表情を見ると胸がきゅ、と締まった心地になる。自然と姉様と重ねてしまうからだろうか。
だけどロベルトを潰さなければ、彼女が幸せになることはない。そう自分に言い聞かせて過ごした。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。
フレイア様を横目に、頭の中で繰り返した。
風の噂で、毒が盛られたという事件が起きたと聞いた。犯人は──フレイア様。
流れるままにフレイア様の処刑が決まった。フレイア様はそのようなことをするような方ではない。しかし、一男爵家の令嬢が何を言おうと、誰も信じなかった。現場にも居合わせてもいないし、当たり前とも言えるのかもしれない。
フレイア様が処刑されると聞き、広場に走った。
広場にはたくさんの人が集まっており、皆有名な彼女の処刑を見にきたのだろう。
ギロチンの刃がギラリと光る。その横にロベルトが、いた。
うっすらと、美しく、彼は笑っていた。
ようやく、気づいた。
彼はまた捨てようとしているのだ、と。
視界がぐにゃり、と歪んで立っているのも困難になる。呼吸が荒くなっていく。
皆の注目が集まる中、彼は一言、彼女に何かを囁いた。
それは彼の慈しむような顔に相まって、美しい天使の愛の囁きのように見えている。
彼の穏やかな表情に対し、フレイア様の顔が絶望一色に染まる。
ごとり、と首が落ちた。
民衆は静まり返ってから、ふと誰かの放った一言で歓声が沸いた。
「毒を盛った悪女が死んだ!」
皆、笑顔だった。
ロベルトは私の姿を見つけたようで、騎士団に肩を支えられながら、こちらにやってきた。
騎士団に小さく礼をし、近くに駆け寄って来る。
「マーガレット!」
彼は、笑顔だった。愛する人を失ったと言わんばかりの仮面は剥がれ落ち、恍惚とした、夢みがちな男の姿が其処に在った。
「あ……、あああ……」
声が震える。
また何もできなかった。私は見ているだけ。
私は何の為に。何の為に生きていたの?
涙がつー、と頬から流れ落ちる。
その瞬間、流れ落ちた雫の音が嫌に脳に響いた。
かつて愛した人の言葉と重なる。
「マーガレットは、幸せになりなね」
突然、意識が遠のいた。
彼の好みに合わせ、わざと馬鹿を演じた。彼は見下せる相手が欲しいのだ。そして愚かな彼はそんな感情を愛だと勘違いしている。
「ロベルト、婚約者がいるのに、悪い人」
私は彼の耳元で甘く囁く。
「僕は君に夢中だよ」
ロベルトが恍惚とした表情をして私を抱きしめる。
本当に、馬鹿みたいね。
「ねえロベルト、私、あなたの婚約者に会いたいわ!どんな人か気になるの」
私の馬鹿みたいな提案にも笑顔で頷く貴方は見ていて本当に──本当に吐き気がする。
ロベルトを地獄に堕とすには、彼の評判を下げなければならない。全てを失わせてから、捨てる。
その為にはまず、婚約破棄から。
毎晩悪夢に魘された。吐き気が止まらなくて、食事も碌に摂れなくなっていった。
けれど彼の前では無邪気に笑う。そんな日々が続いた。
ロベルトと話していると、彼の婚約者を見かけることがあった。
彼の婚約者──フレイア様は美しい人で、いつも凛としていた。しかし、私たちを見るとその凛とした雰囲気が溶け、苦しげな表情になる。
フレイア様の哀しげな表情を見ると胸がきゅ、と締まった心地になる。自然と姉様と重ねてしまうからだろうか。
だけどロベルトを潰さなければ、彼女が幸せになることはない。そう自分に言い聞かせて過ごした。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。
フレイア様を横目に、頭の中で繰り返した。
風の噂で、毒が盛られたという事件が起きたと聞いた。犯人は──フレイア様。
流れるままにフレイア様の処刑が決まった。フレイア様はそのようなことをするような方ではない。しかし、一男爵家の令嬢が何を言おうと、誰も信じなかった。現場にも居合わせてもいないし、当たり前とも言えるのかもしれない。
フレイア様が処刑されると聞き、広場に走った。
広場にはたくさんの人が集まっており、皆有名な彼女の処刑を見にきたのだろう。
ギロチンの刃がギラリと光る。その横にロベルトが、いた。
うっすらと、美しく、彼は笑っていた。
ようやく、気づいた。
彼はまた捨てようとしているのだ、と。
視界がぐにゃり、と歪んで立っているのも困難になる。呼吸が荒くなっていく。
皆の注目が集まる中、彼は一言、彼女に何かを囁いた。
それは彼の慈しむような顔に相まって、美しい天使の愛の囁きのように見えている。
彼の穏やかな表情に対し、フレイア様の顔が絶望一色に染まる。
ごとり、と首が落ちた。
民衆は静まり返ってから、ふと誰かの放った一言で歓声が沸いた。
「毒を盛った悪女が死んだ!」
皆、笑顔だった。
ロベルトは私の姿を見つけたようで、騎士団に肩を支えられながら、こちらにやってきた。
騎士団に小さく礼をし、近くに駆け寄って来る。
「マーガレット!」
彼は、笑顔だった。愛する人を失ったと言わんばかりの仮面は剥がれ落ち、恍惚とした、夢みがちな男の姿が其処に在った。
「あ……、あああ……」
声が震える。
また何もできなかった。私は見ているだけ。
私は何の為に。何の為に生きていたの?
涙がつー、と頬から流れ落ちる。
その瞬間、流れ落ちた雫の音が嫌に脳に響いた。
かつて愛した人の言葉と重なる。
「マーガレットは、幸せになりなね」
突然、意識が遠のいた。
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