断罪済み悪役令嬢に憑依したけど、ネトゲの自キャラ能力が使えたので逃げ出しました

八華

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王子様に会いました2

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 さて、この世界に同時に来ていたらしい同郷人2人のトンデモ話が暴露されたところだけど、私にはもう1つ気になることがあった。

「…………」

 私はジッと観察するように英人君を見つめた。

「な……何、レナちゃん。誤解しないで、こいつとは何もなかったよ……」

 英人君がビクビクしてる。
 何かこの感じ、似てるんだよね。――ゲームのフレンドだった人と。

 私をゲームで特殊エリアに連れて行ってくれたフレンドさん。ボイスチャットもしたことがある。声質にちょっと特徴があるから、たぶん合ってると思うんだ。

「あの、もしかしたら、フレンドだったかもしれない。ゲームのプレイヤー名、“セブン”さんじゃなかった?」

「……え? フレンド……、“セブン”の方の……。もしかして、“レーナ”ちゃん!?」

 あ、やっぱりそうだったんだ。

「レーナちゃん。うわぁ、めっちゃイメージ通りの子だったんだ。ボイチャで声聞いて女の子だとは確信してたけど。そっか。レーナちゃんもこちらに飛ばされてたんだ」

 女子か確認できたから仲良くしてたのね。そうかなとは思ってたけど。私に近づいてきたの、やっぱりナンパ目的だったのか。

「あれ? でも、セブンさんのジョブって盾術士じゃなかったっけ? エイトール王子は魔法剣術士だし。それだと、ヒーラーがいなくなっちゃうんじゃ……」

 悠真君が私たちを英人君と会わせたのって、ヒーラーを紹介するためだったよね。ヒーラー、どうするんだろう。

「さっきから聞いていたが、俺のパーティーメンバーは“セブン”さんじゃねーぞ」

「へ?」

 悠真君の発言に、英人君がビクリと肩を揺らし、しまったという表情になった。

「コイツのプレイヤー名は“オーガスト”。レベル70の神聖術士だ」

 神聖術士? どゆこと??

「裏キャラってやつだな。人間関係を切り離して遊びたいときのために、作る奴がいただろ」

「あー……。そういえば聞いたことある。私は1キャラで手一杯だったけど」

「まあ、コイツの“セブン”さんはナンパ専用キャラだろうけどな」

 ナンパ専用っ!!!
 さげすむように悠真君が英人君を見て鼻で笑った。

「あ……ぐ……、仕方ねーだろ! お前が、お前が、ヒーラーなんてモテないジョブを俺にやらせるから!!!!」

「あのゲームではサブタンクとヒーラーが重要だったんだ。大事な役を任せただけだろ」

「あのなぁ。ヒーラーってのは、女の子が好んでやるジョブなんだよ! パーティーにヒーラーは1人しか入れないのに、俺がヒーラーだったら、ヒーラーやってる女の子と縁が全くなくなっちまうじゃねーかっ!!!!」

 英人君が再び絶叫した。

「え、女の子のフレンドを作るためだけに、別のキャラクタを作って70までレベル上げしたの?」

 レベル70って、相当だよ。

「もちろん、頼ってほしいからね」

 良い笑顔で答える英人君。

「コイツはこういう奴だ。だが、腕はあるから安心しろ」

 そうだね。裏キャラまで70にするんだから、ゲームの腕は相当良いと思うよ。

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