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ネコ娘、ヒュドラと戦う
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ダンジョン地下5階のボス部屋に入った。
敵は猛毒ヒュドラだ。
「毒霧を吐くタイプだよね。どうやって対処するの?」
緊張した表情でメリーがたずねる。
「こまめに毒消し薬を飲むの。仲間が薬を飲むタイミングを作るのも大事よ」
レトリー姉ちゃんが答える。
だいぶん面倒だな。そんなの、うまくできるのか?
「大丈夫ですよ、マスクを作ってきましたから」
ルイスが生成りのトートバッグから数枚の布マスクを取り出して、アタイたちに1枚ずつくれた。マスクには、動物の刺繍がしてある。アタイのトラも可愛いけど、ササミのパンダが一番好みだった。うらやましい。
「こんなもんで猛毒を防げるんっスかね」
ササミが不審げにマスクを見ている。失礼な。ここがボス部屋でなかったら殴ってやったのに。
「付与魔法をかけているので、防毒性能は高いと思います」
こんな場面でもルイスは落ち着いていて笑顔だった。はぁ~。いつでもルイスの癒し力はすごいな。
「9本あるヒュドラの首は、切り落としてもすぐに再生するの。ボスとしてあんまり強くはないけど、不死身の生命力を持つ面倒な敵ね」
姉ちゃんが説明してくれる。
毒に気をつければB級でも戦えるけど、対処法を知らないと延々と戦闘を続けることになりそうだ。
「再生を防ぐには、傷口を焼き焦がせばいい。私が首を切り落とすから、メリー、切り口を火魔法で焼いていってくれる?」
「分かった」
「それじゃあ、アタイとササミで、姉ちゃんが動きやすいように他の首をひきつける」
「頼んだわ」
戦闘を開始する。
ヒュドラの首は全部で9本。姉ちゃんが順調に1本ずつ切り落とし、メリーが切り口を燃やして再生を止めていった。
6本目の首を落としたところで、巨大なカニのモンスターが出現した。ボスの援軍らしい。
ボス戦ではこんなふうに敵が追加されることもあるのか。やっぱ知らないと危険が多いな。
「ルイスっ!!」
カニのやつ、よりによってルイスに向かって突進しやがった。
アタイは猛ダッシュでカニに追いつき、飛び蹴りを食らわせた。
「こなくそっ!」
カニのハサミをもぎ取り、頭を足で踏みつぶす。
鬼の形相のアタイの前に、笑顔のルイス……。
「ありがとうございます。あと少し、がんばりましょう」
「う……うん」
アタイは赤面しながらヒュドラとの戦闘に戻った。
それからしばらくして、8つ目の首が落ちた。
残るは中央の一番太い首のみ。
最後の頭部から、ヒュドラが大量の毒霧を吐いた。
だが、ルイスのマスクを着けたアタイたちには、いっさい影響がない。
「毒も花粉もウイルスも、99.99%ブロックしますよ」
ルイスはニコニコしながら戦闘が終わるのを待っていた。
「それじゃあ、とどめよ!」
レトリー姉ちゃんが最後の首を切り落とす。
しかし、そこで問題が起きた。
傷口を炎で焼いても、中央の首だけは再生を始めたのだ。
「どういうことだ!?」
「ヒュドラの首、中央の1本だけは、不死だって記録があったわ。でも、眉唾物だと思ってた。まさか本当に死なないの!?」
再び姉ちゃんが首を切っても、すぐに元に戻ってしまう。
「どうしよう……」
中央以外の首を落としたヒュドラは弱体化していて、危険は少ない。でも、このままボスが死なないと、ダンジョンを閉じられない。
「あの、これを使ってください」
ルイスが白い布を持って進み出てきた。
「何かしら、それ?」
「聖水にひたした濡れタオルです。」
タオル……。
ヒュドラの最後の首の切り口にルイスがタオルを被せると、ヒュドラの身体がピクリと痙攣し、動かなくなった。
「濡れタオルで倒せるとはねぇ」
メリーがあきれている。
しばらくすると、ヒュドラの死体が消えて、巨大な魔石が出現した。ダンジョンのコア、A級冒険者の収入源だ。
「ドロップは毒防御の指輪ね。オークションで売る?」
「そうだね。その方が報酬を分けやすいだろ」
ボスのドロップは貴重品なので、オークションに回されることが多い。ボスの魔石と合わせると、すごい金額になると思う。
「ササミ、魔石はリュックに入りそうか?」
巨大な魔石をリュックにぎゅうぎゅうと詰めようとしているササミに声をかけた。
「空間拡張つきの牛革リュックをとっといて良かったっス。普通のカバンじゃ入らなかったっス」
ササミが魔石の入ったリュックを背負った。
「それじゃあ、さっさと出るわよ」
ボスがいなくなったダンジョンは構造を支えられなくなり、やがて崩壊する。安全のためには、早めに出た方がいい。
アタイたちはダンジョンから撤収を開始した。
ダンジョンの外へ出ると、冒険者たちが拍手で迎えてくれた。
彼らはアタイたちの失敗に備えて、念のため残ってくれていた人たちだ。
「へへ……」
アタイは照れくさくて鼻をこすった。
ギルドの出張所で、副ギルドマスターにボスの魔石を見せた。
「魔石の取り扱いはギルドの独占ですので、こちらで引き取らせていただきます。非常に高額なものなので、ここでは預かり証をお渡しし、後日、口座に代金をお支払いします」
「5人に均等に分けて送金できるか?」
「構いませんが、5人?」
ヤギの副ギルドマスターが首をかしげた。
冒険者はアタイの固定パーティー3名とレトリー姉ちゃんだけど、
「ルイスも活躍したんだ」
「ああ、そうですね。彼はギルド就職試験の成績も良かったですし、ある程度の戦闘はこなせたでしょう。分かりました。金額は鑑定で上下しますので、後日確認に来てください」
「わかった」
こうして、臨時のダンジョン攻略が完了した。
敵は猛毒ヒュドラだ。
「毒霧を吐くタイプだよね。どうやって対処するの?」
緊張した表情でメリーがたずねる。
「こまめに毒消し薬を飲むの。仲間が薬を飲むタイミングを作るのも大事よ」
レトリー姉ちゃんが答える。
だいぶん面倒だな。そんなの、うまくできるのか?
「大丈夫ですよ、マスクを作ってきましたから」
ルイスが生成りのトートバッグから数枚の布マスクを取り出して、アタイたちに1枚ずつくれた。マスクには、動物の刺繍がしてある。アタイのトラも可愛いけど、ササミのパンダが一番好みだった。うらやましい。
「こんなもんで猛毒を防げるんっスかね」
ササミが不審げにマスクを見ている。失礼な。ここがボス部屋でなかったら殴ってやったのに。
「付与魔法をかけているので、防毒性能は高いと思います」
こんな場面でもルイスは落ち着いていて笑顔だった。はぁ~。いつでもルイスの癒し力はすごいな。
「9本あるヒュドラの首は、切り落としてもすぐに再生するの。ボスとしてあんまり強くはないけど、不死身の生命力を持つ面倒な敵ね」
姉ちゃんが説明してくれる。
毒に気をつければB級でも戦えるけど、対処法を知らないと延々と戦闘を続けることになりそうだ。
「再生を防ぐには、傷口を焼き焦がせばいい。私が首を切り落とすから、メリー、切り口を火魔法で焼いていってくれる?」
「分かった」
「それじゃあ、アタイとササミで、姉ちゃんが動きやすいように他の首をひきつける」
「頼んだわ」
戦闘を開始する。
ヒュドラの首は全部で9本。姉ちゃんが順調に1本ずつ切り落とし、メリーが切り口を燃やして再生を止めていった。
6本目の首を落としたところで、巨大なカニのモンスターが出現した。ボスの援軍らしい。
ボス戦ではこんなふうに敵が追加されることもあるのか。やっぱ知らないと危険が多いな。
「ルイスっ!!」
カニのやつ、よりによってルイスに向かって突進しやがった。
アタイは猛ダッシュでカニに追いつき、飛び蹴りを食らわせた。
「こなくそっ!」
カニのハサミをもぎ取り、頭を足で踏みつぶす。
鬼の形相のアタイの前に、笑顔のルイス……。
「ありがとうございます。あと少し、がんばりましょう」
「う……うん」
アタイは赤面しながらヒュドラとの戦闘に戻った。
それからしばらくして、8つ目の首が落ちた。
残るは中央の一番太い首のみ。
最後の頭部から、ヒュドラが大量の毒霧を吐いた。
だが、ルイスのマスクを着けたアタイたちには、いっさい影響がない。
「毒も花粉もウイルスも、99.99%ブロックしますよ」
ルイスはニコニコしながら戦闘が終わるのを待っていた。
「それじゃあ、とどめよ!」
レトリー姉ちゃんが最後の首を切り落とす。
しかし、そこで問題が起きた。
傷口を炎で焼いても、中央の首だけは再生を始めたのだ。
「どういうことだ!?」
「ヒュドラの首、中央の1本だけは、不死だって記録があったわ。でも、眉唾物だと思ってた。まさか本当に死なないの!?」
再び姉ちゃんが首を切っても、すぐに元に戻ってしまう。
「どうしよう……」
中央以外の首を落としたヒュドラは弱体化していて、危険は少ない。でも、このままボスが死なないと、ダンジョンを閉じられない。
「あの、これを使ってください」
ルイスが白い布を持って進み出てきた。
「何かしら、それ?」
「聖水にひたした濡れタオルです。」
タオル……。
ヒュドラの最後の首の切り口にルイスがタオルを被せると、ヒュドラの身体がピクリと痙攣し、動かなくなった。
「濡れタオルで倒せるとはねぇ」
メリーがあきれている。
しばらくすると、ヒュドラの死体が消えて、巨大な魔石が出現した。ダンジョンのコア、A級冒険者の収入源だ。
「ドロップは毒防御の指輪ね。オークションで売る?」
「そうだね。その方が報酬を分けやすいだろ」
ボスのドロップは貴重品なので、オークションに回されることが多い。ボスの魔石と合わせると、すごい金額になると思う。
「ササミ、魔石はリュックに入りそうか?」
巨大な魔石をリュックにぎゅうぎゅうと詰めようとしているササミに声をかけた。
「空間拡張つきの牛革リュックをとっといて良かったっス。普通のカバンじゃ入らなかったっス」
ササミが魔石の入ったリュックを背負った。
「それじゃあ、さっさと出るわよ」
ボスがいなくなったダンジョンは構造を支えられなくなり、やがて崩壊する。安全のためには、早めに出た方がいい。
アタイたちはダンジョンから撤収を開始した。
ダンジョンの外へ出ると、冒険者たちが拍手で迎えてくれた。
彼らはアタイたちの失敗に備えて、念のため残ってくれていた人たちだ。
「へへ……」
アタイは照れくさくて鼻をこすった。
ギルドの出張所で、副ギルドマスターにボスの魔石を見せた。
「魔石の取り扱いはギルドの独占ですので、こちらで引き取らせていただきます。非常に高額なものなので、ここでは預かり証をお渡しし、後日、口座に代金をお支払いします」
「5人に均等に分けて送金できるか?」
「構いませんが、5人?」
ヤギの副ギルドマスターが首をかしげた。
冒険者はアタイの固定パーティー3名とレトリー姉ちゃんだけど、
「ルイスも活躍したんだ」
「ああ、そうですね。彼はギルド就職試験の成績も良かったですし、ある程度の戦闘はこなせたでしょう。分かりました。金額は鑑定で上下しますので、後日確認に来てください」
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