下級貴族だけど婚約破棄されたら権力者の偽装愛人をやることになった

八華

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結婚式

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 次期エレメンタル侯爵の結婚式は、王族も使う王都中心部の教会で行われた。
 フラワーシャワーの中を歩く新郎新婦を見ながら、幼い王女様は近くに立つ公爵に向けて宣言した。

「ラヴェンナ様、いつかカレンも薔薇の花を振らせます」
「カレン様は、花びらが舞う演出が気に入られたのですね。では、その日のために香り高い薔薇の品種を開発しておきましょう」
「はい、楽しみにしています」

 ニコニコした王女は、公爵にぴったりとくっついた。

「さあ、私たちも外へ出ましょうか。ブーケトスがあるようですよ」

 王女様と手をつなぐと、公爵は彼女の歩幅に合わせて歩き出した。

「ブーケトス?」
「花嫁が投げるブーケを受け取った娘が次に結婚できるという、迷信の一種です」
「私、花嫁のブーケが欲しいですわ」

 目を輝かせた王女様は、ブーケを待つ未婚の娘たちに混ざりに行ってしまった。

「おほほほほ。さすが王女殿下ですわ。言い伝えでは花嫁のブーケを受け取った娘が次に結婚する。きっと王女殿下がブーケを受け取って、他の小娘どもに、この先7年結婚できない呪いをかけてくださいますわ」
「……エリカ、周りに聞こえると品性を疑われるわよ」
「あら、マリア。いいじゃない、私、権力者だから大丈夫ですのよ」

 高笑いする王太子妃様とそのご友人。
 全部聞こえております。結婚式にはこの上なく身分の高い方々も来てくださっていますから、トラブルにならないように、身体強化して皆様の発言をこっそり聞かせていただいておりました。
 王女殿下と王太子妃様にここまで期待されたのです。このエリーゼ、後ろ向きに投げても王女様の手元に精密トスするくらいの技量は持っております。
 なんてことを考えていたら、隣の彼に腕を引かれた。

「自分の結婚式なんだから、気を遣わずに楽しんでくれ」
「……はい」

 私は笑顔になって、ふわりとブーケを放り投げた。
 花束は気ままに空へと舞い上がっていった。





 お わ り


 お読みくださりありがとうございました。
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みんなの感想(2件)

yosuke
2021.09.20 yosuke

新公爵と王女の話はいらない気がします。設定のところでもう少しどうにかできなかったか気になりました。

2021.09.20 八華

感想ありがとうございます。
なるほど~。
参考になります。

解除
遠藤ひまわり

すごく面白かったです
素敵な作品をありがとうございました

2021.06.10 八華

感想ありがとうございます。
励みになります!

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